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Lotus Evora GT 410 Sport
新車ではないけれど
新型ミッドシップスポーツのエミーラを最後に、BEV専業メーカーへと舵を切るイギリスの雄ロータス。エリーゼやエキシージのナイフのような鋭さを持ったキレキレの走りを体感した身としては少し寂しい限りだが、これも時代の趨勢なのか。
そんな感傷的な気分に浸りつつ、2022年に試乗した約60台ほどのクルマを思い浮かべてみると、不思議にも最も僕の心を震わせたのは新車ではない「エヴォーラGT 410スポーツ」だった。
ポルシェイーターとしてロータスが開発したエヴォーラは、正直市場からの人気は今ひとつだった。ロータスといえばライトウェイトコンパクトミッドシップ、そんな既成概念を持つエンスージアストからすれば、エヴォーラは中途半端な存在に映ったのかもしれない。エリーゼ、エキシージに比べると影の薄い存在だったのは事実だ。僕もエヴォーラがデビューした頃から数年に1度乗る機会があったが、特に強い印象は残さなかった。
これこそ熟成の極み
だが、2022年8月号の英国車特集でエヴォーラの最終バージョンGT 410スポーツに乗って大きな衝撃を受けた。これは現在手に入るミッドシップスポーツで最もバランスが良く、最高のスポーツカーじゃないかと。
路面の凹凸をいなしてしっかりと受け止めるビルシュタイン製スポーツダンパー、トルキーで回せばそこそこ気持ちが良いトヨタ製3.5リッターV6エンジン、ダイレクト感溢れる6速MT。それらが渾然一体となってワインディングでは、ドーパミンが泉のように湧き出るほどファンだ。高速道路での移動はガッチリとしたボディとロングホイールベースが効いているのか、この手のスーパースポーツにしては望外に快適だ。本企画の乗り手であるジャーナリスト藤原よしおさんと同じく、僕も今まではアルピーヌA110こそ最高のミッドシップスポーツと思っていたが、この日を境にエヴォーラに寝返った。久しぶりに乗ったエヴォーラはとんでもなく熟成されていたのだ。
13年前から注目されなかったが
残念ながら、すでに生産が終了しているため、購入できるのはわずかにある市中在庫のみとなるエヴォーラ。今年も(いや登場した13年前から)注目されなかった1台だが、騙されたと思って試乗してみてください。きっと欲しくなるに違いないから。こんなスポーツカーはもう出ないっすよ(断言)。