目次
Multimatic TASV damper technology
プロサングエの「FAST」を支えるTASV
フェラーリ プロサングエは「フェラーリ・アクティブ・サスペンション・テクノロジー（FAST）」システムを初めて搭載。このFASTを技術的に支えているのが、マルチマティック社が開発した「TASVダンパーシステム」だ。このパッシブ／アクティブ・ダンパーは、路面から生じたエネルギーとドライバーの入力を受けて、サスペンションの動きを制御するよう設計されている。
マルチマティック社は、TASVダンパーシステムの開発に際し、ダンパーの役割を再定義。路面の乱れや運転操作を予測し、車体全体をコントロール可能なアクティブ・ダンパーシステムを開発した。これにより、あらゆる状況下で最適なハンドリングと乗り心地を実現している。
マルチマティックのエンジニアリング担当副社長を務めるマイケル・グッティラは、TASVダンパーシステムについて次のように説明した。
「このTASVダンパーシステムにより、あらゆる速度域において、目標とするロール／ピッチの適正なダイナミクスを実現。車体を継続的に制御することが可能になりました」
「例えば、加速時、ブレーキング時、コーナリング時に積極的に車両の重心を下げ、ピッチとロール剛性を制御し、トラクションを最大化することができるのです。さらに、アンダーステア／オーバーステアのハンドリングバランスをダイナミックに最適化することも可能です。荒れた路面を走行する際、タイヤの路面への接地性を最適化し、抜群の乗り心地と安定性だって実現することができます」
TASVに搭載される2基のスプールバルブ
TASVダンパーのテクノロジーの中核を占めるのは、マルチマティック製ダンパーの革新技術でもある「スプールバルブ」。TASVダンパーシステムの内部には2基のスプールバルブが搭載されており、圧縮と伸縮を独立制御することで、あらゆる走行条件において、正確で予測可能なコントロール性を実現した。
TASVダンパーシステムには、独自開発された水冷48V・3フェーズ・ブラシレス電気モーターを搭載。特注のツインリード・ボールスクリューとギヤボックス・アセンブリを介して、ダンパーシャフトに補助力を供給する。このシステムは、パッケージのスペース・重量・回転慣性を最小限に抑えるため、効率的に設計された。
フェラーリ プロサングエの各ダンパー・アクチュエーター・アセンブリには、オンボード・モーター制御モジュールを搭載。車両性能とパッセンジャーの乗り心地を最適化すべく、車両ダイナミクスコントローラからダンパーへと制御指令が送られる。
TASVダンパー・テクノロジーを導入することで、例えば、サーキット走行において、ドライバーはより速いラップタイムでの走行が可能になる。公道においても、あらゆる状況下でコントロールと自信をキープした状態で快適なドライブを体験することができるという。
