EVになって生まれ変わった“スモール フィアット”

フィアット 500e日本上陸! 航続距離335kmを達成したピュアEVのチンクエチェント

フィアット 500eのフロントスタイル
人気のフィアット 500シリーズに100%電気で走行するピュアEV、500eが追加。国内デビューを果たした。
ステランティス ジャパンは、2022年4月5日に、新型車「FIAT 500e(フィアット チンクエチェント イー)」を日本で発表した。2022年6月25日から国内販売をスタートする。車両価格は450万円〜495万円。

Fiat 500e

100%電気で走る最新のチンクエチェント

フィアット 500e Openのフロントスタイル
フィアットブランド初のピュアEV「500e」が本邦デビュー。既存の500がもつ独自のスタイリングはEVになっても健在で、フロントグリルに埋め込まれた“500”の文字など新たなデザインがさらに魅力を助長する。

2020年にワールドプレミアした最新の500eが、いよいよ日本に上陸した。

ピュアEVとして生まれ変わった最新500のデザインは、フィアット スタイル センターが手掛けたひと目で“チンクェ”と分かるスタイリングと、ほのぼのとした雰囲気を継承している。全長3630×全幅1685×全高1530mmという小回りの利くボディサイズはEVになっても健在だ。

3ドアハッチとカブリオレの2種類をラインナップ

ボディバリエーションは3ドアハッチバックと、電動開閉式ソフトトップを備えたカブリオレの2種類をラインナップする。「どこから見てもみまごうことなきチンクエチェント」でありながら、出っ張りを無くしてフラッシュサーフェイス化したドアハンドルや、グリルの無いつるりとしたフロントマスクなどが現代的な雰囲気も主張。“500”の車名をアイコンとしてモチーフ化し、フロントグリル内に大きく配置しているのも新しい。リヤのロゴは最後の“0”が“e”を象っていて、EVであることをさりげなく主張している。

ミニマルなデザインは内外装に共通しており、コクピットの景色は潔いほどにシンプル。メーターはフルデジタルで、ダッシュボード中央には10.25インチの高解像度タッチスクリーンを備える。その下にエアコンルーバー、エアコン調整スイッチ、USBポート付き携帯電話収納スペース、さらに横長デザインのボタン式シフトセレクターが最小限のエリアに収められている。

航続距離は335km、「シェルパ」モードも搭載

フィアット 500e Openのパワートレイン
リチウムイオンバッテリーの容量は42kWhを確保し、最大航続距離335kmを誇る。モーター最高出力は118ps、最大トルクは220Nmを発揮し、充電は200V普通充電と急速充電(CHAdeMO)が利用できる。

パワートレインは、全車に最高出力87kW(118ps)/最大トルク220Nmの電気モーターと、容量42kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。航続可能距離は335km(WLTPモード)が公称値となっている。なお、充電は200Vの普通充電、及びCHAdeMO規格急速充電に対応。

走行モードは「ノーマル」「レンジ」「シェルパ」の3パターンから選択できる。「シェルパ」はヒマラヤ登山を支える強力(ごうりき)のこと。スタミナ溢れる頼もしいサポーターになぞらえた名称が示すとおり、“電費”を最大限まで向上して走行するモードだ。条件に応じて最高速度を80km/hに制限し、エアコンやシートヒーターを制御して航続距離を稼ぎ出すこともある。その場合、ドライバーは任意でエアコンもしくはヒーターを作動させることも可能だ。

「ノーマル」は内燃機と極めて近い感覚で運転できるモードで、「レンジ」ではエネルギー回生を積極的に行なうモード。各モードの切り替えはセンターコンソール前方のダイヤル式スイッチで操作する。

ニーノ・ロータのメロディで接近をお知らせ

ADAS(先進安全運転支援機能)系のメニューも充実している。自動車/歩行者/自転車を検知するオートマチックエマージェンシーブレーキをはじめ、レーンディパーチャーワーニング、リヤパーキングカメラ、自動ハイビームを全車に標準装備。ACCやレーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットアシストなどもモデルにより搭載している。

