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プロっぽい動画をスマホで仕上げる“ジンバル”
最新スマホの動画機能は単に画質を良くするだけではなく、まるで映像作品のように美しくドラマティックな撮影が可能だ。従来の進化軸とは異なる方向で、誰でも気軽に作品と呼べるような映像を創作できるようになってきた。
背景としてはスマホ内蔵カメラの高性能化もあるが、AI技術の進歩などがあって、プロの撮影テクニックや絵作りをアマチュアがエンターテインメントのひとつとして取り入れることが可能になったこともある。iPhone 13シリーズのシネマティックモードやXperia PRO-IのVideography Proなどはその代表例。映像作品を創作するハードルは確実に下がってきている。
そしてそんな最新スマホの撮影機能を、さらにプロっぽく仕上げる決め手となるのが“ジンバル”と呼ばれる、撮影を安定させる装置だ。プロ向けでは“ステディカム”などとも呼ばれる本格的な装置があるが、その簡易版と考えればいい。
スリムに折り畳めて290gと軽量
撮影時の水平方向、垂直方向の傾きを常時補正し続け、撮影モードによって同じ方向を向き続けたり、ゆっくりと一定の速度でパンさせるなど、まるで撮影クレーンを使ったようなダイナミックな動きと安定した映像の両立をサポートしてくれる。このジャンルで最も信頼されているのがDJIだ。ご存知、ドローンのトップ企業だが、ドローンに搭載するカメラで安定した撮影を行うため、ジンバルの技術を磨き込んできていたのだ。
と、前説が長くなったが、DJIのジンバルはトップの信頼性と性能、機能を持つのだが、ジンバルにはひとつ大きな弱点がある。それは撮影準備がひと手間かかること。そして嵩張る割には用途が限られていることだ。ところがOM5は、そのどちらも解決している。
OM「5」というぐらいなので、OM4も存在しているが、このシリーズの特徴は磁石でスマホとジンバルを簡単に接続できること。そのための専用クランプが付属しており、あらゆる端末に適応できるよう作られている。使いたい時は磁石でバシッと取り付けるだけ。しかもOM5本体は極めてスリムに折り畳むことができ、重さも290gと軽量だ。ちなみにオプションで OM5の磁石接続に対応したリングホルダーも販売されているので、これを背面に貼り付けておけば、クランプに挟んでおく必要もなくなる。
自撮り棒でVlogに最適のツール
極め付けは最大215mmまで伸びるロッドだ。OM5本体はスマホ三脚にもなるよう設計されているが、さらにロッドを伸ばして215mmのロング自撮り棒になるのだ。単に長いだけならば手ブレ量産ツールにしかならないが、 OM5はそもそも撮影の自動安定が本職。長くロッドを伸ばしても安定した撮影が可能なため、自撮りを含めたVlogには最適というわけ。
もちろん、三脚やロング自撮り棒といったメカは静止画でも役立つ。最新スマホのカメラを最大限に生かすツールとして、 OM5は旅に欠かせない相棒となりそうだ。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2022年 4月号
PRICE
1万7930円
評価
DJI Pocket 2が超コンパクトなジンバル内蔵カメラなのに対し、OM5は最新スマホの強化ツール。定期的にスマホを買い替えてる人ならば、その時々の最新スマホを最大限に活かせる。
コストパフォーマンス:4
撮影時の安定性:5
使いやすさ:4
コンパクトさ:4
携帯性:3
【問い合わせ】
DJI JAPANカスタマーサポート
https://www.dji.com/jp/