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Porsche Taycan
すべてのアップデートを無償で提供
今回のアップデートでは、デリバリー時期に応じて、パワートレインの効率性向上、ポルシェ・コミュニケーション・マネジメント(PCM)やポルシェ・コネクト、アシスタンス・システムなどに新機能が追加された。
また、すべての世代のタイカンが、OTA(ワイヤレス接続)アップデート機能強化を実施。タイカンに搭載されている様々な機能や装備をアンロックするオプション(ファンクション・オン・デマンド)も含まれている。
これらのアップデートは無料となっており、ポルシェ・センターなどのサービスワークショップに入庫した際に実施することができる。ポルシェAGのタイカン担当副社長、ケビン・ギークはタイカンの大規模アップデートについて、次のように説明する。
「今回のアップデートにより、お客様は継続的に行われてきたタイカンの改良作業からの恩恵を得ることができます。2019年のデビュー以来、私たちはほぼすべてのコンポーネンツやシステムに改良を加えています。新しい機能が追加され、その他の機能も修正・微調整することでお客様の体験をさらに向上させたのです」
「このアップデートを導入することで、生産初期にタイカンを購入したお客様であれば、デビュー後にどれだけこのクルマが進化を果たしたか、嬉しい驚きを感じることでしょう」
年式の古いモデルほど大きな恩恵
ポルシェ社内では、2022年7月からデリバリーされた2023年モデルの型式名に「P」の文字を冠していることから、今回の大規模アップデートを「uPdate」とネーミング。アップデートの正確な範囲とワークショップへの入庫期間は、それぞれのタイカンに搭載されているソフトウェアの状態によって異なる。年式の古い車両ほど、より多くの改良とシステムのアップデートが行われるという。
タイカンに関しては、今回の大規模アップデートに合わせて22kWの車載充電器の後付けも可能になった。車載充電器の追加はカスタマーの費用負担となるものの、ソフトウェア・アップデートのためのワークショップ入庫に組み合わせることができる。
最大22kWの充電能力により、充電時間は大幅に短縮。さらに欧州と北米では「プラグ&チャージ(Plug&Charge)」機能も有効化される。これによりカードやアプリを使わずに、充電施設の利用と決済が可能になった。プラグ&チャージ対応充電アダプタをタイカンに接続すると、自動的に充電がスタート。同時に支払いが行われる。
低負荷走行時にフロントモーター使用をカット
パワートレインに関しては、AWDモデルの「ノーマル」と「レンジ」走行モードにおいて低負荷運転時にフロントアクスルの電気モーターがほぼ完全に切り離される仕様へと変更。さらに惰性走行時や停止時は前後アクスルの駆動トルクも解放される。これにより摩擦抵抗による電力の損失を低減し、航続距離をが大幅に伸びることになった。
コクピットのAWDインジケーターは、センターディスプレイのエネルギー・フローインジケーターとして表示するよう変更し、現在の動作状態がより分かりやすくなった。また、エネルギー回生も最適化。例えば自動回生の設定はドライバーが運転プログラムを変更した場合でもキープされるなど、カスタマーの利便性が大幅に向上している。
バッテリーシステムの熱管理も最適化される。電子パーツからの排熱をバッテリーを温めるためにこれまで以上に活用するなど、特に外気温が低いときにバッテリーのコンディションを良い状態に保つことで、より短時間での充電が可能になった。
PCMとポルシェ・コネクトに新機能を追加
ポルシェ・コミュニケーション・マネジメント(PCM)とポルシェ・コネクトに新機能が追加された。スタート画面にカラフルなタイルデザインを導入し、使いやすさは大幅に向上。2020年から2022年2月中旬までに生産されたタイカンは、このアップデートによりボイスコントロールが最適化され、「Spotify」のアプリもインストールされる。また「Android Auto」は、ワイヤレスで利用することが可能だ。
ヘッドアップディスプレイを搭載した2021年モデルのタイカンは、ナビゲーションマップの表示を変更。ディスプレイの表示内容も追加され、さらにすべてのタイカンで車載操作説明書を音声コントロールにより使用できるようになった。「パークアシスト」機能はセンサーの作動範囲が拡大。駐車スペースの検索機能も改善され、より狭いスペースもパーキングの選択肢として提供される。
すべてのタイカンが、購入後でもドアとテールゲートのキーレスオープン機能(コンフォートアクセス)を追加することができるようになった。
ポルシェの高いクオリティによるアップデートの実施は、BEVならではの機能向上はもちろん、インターフェイスなど内燃機関車も共通のアップデートが施される。これは既存のポルシェ内燃機関車オーナーにとっても、車両の最新化プロジェクトを期待せずにはいられないだろう。