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Maserati Boomerang
ジウジアーロが生んだ革新的なくさび型クーペコンセプト
マセラティが1972年3月にジュネーヴショーでコンセプトカー「ブーメラン」を発表してから50年。美の巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが描きだしたスタイリングは、2022年の今見ても未来的であり、強烈な個性を放っている。
ブーメランは1971年のトリノショーで初めてその姿を公に披露した。その時は中身のないモックアップの状態だったが、1年後のジュネーヴではボーラ(シャシーナンバー「081」)のコンポーネントを与えられ、走行可能な車両として登場している。310馬力を発生する4719ccの8気筒エンジンをリヤに搭載し、8速ギヤボックスを介して後輪を駆動。最高速度は約300km/hを標榜していた。
7年前のオークションでは約4億円で落札
ついぞ市販されることのなかったブーメランだが、ジウジアーロが生んだスタイリングのエッセンスは後の作品にも活かされている。その車体は上下を2分割する水平方向のラインと、傾斜するウインドウとパノラミックサンルーフで構成される。フロントにはリトラクタブルヘッドライトを、リヤには水平基調のテールランプを備えた楔型の車体は、ピンと張り詰めた硬質なプレスラインと共に、研ぎ澄まされた刃のような雰囲気を漂わせている。
世界に1台だけしか存在しないブーメランはその後、ペブルビーチやヴィラ・デステといった世界各地のコンペティションなどに登場。いくつものオークションに出品され、都度オーナーを変えながらも大切に保管されてきた。ちなみに2015年のボナムス・シャンティイ・セールでは333万5000ユーロ(約4億2680万円)で落札されている。