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間もなく開幕する東京五輪に参戦
ロータス・エンジニアリングは、グループ・ロータス内で自動車技術におけるコンサルタントを行う部門として世界的に知られる存在。ロータスブランドの各車両はもとより、その革新性と専門知識は航空、医療研究、家具や造船などあらゆる分野に活かされている。
そのロータス・エンジニアリングが、英国自転車部品メーカーのホープ・テクノロジー社とコラボレーションし、革新的なトラックバイクを開発した。一見して独創的なフロントフォークとハンドルバーを持つマシンは、間もなくスタートする東京五輪の競技参戦を目して作られたもの。
ロータスだからこその“視点”
本バイクの設計にあたっては、ライダーが乗車した状態での風洞実験を実施。ロータスならではの空力パフォーマンスに関する知見を活かし、フォークやシートの位置などを緻密に計算し設計した。同社の空力スペシャリスト、リチャード・ヒルは次のように語る。
「ロータスが自転車をデザインすることの利点は、我々が自転車デザイナーでないという点にこそあると思っています。その世界にどっぷり浸りきっていないので、かえって純粋な視点で物事を見つめることができるのです。私たちは、様々なクライアントのプロジェクトにおいて、常に同じアプローチを取っています」
2種類のハンドルバーをデザイン
空力性能だけでなく、軽量設計という面でもロータスならではのノウハウがモノを言う。チタンとアルミ、カーボンファイバーで構成する軽いハンドルバーは、スプリントレース用、パーシュート用のそれぞれに合わせて2種のデザインを用意。3Dプリント技術を駆使し、出来る限りの軽量化を実現するとともに最大限の強度を確保した。また、安心してライダーがバイクを飛ばせるように、剛性をあげてフロントエンドの感触にも磨きをかけたという。こうしたステアリングフィールとハンドリングにこだわる姿勢は、いかにもロータスらしい。
フレームとホイールは名門ホープ・テクノロジー社製。さらに測定のスペシャリスト、レニショーの3Dプリント技術も活用して最先端の迅速な製造プロセスも実現している。グレート・ブリテン・サイクリング・チームの技術トップ、トニー・パーネル曰く「いわばエンジニアリングの才能が結集したドリームチームです」。
東京五輪の自転車トラック競技は、2021年8月2〜8日に静岡県伊豆市「伊豆ベロドーム」で実施予定。