もうひとつ、500eにはいかにもイタリアらしいアイデアが採用されている。「アコースティック・ビークル・アラート・システム(AVAS)」は歩行者に警告音で自車の存在を通知するシステムであり、音もなく走る電気自動車には欠かすことのできない安全機能。500eでは、最高20km/hまで作動するこのAVASに無機質なアラートではなく、ニーノ・ロータがフェリーニの映画のために作曲した『アマルコルド』を使っている。街に機械的な警告音より、メロディを。こんな発想も、チンクエチェントがもつ楽しげなムードに繋がっているのかもしれない。

EV時代の“ザ・ベーシック”となるか

新型フィアット 500eのカブリオレ。フロントビュー
新型フィアット 500eのカブリオレ。電気自動車時代の“FFコンパクトカー”のアイコンになりそうなコロンとした愛らしいフォルムと、きびきびと取り回すことができる小粒なボディサイズは健在だ。

初代ヌオーヴァ 500は、1960年代の社会にクルマで移動するという自由を広く与えた。2代目500も10年を超えるロングセラーとなり、21世紀へのバトンを繋いだ。

全長4m足らずのコンパクトカーで、航続距離300km強のショート〜ミドルレンジのEVがこれからの都市交通環境にフィットする可能性は十分ある。この500eも、EV時代の“ザ・ベーシック”として、次世代の毎日の生活を支える1台となってくれるかもしれない。

新型500eは、エントリーモデルの「Pop」、シートヒーターやACCなど上級装備を搭載する「Icon」、Iconと同等の装備をもつカブリオレの「Open」の3モデルをラインナップ。なお、当面は新たなサブスクリプション型カーリース「FIAT ECO PLAN」と、すでに開始している「パケット FIAT」を通じての販売となる。月額利用料金は「FIAT ECO PLAN」が5万3900円(Pop:ボーナス払い10回・11万円)から、「パケット FIAT」では3万4000円(Pop:ボーナス払い10回・11万円)からとなっている。

【SPECIFICATIONS】
フィアット 500e(3ドア ハッチバック)
ボディサイズ:全長3630 全幅1685 全高1530mm
ホイールベース:2320mm
トレッド:前1470 後1460mm
車両重量:1320㎏
モーター最高出力:87kW(118ps)
モーター最大トルク:220Nm
バッテリー容量:42kWh(リチウムイオンバッテリー)
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ディスク 後ドラム
タイヤサイズ:前後195/55R16(Pop) 前後205/45R17(Icon)
一充電走行距離(WLTPモード):335km
交流電力消費量(WLTPモード):128Wh/km

フィアット 500e(カブリオレ)
ボディサイズ:全長3630 全幅1685 全高1530mm
ホイールベース:2320mm
トレッド:前1470 後1460mm
車両重量:1360㎏
モーター最高出力:87kW(118ps)
モーター最大トルク:220Nm
バッテリー容量:42kWh(リチウムイオンバッテリー)
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ディスク 後ドラム
タイヤサイズ:前後205/45R17
一充電走行距離(WLTPモード):335km
交流電力消費量(WLTPモード):128Wh/km

車両本体価格(税込)
500e Pop:450万円
500e Icon:485万円
500e Open:495万円

【問い合わせ】
CIAO FIAT
TEL 0120-404-053

【関連リンク】
・新型フィアット 500e公式ウェブサイト
https://www.fiat-auto.co.jp/500e/

・FIAT ECO PLAN
https://www.fiat-auto.co.jp/fiat_eco_plan/

・パケット FIAT
https://www.fiat-auto.co.jp/pacchetto_fiat/500e/

マセラティ グレカーレ トロフェオのフロントビュー

マセラティ グレカーレ登場! マカンキラーの最新SUVを渡辺慎太郎が解説

マセラティは2022年3月22日に新型車「グレカーレ」を発表した。同社にとってはレヴァンテに続く第2弾のSUVであり、まずはV6ツインターボ/直4マイルドハイブリッド仕様からリリース。追ってBEV仕様も追加するという期待のモデルだ。マセラティの新時代を担う重要モデル「グレカーレ」はどんなクルマなのか。自動車ジャーナリスト・渡辺慎太郎が注目ポイントを解説する。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…