新旧BMW M2を比較! カタログスペックでバーチャル比較

「BMW M2」を新旧比較して激熱コンパクトスポーツ6年分の進化を考察「新型を待つ? 旧型でも見劣りしない?」

BMW M2、新旧比較
BMW M2がフルモデルチェンジし第二世代へと移行した。新旧2モデルをカタログスペックで比較する。
BMWがリリースするMモデルのボトムライン、M2がフルモデルチェンジし2世代目へと進化した。両者のカタログスペックを比較し、6年の進化を追う。

BMW M2 Coupe

BMW Mの末弟はキープコンセプト

BMWの高性能ライン「M」における最小モデル、M2。かつての名車2002ターボ、通称マル二を現代に蘇らせたかのようなコンパクトなボディに、強力かつ伝統の直列6気筒ツインターボエンジンを搭載し、サーキットユースにも耐えるハイパフォーマンスが自慢のスポーツモデルだ。

そのM2が2016年の登場以来、初のフルモデルチェンジを受けて第2世代が登場した。BMWのスポーツモデルを代表してきたM3が「奇数車名=セダン」というBMWの新しいネーミング法則に従い4ドアボディ(とワゴンボディ)に統一され、M3ベースのクーペはM4となった。そのためM2は「偶数車名=クーペ」の通例に沿って2ドアクーペボディを採用して今までM3が担ってきたMの最小スポーツモデルとなった。果たして2022年に発表された新型M2は、6年の歳月を経てどのように進化したのか?

パワーアップとサイズアップ

新旧M2のスペックは以下の通り。注目すべきはボディサイズの拡張と重量、そしてエンジン諸元。新型は全長が112mmに伸ばされて、ホイールベースは54mm伸長されており、これが直進安定性及び車内空間の向上につながっていると見られる。またトレッドはフロントが30mm拡大され、旧型とは逆にフロントトレッドの方が広くなっているのは興味深い。

エンジンは同じ直列6気筒DOHCツインパワーターボだが、搭載される「S58」型は先代の「S55」よりも、ストロークが0.4mm延びて排気量は14cc増となった。最大トルクの発生値は2650-5870rpmと、わずかに高回転化されている。

トランスミッションは前モデルの7速DCTに代えて、8速ATをラインナップ。コンベンショナルな6速MTも用意される。車重は8速ATモデルが1725kg、6速MTモデルが1700kgとなる。2ペダルモデルと6速MTモデルいずれも130kgも増加した。それでも最高出力が90ps多い恩恵もあってか0-100km/h加速は2ペダルと3ペダルでそれぞれ0.2秒速くなった。

BMW M2の新旧スペック比較

新型M2(8速AT/6速MT)旧型M2(7速DCT/6速MT)
ボディサイズ:全長×全幅×全高(mm)4580×1887×14034468×1854×1410
ホイールベース(mm)27472693
トレッド前&後(mm)1617&16051579&1601
車両重量(kg)1725/17001595/1570
エンジン型式直列6気筒DOHCツインターボ直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc)29932979
ボア×ストローク(mm)84.0×90.084.0×89.6
最高出力460ps/6250rpm370ps/6500rpm
最大トルク550Nm/2650-5870rpm465Nm/1400-5560rpm ※2
トランスミッション8速AT/6速MT7速DCT/6速MT
駆動方式RWDRWD
タイヤサイズ前275/35ZR19 後285/30ZR20前245/35R19 後265/35R19
0-100km/h加速4.1/4.3秒4.3/4.5秒
※:各数値は欧州仕様 ※2:オーバーブースト時には500Nmを発生

キープコンセプトながら全身くまなく刷新

ブレーキは旧型M2がフロント4ピストン/リヤ2ピストンであるのに対し、新型はフロント6ピストン/リヤシングルピストンへと変更。サーキットユースでも性能を発揮するMコンパウンドを採用するのは新旧共に同様だ。また、新型M2ではリヤアクスルに「アクティブMディファレンシャル」を標準装備し、同じく標準装備の「Mトラクションコントロール」は10段階設定が可能。

タイヤサイズは旧型M2が前後19インチだったのに対し、新型M2ではタイヤ幅を前後共に広くしつつ、最新のスポーツモデルらしく前後異径サイズを採用している。

エクステリアはフロントグリルが大胆に刷新された。旧型が3.0 CSLを彷彿とさせるフロントスポイラーにBMW Mモデル特有のダブルスポークホイールのデザインを反映した特徴的なキドニーグリルを備えているのに対し、新型M2では水平方向ルーバーを内蔵したフレームレス形状の大型BMWキドニーグリルを採用。スクエアな輪郭を持つ3分割ロワーエアインテークと組み合わせてエアロダイナミクスと冷却性能を最適化した。

コクピットでは12.3インチ・インフォメーション・ディスプレイと14.9インチ・コントロール・ディスプレイを組み合わせた「BMWカーブド・ディスプレイ」を新型M2では採用。よりスポーツドライブに特化したインフォメーションを瞬時に得ることができるという。

新旧モデルはどれを選ぶべきか

新旧M2のスペックを比較すると進化の幅は大きく感じるが、旧型の上位グレードであるM2 コンペティション(最高出力410ps/最大トルク550Nm。0-100km/h加速は新型M2と比較して2ペダル、3ペダルともに0.1秒遅い)との比較ではそれほど圧倒的なものではない。もちろん、新型M2にコンペティショングレードが追加されれば、その差はやはり大きくなるはずだが、現状では新型M2と旧型M2 コンペティションは充分競合する。

2016年に日本導入が開始されたM2クーペは7速DCTモデルで770万円、2018年導入のM2 コンぺティションは7速DCTモデルが935万円、2020年導入のM2 CSは7速DCTモデルが1285万円という価格設定だった。昨今の車両価格高騰の例を見れば、新型M2の国内車両価格は800万円を超えてくるだろう。ちなみに2017年に国内導入されたM3セダンはDCTモデルが1185万円(コンペティションは1256万円)で、2021年導入のM3 コンペティションは1324万円だった。

価格とスペック差を考えると、新型M2とスペックが近い旧型M2 コンペティションは断然お買い得とも言える。あるいは現行M3セダンがコンペティションのみ国内導入した先例があるだけに、新型M2も素のモデルの導入をスルーしてコンペティションの追加を待ってから1グレードのみ導入の可能性もある。また、旧型M2にはさらにスパルタンなM2 CSも用意されていたが、新型M2でもコンペティションに続いてCSが用意されるのも既定路線だろう。

いずれにしてもコンパクトな車体に強力なマルチシリンダー内燃機を積む生粋のスポーツモデルは今後その姿を徐々に消していく。悩ましい選択肢ではあるが、決断するなら早い方が良いのは間違いない。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…