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Porsche Experience Center Tokyo
究極のトレーニング
館山自動車道・木更津北ICを降り、ポルシェ通りと名付けられた程よいワインディングを約1km走ると、その建物は姿を現した。江戸切子をモチーフにしたというモダンなメインビルディングが、特別なドライビング体験の幕開けを予感させる。
昨年10月にグランドオープンしたポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)はポルシェ車での走行プログラム、シミュレーターラボ、オファイシャルアイテムショップなどを揃え、ポルシェ・ブランドの世界を体験できる最先端の施設だ。
世界に9ヵ所(カナダ・トロントが2024年開業予定)あるPECだが、中でもPEC東京は43ヘクタールもの広大な敷地に2.1kmのハンドリングトラックや5種類のドライビングモジュールを持つポルシェにとっても特別な場所である。
夢の施設のその中身
「ふ〜ん、いいなぁポルシェオーナーは」とここで思った人は早計である。PEC東京はポルシェオーナーのための施設ではない。誰でも入場可能であり、ドライビングプログラムやシミュレータープログラムのみ事前の予約制となっている(空き状況によっては当日予約も可能)。
有料ではあるものの、誰でも憧れの911やパナメーラ、タイカン、718でトラックを周回したり、定常円旋回やパイロンスラロームまで体験できてしまうまさに夢のような施設なのである。例えばドライビングエクスペリエンス(90分間)であれば、718 ケイマンTが4万9500円、911 カレラが6万500円ほどの価格ですべてのドライビングプログラムを自らステアリングを握って体験でき、しかもインストラクターからのアドバイスも受けられる。ポルシェの購入を考えている人はもちろん、ポルシェ車を運転したい人にとっても、非常に魅力的なプログラムなのである。
また館内は無料のWi-Fiが使用できるので、モダンで落ち着いた施設内のレストランやカフェをワーキングスペースとして活用する方法もある。PEC東京はすべての人へ門戸が開かれた施設というわけだ。
そのPEC東京に6つ目のモジュールとなる「キックプレート」が新設された。キックプレートとは濡れて滑りやすくなったコンクリート路面に埋設された油圧プレートを、クルマのリヤアクスル通過時に左右どちらかに動かし、強制的にスピンさせるシステムだ。世界中でもまだ僅かな稼働数であり、アジアではPEC上海とPEC東京の2ヵ所のみとなる。
新モジュール「キックプレート」を体験
実際に911 カレラのハンドルを握り、キックプレートを体験してみた。約50km/hでプレートの上を通過すると「ドン!」という音とともにリヤが左右どちらかランダムに蹴飛ばされる。あまりのリヤの流れ出しの速さに、1回目のトライでは反対にカウンターを当ててしまった。2回目のトライはなんとかカウンターを当てることに成功したが、リヤが滑った刹那、前方には空気圧で立ち上がる黄色の棒のような障害物がこれまたランダムで左右、中央に出現する。テールブレイクする車両を立て直しながら、前方に出現する障害物をさらにかわすのは至難の技だ。聞けば、キックプレートの路面μはアイス路と雪路の中間くらいとのこと。
キックプレートを体験してみて強く感じたのは、日常でもこのような状況は起こりうる可能性があるということだ。例えば雨天時、高速道路を走行中にハイドロプレーニング現象を体験したことはないだろうか? 直線時ならまだいいが、コーナリング中にハイドロに陥った場合、アンダーステアで制御は不能となるだろう。雨天や雪などの悪天候によってもしかり、あるいはリアルワールドでは何が起きるかなど予想はつかない。そのためにも私たちは常にステアリングを両手で保持していなければならないのだ。
本キックプレートが導入されたことで、PEC東京はすべてのドライビングモジュールが完成したことになる。運転スキルアップを目指す読者の方、気軽にPEC東京で最新鋭のシステムを体験してみることをお勧めしたい。
REPORT/石川亮平(Ryohei ISHIKAWA)
PHOTO/ポルシェジャパン
MAGAZINE/GENROQ 2022年 8月号
衝撃のキックプレート体験を動画でチェック!
【所在地】
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京
千葉県木更津市伊豆島字中ノ台1148-1
【関連リンク】
https://porsche-experiencecenter-tokyo.jp
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