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自宅でおいしいコーヒーを
美味しいコーヒーを自宅でも飲みたい。ドリップコーヒーにしろ、エスプレッソにしろ、その味と香りを極めようと思えば、事前の準備からコーヒー豆の管理、抽出までのプロトコルは厳密に管理せねばならない。そこに趣味としての“道”を見つける人も少なくないが、大多数の人はそこに“なるべくシンプルに楽しみたい”という条件をつけるものだ。
僕自身も達人と呼ばれる人の店を訪ね、ほっとするような空間と味をいっときの癒しとして求めることがあるが、毎日の朝の行事となれば話は別だ。そんなときに我が家で活躍してくれていたのがネスレの「ネスプレッソ」。豊富なバリエーションのコーヒーカプセルを使うことで、いつでも挽きたてのエスプレッソを楽しめる。しかもボタンを押すだけでOKというシンプルさを、すでに楽しんでいる方も多いだろう。
おうちコーヒーに革命を
そんなネスプレッソのシステムに、新しく加わったのが「ヴァーチュオ」だ。従来のネスプレッソも併売されることからも分かる通り、こいつはどちらかと言えばドリップコーヒーに属する飲み物だ。ところが実際に愉しんでみると、一般的なドリップコーヒーとも異なる新しい“おうちコーヒー”の味わいなのだ。
温度や抽出速度をコンピュータで精密に管理し、コーヒー豆ごとの(あるいは挽き方の具合によって)最適な抽出を行うクローバーという抽出機がある。ペーパーフィルターとは異なり、コーヒー豆の脂肪分がそのまま抽出される上、とても安定した味が楽しめる僕も大好きな抽出機だ。ヴァーチュオの仕組みは、このクローバーとは異なるけれど、実に近い風合いを引き出してくれる。まずは感動するのがこの点。うっとりするような香りだけではなく、口腔内に広がるふくよかな味わい、薄っぺらさのない風味の豊かさが、あっという間にボタンひとつで楽しめるという事実。
美味しさの秘密はカプセルに
その秘密はシステムの細かなところにある。専用カプセルの周囲にはバーコードが埋め込まれており、ここにどんな温度、抽出量、蒸らし時間が最適か、といった情報が記録されている。ヴァーチュオは、このコードを読み取って自動的に選んだコーヒー豆の特徴に合わせて抽出する。しかもデカフェを合わせた28種類のカプセルは、いずれも劣らず個性派揃い。酸味が強めの浅煎りから、コクのある味わいの深煎りコーヒーまで幅広いが、このうち14種類は230mlとマグカップサイズ、2種類は414mlとトラベルマグでの抽出に対応したカプセルだ。
自粛モードで自宅リモートで仕事をしていると、小さなコーヒーカップではなく、マグカップで飲みたいところ。まさに願ったり叶ったりだが、その味もまた独特だ。
毎秒4000回転でカプセルを回転させ、遠心力で抽出するシステムは、クローバーと同様に本来含まれる脂質をそのままに、しかし細やかなクレマ(泡)が一体となって滑らかな味わい。発表以来、何度かの試飲を経て、我が家のネスプレッソは買い替え直前。ストックのコーヒーカプセルがなくなったら、きっと我が家のキッチンにはヴァーチュオが鎮座していることだろう。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2020年 7月号
評価
抽出量が少ないネスプレッソを2カプセル使いで楽しんでる人なら、むしろランニングコストは安くなるかも。ドリップコーヒー志向が強いなら家庭向けとしては現在最強のシステム。
コストパフォーマンス:4
革新性:4
使い勝手:5
デザイン:4
コーヒーの味わい:4
PRICE
2万900円(税込)
【問い合わせ】
ネスプレッソ
TEL 0120-57-3101
http://www.nespresso.com