ウルス・ペルフォルマンテはなぜ走行モードが減ったのか?

ランボルギーニの最新SUV「ウルス ペルフォルマンテ」の走行モードが減った理由を解説

エアサスから金属スプリングとなり、車高も20mmダウンしたウルス ペルフォルマンテ。リヤのダウンフォースは38%向上している。
エアサスから金属スプリングとなり、車高も20mmダウンしたウルス ペルフォルマンテ。リヤのダウンフォースは38%向上している。
ウルスには実に6種類もの走行モードが用意されていた。それは新型ウルスSにも引き継がれている。しかし、もっともパフォーマンスを重視したウルス ペルフォルマンテのANIMAは新たRALLYモードが設定されたものの、結果としてウルスSよりも少ない4モードとなってしまった。その理由とは……?

ウルスSとペルフォルマンテの立ち位置

スーパーSUVを代表する存在であるランボルギーニ ウルス。つい先日、初めてとなる大きなマイナーチェンジが行われた。今までは単一グレードだったが、新たにウルスSとウルス ペルフォルマンテの2バージョンが用意されている。

ウルスSは、エンジンが16PSアップの666PSとなり、また新デザインのバンパーなどが採用されている以外は基本的に従来のウルスと同じ。つまり今回のマイナーチェンジは従来のグレードの呼び名をウルスSとし、新グレードとしてウルス ペルフォルマンテが設定されたと考えればいい。

そのウルス ペルフォルマンテのエンジンパワーは、ウルスSと同じ666PS。ペルフォルマンテ(パフォーマンス)という名前からすると意外なようだが、実はウルス ペルフォルマンテの進化はエンジン以外の部分の方が大きい。具体的には47kgの軽量化とダウンフォースの増大、エアサスから金属スプリングに変更した強化サスペンション、さらにトランスミッションやAWDやトルクベクタリングなどの駆動系の設定も変更されている。

ANIMAが4モードとなったペルフォルマンテ

そして驚いたのはドライブモードセレクトのANIMAだ。ウルスにはSTRADA/SPORT/CORSA(サーキット)/SABBIA(砂地)/TERRA(オフロード)/NEVE(雪)と実に6種類もの走行モードが用意されており、それはウルスSにも引き継がれている。しかしウルス ペルフォルマンテのANIMAからはSABBIA(砂地)/TERRA(オフロード)/NEVE(雪)が省かれて、新たRALLYモードが設定された。結果的にはウルスSよりも少ない4モードとなってしまっているのである。

上位グレードなのに走行モードの選択肢が少ないの? と思う人も多いことだろう。SABBIA(砂地)/TERRA(オフロード)/NEVE(雪)の各モードはどちらかというと安定指向で、一方RALLYモードは積極的なオーバーステアも楽しめるセッティング。オフロードでリヤを流して遊びたい、という人にはぴったりのモードだ。つまりウルス ペルフォルマンテはより走りの楽しさを追及したグレードであり、ANIMAもそれに特化した設定となっているのである。

ではウルス ペルフォルマンテで雪道や砂地を走るときはどうすればいいのか、とランボルギーニの技術部門トップであるルーヴェン・モール氏に聞くと「雪道でドリフトをしたい時はRALLYモードにしてください。もっと安全に走りたい時はSTRADAモードで十分です」と応えてくれた。

ANIMAで明確になるそれぞれの個性

サーキットや峠、そしてオフロードまで積極的に走りを楽しみたい人はウルス ペルフォルマンテを、それよりも快適性や実用性を重視する人はウルスSを、というように新型ウルスは2つのグレードの性格をしっかりと分けてきた。それを象徴するのがANIMAのモードなのだ。どちらかが上位グレードでどちらかが下位グレード、というわけではなく、それぞれの目指すステージが異なると考えるべきだろう。

ウルス ペルフォルマンテ(写真下)とウルス。ウルス ペルフォルマンテの全高は20mm低められている。

ランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテの性能はどれほどか? ベースモデルと比較して進化の度合いを測る

ウルスをさらにスーパーなSUVへと昇華させた「ウルス ペルフォルマンテ」。はたしてその進化の度合いはどれほどなのか? エンジン、タイヤ、ブレーキなどのスペックから向上したパフォーマンスの意味をチェックした。

キーワードで検索する

著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン。