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Czinger 21C
3回のアタック全てでラップレコードを記録
ジンガー・ビークルスは、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に、3Dプリンタ製造技術を駆使した同社初のスーパースポーツ、ジンガー 21Cを2020年に発表した。21Cは独自に開発したハイブリッドパワートレインを搭載。2.88リッターV型8気筒ツインターボエンジンと、フロントホイールには2基の電気モーターを組み合わせ、最高出力は1250hpを発揮する。
従来の市販モデルによるラグナセカのコースレコードは、マクラーレン セナによるもので、ランディ・ポブストが1分27秒62で走行している。
7月21日午後7時43分、天気は晴れ、風向は約9マイル(約1.5m)、気温は15度と絶好のコンデションとなったこの日、ミシュラン・パイロットスポーツCup2Rタイヤを装着し、ロサンゼルスのジンガー本社ファクトリーで設計、製造、組み立てを行ったアタック用車両がコースに送り込まれた。
ジョエル・ミラーがステアリングを握ったジンガー 21Cは、3.602 kmのコースにおいて1分25秒446のラップレコードを記録、これはマクラーレン セナの記録を約2秒も更新している。この日は合計3回のアタックが行われ、他のラップでも1分27秒4、1分26秒6と、従来の記録を上回った。
モントレー・カーウィークで記録車両を展示
ジンガー・ビークルスは、8月12日から16日まで開催される「モントレー・カーウィーク」の期間中、ペブルビーチに設けられるジンガーのプライベートハウスにおいて記録を更新した21Cを展示する。同社の創設者であり、CEOを務めるケビン・ジンガーは、今回のレコードラップ樹立について、次のように喜びを語った。
「オハイオ州クリーブランドでブルーカラーの息子として育った私にとって、レース界のヒーローであるジム・ホール、彼のチームが作った当時の最新テクノロジー満載のレーシングカー『シャパラル』、そして伝説のラグナセカ・レースウェイでのレースを思い出すと、昨日の夜はワクワクで眠ることができませんでした」
「あの当時とは、取り巻く環境や、AIや3Dプリンタなど使われている技術も違いますが、エネルギッシュな精神は変わりません。シャパラルと同じように私たちも、スピードの世界でアメリカンドリームを体現しているのです」
さらなるラップレコード・チャレンジも計画中
チーフエンジニアのユアン・ブラッドリーは、21Cが公道走行可能な市販モデルとしてラグナセカで記録を更新したことの重要性をアピールする。
「今回のラップアタックを受けて、21Cのパフォーマンスに満足していることは言うまでもありません。公道走行可能なホモロゲーションを取得したマシンで、このラップタイムを達成できたのは、チームの努力の結果です。さらにエキサイティングなのは、さらなるパフォーマンス向上が可能だということです」
ジンガー・ビークルスは、ラグナセカでの記録更新に続き、さらなるサーキットレコードへの挑戦も予定しているという。今回、ドライバーを務めたジョエル・ミラーは、あらためて21Cのパフォーマンスを絶賛した。
「新しいクルマを作るのはけして簡単ではありませんが、ジンガーの開発陣はとてつもなく速いクルマを作り出しました。記録達成のために、私をドライバーとして迎え入れてくれたことに感謝するしかありません。21Cに導入された革新的な技術によって、類稀なスピードを手に入れました」
「ドライブ中はスポーツカーの魂を感じることができるでしょう。ステアリングホイールから、クルマが何をしているのかが手に取るように分かるのです。このハイブリッドパワートレインのポテンシャルは、特に最高出力時に心を揺さぶるものがあります。ラグナセカでの記録更新もちょっとした差ではなく、一気にタイムを削ったのも当然と思えるほどです」