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Ford Ranger Raptor
史上最高にタフなレンジャー
フォードのロングセラーピックアップトラック「レンジャー」に、高性能仕様のラプターが登場した。高性能車づくりの専門家集団、フォード パフォーマンスがチューンした3.0リッター“エコブースト”V6ターボユニットは288ps/491Nmを発生。オン・オフ両面での走行性能を引き上げ、「史上最高にタフなレンジャーを作り上げた」という。
3.0リッター“エコブースト”V6ターボユニットはシリンダーブロックにコンパクテッド黒鉛鋳鉄(CGI)を使用。従来の鋳鉄に比較して強度・剛性ともに約75%向上している。さらに、フォード GTで初採用されたシステム同様、レーシングカーに由来するターボラグ解消機構も搭載した。
フォード パフォーマンスでレンジャー ラプターの開発を担当したチーフプログラムエンジニアのデイヴ・バーンは次のように説明する。
「レンジャー ラプターにはっきりそれと分かる“違い”を与えている3.0リッターエンジンは、筋金入りのパフォーマンス好きというエンスージアストを満足させるはずです。新しいパワートレインの生み出す加速力と素晴らしいパフォーマンスは、きっと貴方に満面の笑みをもたらすでしょう」
“オフロード専用エキゾーストノート”を選択可能
スポーティなキャラクターを強調する演出として、エンジンサウンドが変化するアクティブエキゾーストシステムを採用。「Quiet」「Normal」「Sport」「Baja」の4モードを備えており、ボリュームとサウンドが一番盛り上がるのが「Baja」モードで、こちらはオフロードのみで使用できるようになっている。
激しいオフロード走行を想定し、Cピラーをはじめとした各部に補強を追加。サスペンションもより軽く、よりタフに仕上げるべく、アッパー/ロワーコントロールアームにアルミニウム材を採用した。悪路での高速走行でのコントロール性を高めるためにリヤのワッツリンクサスペンションにも改良を加えている。
砂漠のレーサーながらB&Oのサウンドシステムも搭載
レンジャーラプターは“デザートレーサー”にインスパイアされて開発された。フルタイム4DWシステムにはまったく新しいオンデマンドタイプの電制トランスファーケースを採用。さらに、フロントとリヤにデフを搭載している。走行モードには「ノーマル」「スポーツ」「スリッパリー」「岩場」「砂」「泥/くぼみ」「Baja」の7種類を設定。さらに、“オフロード用クルーズコントロール”とも言える「トレイルコントロール」も採用する。20マイル(約32km/h)までの速度を任意に設定すれば、加速・減速は車両側が自動で制御。ドライバーはステアリング操作に集中できる。
キャビンには12.4インチのデジタルメーターと、12インチの縦型タッチスクリーンを搭載。B&O社のサウンドシステムも採用するなど、タフなオフローダーでありながら、プレミアム感も巧みに両立している。
歴代高性能トラックが冠した特別な名称
“ラプター”はフォードが高性能仕様のピックアップトラック/クロスオーバーに代々冠してきた特別な名称。初代F150 SVT ラプターがその嚆矢である。新しいところではブロンコのパフォーマンス仕様にもラプターの名が与えられた。ちなみにフォード パフォーマンスはオフロードレーサーづくりにも確かな知見を積みあげており、先般もセバスチャン・ローブとコ・ドライバーのイザベル・ガルミッシュが世界ラリー選手権開幕戦のラリー・モンテカルロで、M-Sport フォード プーマ ハイブリッド ラリー 1を駆り勝利を獲得たばかりである。
レンジャー ラプターは2022年第4四半期より欧州でのデリバリーを開始する。さらに、2.0リッター直4ツインターボディーゼルモデルを搭載するラプターも2023年に導入予定。正規販売のルートが無い現在、日本での入手が難しいのがなんとも残念な1台だ。