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新型ゴーストにもブラック・バッジシリーズが登場
ロールス・ロイスは、2021年の年間販売台数が同社史上最高を記録したと発表。全世界に向けて売り上げた累計台数は5586台にのぼり、対前年比で49%増となった。117年の歴史上、最高の成績を達成したロールス・ロイス。その快進撃をとくに牽引したのが、新型ゴーストとカリナンだ。
2020年9月にフルモデルチェンジした2代目「ゴースト」は、2021年10月に注目の“ブラック・バッジ”仕様を追加。ロールス・ロイス全体の受注で27%を占める人気シリーズを加えることで、好調なセールスを一層加速した恰好となった。
ロールス・ロイスを“特注”できるコーチビルド部門を新設
顧客の細やかな要望に応えるビスポークプログラムの充実ぶりも、成功の要因となっている。例えば衣料品通販サイト運営会社ZOZOの創業者、前澤友作氏がオーダーしたファントムはエルメスとコラボレーションして織部焼きをイメージした1台とするなど、自由な発想に応える体制を整えているのが特徴だ。そこに加えて、ロールス・ロイスは2021年5月27日に伝統の「コーチビルド」制度を現代に蘇らせ、新たなビジネスの柱に据えると発表。グッドウッド本社にコーチビルド部門を設置し、時間やコストを度外視した、究極の工業製品としてのロールス・ロイスを送り出していくことを明言した。
ロールス・ロイスを買う顧客のほとんどはビスポークを望むといい、2021年第1四半期にグッドウッドで生産されたロールス・ロイスにいたっては、すべての車両がビスポーク仕様であったという。今回導入したコーチビルド制度はそのビスポークの世界をさらにもう一歩押し進めたプログラムで、ロールス・ロイスそのものをほとんどイチから作り上げてしまうほどの内容。まさしく、デザイナーが顧客のために完全オリジナルの衣装をデザインする“オートクチュール”に近い。
原寸大のクレイモデルを元にボディを手仕上げ
「コーチビルドには、一般の制約を超えた自由があります。通常、ロールス・ロイスのビスポークには、キャンバスとしての当然の限界点(自然の天井)があります。しかし、ロールス・ロイス コーチビルドではその限界を打ち破り、コーチビルドならではの自由な表現力を活かし、パトロンであるお客様と一緒になってコンセプトを直接形にします」とコーチビルドデザイン責任者、アレックス・イネスが語る通り、“コーチビルド”は“ビスポーク”以上に幅広いクリエーションを可能にする。
例えば現行ファントムから導入したオールアルミニウム製スペースフレーム構造をベースにしつつも、原寸大のクレイモデルから手仕上げのアルミボディまでを作り上げるなど、ほぼワンオフモデルとしてイチから再構築するという代物だ。ロールス・ロイスは新たな事業の柱としてこのコーチビルド制度を打ち立てている。
同社初のBEV「スペクター」の投入を予告
加えて、自動車業界全体が電気自動車へ舵を切る潮流を見据えてBEVのプロトタイプ「スペクター」を公開。2023年第4四半期の発売を予定しているロールス・ロイス初の量産電気自動車である。電気自動車であったとしても世界中で待つ目利きの顧客層を満足させるものでなくてはならないとして、確実なクオリティを確保するべく史上最も厳しいテストプログラムを構築すると明言。世界各地で行うテストで想定している総走行距離は250万km。ロールス・ロイスの平均使用距離に鑑みると、じつに400年以上分の走行距離に相当するテストを実施して、世界に冠たる品質の高級EVを送り出す、と謳っている。
好調な販売を受けてグッドウッドの本社工場は2直体制を敷き、生産能力をほぼフルに活用している状態だという。また、電動化を見据えてさらなる工場の拡張を図っており、2022年9月にはこれまでで最多となる37名のアプレンティス(見習い制度で任用されたスタッフ)を登用する予定となっている。
コーチビルディングの可能性とフル電動化の未来へ向けて前進
2021年の成果を受けて、トルステン・ミュラー-エトヴェシュCEOは次のように語っている。
「(2021年は)ロールス・ロイス モーター カーズにとって歴史的な1年となりました。この12ヵ月で、我々はこれまでで最高の年間セールスを記録し、ブラック・バッジファミリーの最新モデルを投入したうえ、コーチビルディングの可能性も披露し、さらにフル電動化の未来に向けて大きな一歩を踏み出しました」
「それはいつものごとく、ロールス・ロイスのホームにいる非凡なる人々、国境を越えたチームの面々、そして世界中のディーラーネットワークの皆さまの献身的な取り組みがあってこそ実現したものです。私の心からの感謝とお祝いの気持ちを、ひとりひとりの方へお伝えできたらと思います。彼らとこうして日々一緒に仕事ができることは、私の特権であり、喜びなのです」