目次
McLaren Artura
P1やスピードテールに連なる系譜
マクラーレンは2012年に初のハイブリッド・ハイパースポーツ「マクラーレン P1」を発表。さらに2019年にはマクラーレン史上最速の最高速度403km/h(250mph)を誇るハイパーGT「スピードテール」を投入。“高性能ハイブリッド・スポーツカー”の技術を着実に磨きあげてきた。2モデルとも限定生産だったため、今回のアルトゥーラは同社初の量産PHEVモデルとなる。
4年の歳月を費やした最新アーキテクチャー採用の第1弾
アルトゥーラは、まったく新しい「マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)」を使用する第1弾のプロダクト。カーボンファイバー製のモノコック、アルミニウム製のクラッシュビーム及びリヤサブフレームを採用したシャシー、そしてドメイン集約型アーキテクチャーの3つを核としている。
4年かけて開発したMCLAは英国シェフィールドにある新施設「マクラーレン・コンポジット・テクノロジー・センター(MCTC)」で製造される初のアーキテクチャーであり、同社のこれからのプロダクトの基盤となる。
100km/hまでの加速は3秒ジャスト
パワートレインは、ミッドシップした新型の3.0リッターV6ツインターボガソリンエンジン(M630)に、アキシャル型モーター、そして総電力量7.4kWhのリチウムイオンバッテリーで構成され、システム最高出力680ps/システム最大トルク720Nmを発生。
そこに新規開発した8速ツインクラッチトランスミッションと、同社初のeデフを組み合わせて後輪を駆動。0-100km/h加速3秒ジャストという驚異の加速性能を実現している。
電気だけで最長30kmを走行可能
プラグインハイブリッドである「アルトゥーラ」は、バッテリーが“満タン”であれば、電気だけで最長30km、最高速度130km/hまでの走行も可能。バッテリーの充電はケーブル使用はもちろん、内燃エンジンを優先して使うチャージモードも備えているため、都心部や住宅地といった排ガスと騒音へ特に配慮するエリアで積極的にEVモードを活用することができる。
軽量化技術を徹底的に追求してきたマクラーレンとあって、アルトゥーラはPHEV車としては異例の軽さを実現している。MCLAそのものの軽量構造やコンパクトな電動パワートレインはもとより、電気系統に使用する配線の重量を10%削るなど、広範囲なダイエット施策を投入。乾燥重量を1395kg(DIN車両重量1498kg)に押さえ込んだ結果、488ps/tというクラストップレベルのパワーウェイトレシオを実現している。
リヤサスのコンセプトを刷新
アルトゥーラは完全新設計のリヤサスペンションを搭載している。アッパーリンクはウィッシュボーンだが、通常のロワーウィッシュボーンの代わりに2本に分割されたマルチリンクコンポーネントを採用。トーコントロールアームやアップライトの位置を最適化することで、理想的なジオメトリーを実現した。フロントには、600LTと同様のアルミニウム製ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用している。
また、伸び側と縮み側を独立制御できる連続可変ツインバルブ式油圧ダンパーを採用。機械式のアンチロールバーと、センサーで路面を“読み取る”アクティブダンピングコントロール機能を組み合わせることで、常に安定した接地性と最適な乗り心地を提供する。
マクラーレンとしては初となる電子制御ディファレンシャル(eデフ)を導入しているのも注目ポイントだ。8速トランスミッションに内蔵したeデフは、リヤアクスルの左右に配分するトルクを精密に制御。
“バリアブル・ドリフト・コントロール”と呼ぶ機構も備えており、ドライバー自身がトラクションコントロールのアシスト量を調整することで「オーバーステアの限界を指定できる」という。
ピレリが3種のタイヤを専用開発
ブレーキは600LTや720Sと同じカーボンセラミックディスク及びアルミニウム製キャリパーという構成。765LTで採用した、F1由来のキャリパー用冷却ダクトを応用して搭載することにより、ブレーキパッドの負荷を低減するよう配慮している。
アルトゥーラの異次元の走りを支えるため、今回ピレリは標準の「P ZERO」、公道とサーキット両方に対応する「P ZERO CORSA」、冬用の「SOTTOZERO」と、3種類のタイヤを専用開発。サイズはフロントが235/35R19、リヤが295/35R20で、すべてのタイヤがリアルタイムで温度や空気圧をモニタリングできるPirelli Cyber Tyreシステムを備えている。
マクラーレン最新のデザイン言語
低いノーズ、キャブフォワード、ハイテールで構成するマクラーレンらしいプロポーションには、「シュリンクラップド(包装)」と呼ぶ新しいデザインアプローチを採り入れた。
パネルの接合部やラインを最小限に抑えたしなやかな造形のボディは、カーボンファイバーとアルミニウムで構成。たとえばリヤのクラムシェルは1枚のアルミパネルをスーパーフォーミング加工で成形するなど、先進テクノロジーを駆使してミニマルかつ複雑な造形を実現した。
身長190cm以上のドライバーでも快適なキャビン
インテリアも刷新。身長193cmのドライバーでも余裕を感じられるスペースを確保し、背もたれを大きく倒して身体を伸ばすこともできるような設計に。2個の高解像度スクリーンを備えた最新のインフォテインメントシステムも搭載。OTAアップデートにも対応し、常にソフトウェアをフレッシュな状態に更新できる。
先進の安全運転支援機構(ADAS)も採用。完全停止及び再発進にも対応したACCや、車線逸脱警告、ハイビームアシスト、標識認識機能といった各アシスト機能を搭載している。
次世代電動パワーユニットを積むアルトゥーラは保証にも配慮。5年間/7万5000kmの車両保証に加え、6年間/7万5000kmのバッテリー保証、10年間のボディさび穴保証が付帯する。
「これこそ新時代のマクラーレン」
アルトゥーラのボディカラーは全15種類で、フラックスグリーン、エンバーオレンジ、プラトーグレーは新色。他に、MSOによるビスポーク仕様として16種類の外板色を用意している。
アルトゥーラのチーフエンジニア、ジョフ・グロースはこう語っている。
「ハイパフォーマンス・ハイブリッドを搭載する次世代のマクラーレン製スーパーカーに必要なすべての要素を実現するべく、努力に努力を重ねました。結果、アルトゥーラはカーボンファイバー製モノコックをはじめ、電動アーキテクチャー、ボディ、そしてインテリアに至るまで、すべてが新しくなったのです。V6エンジンとトランスミッション──業界でも新しいタイプのモーターを組み込んだ──に加えてリヤサスペンションのコンセプトも刷新、初の電子制御ディファレンシャルも採用しました。これこそ新時代のマクラーレンであり、唯一無二のスーパーカーです」
【SPECIFICATIONS】
マクラーレン アルトゥーラ
ボディサイズ:全長4539 全幅1913 全高1193mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1395kg(乾燥)/1498kg(DIN=液体+90%の燃料)
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2993cc
エンジン最高出力:430kW(585ps)/7500rpm
エンジン最大トルク:585Nm/2250-7000rpm
モーター最高出力:95ps
モーター最大トルク:225Nm
システム最高出力:680ps
システム最大トルク:720Nm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後アッパーウィッシュボーン+ロワーマルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前235/35ZR19 後295/35ZR20
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:3.0秒
投稿 マクラーレンの最新作「アルトゥーラ」詳報! 驚異のパワーウェイトレシオを実現した新世代PHEVスーパーカー は GENROQ Web(ゲンロク ウェブ) に最初に表示されました。