メルセデスAMG C 63とBMW M3、永遠のライバル対決!

最新の最強サルーン「メルセデスAMG C 63対BMW M3」F1由来の高出力ハイブリッドと伝統のストレートシックスの徹底比較

メルセデスAMG C 63 vs BMW M3
新型メルセデスAMG C 63がデビュー。ライバルのBMW M3とスポーツセダンの頂点を競う。
スーパースポーツモデルに匹敵するハイパフォーマンスを備えながら、4ドアボディでユーティリティも兼ね備えるスポーツセダン。その最右翼と言える新型メルセデスAMG C 63がデビューした。直4ターボに電動モーターというハイブリッドモデルになったC 63は、ライバルのBMW M3とどう渡り合うのか? 現状で判明しているデータを元に両車を比較する。

Mercedes-AMG C 63×BMW M3

最強スポーツセダンの座

2022年9月にデビューを果たした新型メルセデスAMG C 63。エントリーサルーンたるCクラスのボディに強力なAMG製パワーユニットを搭載し、歴代モデルはいずれも過激なスポーツ性能で世界中のエンスージアストを魅了してきた。このスポーツセダンが相対するライバルと言えば、筆頭は同じドイツが誇るBMWのM3セダンで間違いないだろう。

第6世代となる最新のBMW M3は、AMG C 63に先行してリリースされ、すでにスポーツセダンのトップモデルとして君臨している。伝統のストレートシックスはツインターボによって過給され、最高出力510ps/最大トルク650Nmを発生してスーパースポーツモデルにも匹敵するパフォーマンスを誇るが、その牙城を狙うメルセデスAMG C 63は「E パフォーマンス」の名称を掲げ電気の力を得て追随してきた。ここでは両モデルのパワートレインとパフォーマンスを中心にそれぞれのキャラクターをデータから読み取って、スポーツセダンの頂上対決を試みる。

新機軸の直4ターボ+モーター vs 伝統の直6ツインターボ

新型AMG C 63のトピックは、何と言っても搭載するパワートレインにある。CクラスベースのAMGトップモデル「63」がこれまで頑なに採用してきたV8に別れを告げ、その名も「C 63 S E パフォーマンス」として、先行するC 43が採用した2.0リッター直4ターボ「M139lユニット」に電気モーターを組み合わせて搭載した。この最新ユニットはF1由来の電動ターボを採用していることも大きなニュースとなった。

パワートレイン比較

メルセデスAMG C 63 S E パフォーマンス

2.0リッター直列4気筒ターボ(M139l型)+モーター
エンジン最高出力:476ps/6750rpm
エンジン最大トルク:545Nm/5250-5500rpm
モーター最高出力:204ps
モーター最大トルク:320Nm
システム最高出力:680ps
システム最大トルク:1020Nm
トランスミッション:9速AMGスピードシフト

対する最新のBMW M3 コンペティションは、3.0リッターのストレートシックスに2基のターボチャージャーを備え、エンジン単体で最高出力510ps、最大トルク650Nmを発揮する。ちなみにラインナップは後輪駆動と4WD、さらにそれぞれスポーツドライブ志向の装備を与えたトラックパッケージが用意される。

BMW M3 コンペティション

4.0リッター直列6気筒ツインターボ
エンジン最高出力:510ps/6250rpm
エンジン最大トルク:650Nm/2750〜5500rpm
トランスミッション:8速 Mステップトロニック

パワースペックは大きく開くが加速性能は拮抗

遅れて登場しただけにメルセデスAMG C 63 S E パフォーマンスのパワースペックは、ライバルであるBMW M3 コンペティションを遥かに凌駕する。C 63 S E パフォーマンスと同様に加速性能と運動性能に寄与する4WDシステムを搭載するM3 コンペティション M xDriveと比較すると、C63は0-100km/h加速3.4秒、M3は3.5秒と、ほぼ互角と言っていい。

パフォーマンス比較

C 63 S E パフォーマンス

0-100km/h加速 3.4秒

M3 コンペティション M xDrive

0-100km/h加速 3.5秒

これはM3 コンペティション M xDriveの車体重量が1800kgに留まる一方で、C 63がE パフォーマンス、すなわちハイブリッドシステムを採用しており、6.1kWhのリチウムイオン電池搭載などで2111kgまで車体重量が嵩んでいることに起因している。とはいえ、300kg以上の重量ハンデを負いながらM3に先んじるC 63のハイパフォーマンス振りには瞠目すべきだ。

そのぶん、と言ってはなんだが、WLTCモード燃費はM3が9.8km/リットル(コンペティション xDriveの数値。RWD車は10.0km/リットル)と月並みなのに対し、C 63は約15km/リットルとハイブリッドらしい優秀な数値を掲げる。バッテリーのみで13kmのドライブレンジをもつのも、C 63のアドバンテージと言えるだろう。

最新デジタル装備を満載

ドライバーの走行状況に合わせてC 63は「スリッパリー」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」「レース」「インディビデュアル」「エレクトリック」「バッテリーホールド」「ドリフト」と多彩なドライブモードを備える。

一方のM3は標準でM Driveを採用し、オプションでサーキット走行に特化したM Drive プロフェッショナル(「Mドリフトアナライザー」「Mトラックモード」「Mトラクションコントロール」:トラックパッケージに標準装備)を用意するなど、スポーツドライブを好むユーザーへのバックアップは万全。

両モデル共にインストゥルメントパネルはフルデジタルメーターとなり、走行状況に応じて任意のディスプレイを提供するなど、スポーツドライブに特化した最新モデルに相応しいドライバーフレンドリーな面を持っている。

続々と拡充されるラインナップ

現在のところ、C 63はセダンとワゴンのリリースがアナウンスされているが、先代モデルはカブリオレとクーペをラインナップしていたことを考えると、今後モデル拡充の可能性は大いにある。同様にM3は現行の後輪駆動&4輪駆動のセダンモデルに加え、ワゴンが発表されており、本邦導入も時間の問題と予想される。ライフスタイルに応じて好みの仕様を選べるのはユーザーにとって嬉しいところだ。

いずれにせよ、ブランドの威信を懸けたライバル同士の凌ぎあいは今後ますます激化するのは間違いない。家族持ちだからとスポーツドライブを諦めていたユーザーにとって、5人乗りで利便性が高い4ドアセダンは格好の言い訳でありながら、並みのスーパースポーツを凌駕するパフォーマンスを秘めたC 63とM3は、他に代え難い魔力をもっている。SUVとミニバンに席巻された現代においてセダン/ワゴンはもはやファミリーカーではなく、かつてのクーペのような立ち位置と言えるからこそ、極端なクルマ造りが許されているいるのかもしれない。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…