グリーンヘルでいま一番速いコンパクトカー、アウディ RS 3

アウディ RS 3がニュル最速の称号を獲得! ルノー メガーヌの記録を4秒以上短縮 【動画】

新型アウディ RS 3 セダンがニュルのコンパクト部門最速ラップを記録。フロントビュー
新型アウディ RS 3 セダンがニュルのコンパクト部門最速ラップを記録。フロントビュー。
アウディが2021年7月19日に発表したばかりの新型RS 3が、早速華々しい記録を打ち立てた。ニュルブルクリンク北コースにおけるラップタイプで、ルノー メガーヌ R.S. トロフィーRから“コンパクトカー最速”の称号を奪取したのだ。今回の記録樹立には、新型RS 3が搭載した、とある新機能が大きく貢献をしたという。

Audi RS 3 Sedan

北コース20.832kmを7分40秒748でラップ!

新型アウディ RS 3 セダンがニュルのコンパクト部門最速ラップを記録。フロントビュー
新型アウディ RS 3 セダンがニュルのコンパクト部門最速ラップを記録。タイムアタックは2021年6月14日に実施された。

アウディは、2021年8月3日に「RS 3 セダン」がニュルブルクリンクのコンパクトカークラスで最速記録を樹立したと発表。ノルトシュライフェ(北コース)の全長20.832kmコースでのタイムアタックを実施したのは2021年6月14日で、ラップタイムは7分40秒748。王者に君臨していたルノー メガーヌ R.S. トロフィーRの記録を4秒64上回った。記録達成時の走行ムービーは、ニュルブルクリンクの公式YouTubeチャンネルで公開中だ。

今回のタイムアタックでドライバーを務めたのは、アウディ スポーツのレーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク・スティップラー氏。装着していたタイヤはピレリ Pゼロ トロフェオ Rのセミスリックで、空気圧はサーキットコンディション用に調整したという。ちなみに同タイヤは、今回初めて工場出荷時に装着可能なオプションとして設定されている。スティップラー氏は次のようにコメントしている。

「このような記録を出せるチャンスが常に訪れるわけではありません。だからこそ、走行時にはいかなる小さな要素も見逃すことができないのです。とりわけタイヤの空気圧は、トルクスプリッターの機能に影響を及ぼします。今回私たちのやり方はうまくいきました。この日はすべてが成功したのです」

アウディ量産モデル初の「トルクスプリッター」

新型アウディ RS 3 セダンでニュルのコンパクト部門記録を更新したフランク・スティップラー氏
新型アウディ RS 3 セダンで、ニュルのコンパクト部門記録を更新したフランク・スティップラー氏。

今回の記録達成のカギになったのは、スティップラーが言及したトルクスプリッター。リヤアクスルにかかるトルクを可変配分できる機能であり、「グリーンヘル(緑の地獄)と呼ばれる過酷なコースでの記録達成に大きく貢献」したとアウディでは主張している。アウディの量産モデルとして初めてRS 3に搭載されたもので、リヤアクスル・ディファレンシャルや、従来のリヤアクスル・マルチプレートクラッチパッケージに代わるものとなる。

トルクスプリッターの特性は、走行モードの切り替えにより様々に変更できる。新たに設定された「RS パフォーマンス ドライビングモード」にセットすると、エンジンやトランスミッションとともにトルクスプリッターを最適制御し、アンダー及びオーバーステアを最小限に抑えた精度の高い走りを実現するという。

歴代最高の性能を手に入れた最新RS 3

アウディの新型RS3 スポーツバックおよびセダン
アウディは2021年7月14日に新型のRS 3 スポーツバック及びセダンを発表。RSシリーズの最新エントリーモデルは、よりパワフルに、よりレーシーに進化している。

トルクスプリッター機能の採用により、サーキットでは車両を完全にコントロールした状態でドリフト走行することも可能になった。この場合、トルクスプリッターはすべてのパワーを左右いずれかのリヤホイールのみに伝達する。各ホイールには最大で1750Nmのトルク伝達が可能という。ドリフト専用の「RS Torque Rear(RSトルクリヤ)」と呼ばれるモードも開発。同モードでは、トルクスプリッターのトルク配分曲線が専用のセットアップに切り替わる。

アウディは2021年7月19日に、最新世代に進化を遂げたRS 3を発表している。最高出力400ps、最大トルクは500Nmという歴代最高のパワーを誇る新型は、0-100km/h加速わずか3.8秒を記録。最高速度は250km/hに制限されているが、オプションで280km/hに引き上げることも可能となっている。さらに「RSダイナミックパッケージ」と「セラミックブレーキ」を装着することで、最高速度は290km/hにまで向上する。

380×38mmのフロントセラミックブレーキをオプション設定するなど、レーシーな要素を一段と強化し、コンパクト界最速の称号を手に入れたRS 3は2021年8月半ばから欧州での注文受付をスタート。今秋からの発売が決まっている。RS 3 スポーツバックのベース価格は6万ユーロ(約780万円)、RS 3 セダンのベース価格は6万2000ユーロ(約805万円)。日本への導入時期や価格は現時点で未定となっている。

アウディ RS 3がニュル最速を記録したアタックを動画でチェック!

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…