メルセデス・ベンツ グループに社名変更。商用車のトラック部門を分離し高級乗用車づくりに集中

ダイムラー社が「メルセデス・ベンツ グループ」社に名称変更。高級乗用車づくりのプロとして新時代へシフト

シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ本社に掲げられた新しい社名看板
シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ本社に掲げられた新しい社名看板。
ダイムラーは2022年2月1日に社名を「メルセデス・ベンツ グループ」に変更した。2021年12月に商用車部門を「ダイムラー・トラック ホールディング」として分離上場させたのに伴い、今後は乗用高級車メルセデス・ベンツブランドに焦点を絞って事業展開していく。

世界一有名な高級車づくりのプロフェッショナル

メルセデス・ベンツのシンボル、スリーポインテッドスターを掲げたシュトゥットガルトの本社施設
「ダイムラー AG」は「メルセデス・ベンツ グループ AG」へと社名を変更。今後はAMG、マイバッハ、EQも含めた乗用車を主体に(バンも含む)事業を展開していく。トラック部門は2021年12月に「ダイムラー トラック ホールディング」として分離上場している。

1926年にダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトとベンツ&シー(Benz&Cie)が合併し、「メルセデス・ベンツ」のバッジを装着した初めての車両が誕生。以来、幾度かの社名変更を繰り返しながらも、ボンネットに掲げるスリーポインテッドスターをアイコンに、「メルセデス・ベンツ」は世界で最も有名な高級車ブランドのひとつとして絶対的な地位を築き上げてきた。そして、2022年2月1日に、ダイムラーAGはそのブランド名をそのまま社名に掲げることとした。正式な新社名は「メルセデス・ベンツ グループ AG」となる。

社名変更の目的は、その圧倒的な「メルセデス・ベンツ」の名前を社名に据えることで、高級乗用車づくりのプロフェッショナルとしての立ち位置を改めて明確にすることにあるという。今後は自社ブランドとして、メルセデス・ベンツをはじめ、ハイパフォーマンスカーのメルセデスAMG、ハイエンドモデル中心のメルセデス・マイバッハ、電気自動車専用のメルセデスEQをラインナップ。さらに、バンも同社の取扱モデルとなる。なお、株式表示記号はこれまでの“DAI”から“MBG”に変更されている。

組織再編はこれにて一旦完了

メルセデス・ベンツ グループのチェアマン、オーラ・ケレニウス氏は次のように説明している。

「メルセデス・ベンツ グループへの社名変更は、我々がこれから戦略的に注力するべき領域を明確にするものです。そうすることで、私たちの会社のコアがどこにあるのかを明らかにしたいと考えたのです。それはつまり、世界で最も魅力的な自動車を作るということです。メルセデスの“スター”は、いつも未来に向けた約束であり続けてきました。『前進するために、今を変える』 我々の創業者から受け継ぐレガシーを継承し、電動モビリティと車両ソフトウェアの分野をリードして参ります」

同時に、今後は「メルセデス・ベンツ モビリティ」の社名のもと、乗用車やバン関連のリースや保険サービスを執り行っていくことも発表。さらに、レンタカーやサブスクリプション、デジタルサービスなどに注力していくという。

今回の社名変更をもって、2021年よりスタートした組織再編は一旦完了となる。

メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスター

メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターにまつわるトリビア。実は「フォーポインテッドスター」もある?

メルセデス・ベンツの“スリーポインテッドスター”は、世界で最も有名なシンボルマークのひとつだろう。ボンネットに輝く星のエンブレムは、高級車のトレードマークとして広く認知されている。その誕生はいまからちょうど100年前。1世紀にわたり愛され続ける孤高の星は、いかにして生まれ、どう進化してきたのか。その誕生史を振り返る。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…