マクラーレンの元チーフデザイナーが分析するAIとデザイン

「ゴッホがクルマをデザインすると?」著名なカーデザイナーによるAI時代のカーデザイン分析【動画】

「マクラーレンがデザインしたSUV」という文字情報から、AIが生成したイラスト。フランク・ステファンソンは、AIがどのような影響をデザインの世界に及ぼすのか、動画内で考察している。
「マクラーレンがデザインしたSUV」という文字情報から、AIが生成したイラスト。フランク・ステファンソンは、AIがどのような影響をデザインの世界に及ぼすのか、動画内で考察している。
世界的に著名な自動車デザイナーであるフランク・ステファンソン(Frank Stephenson)は、人工知能(AI)と自動車デザインに関する新たな動画シリーズを、自身のYouTubeチャンネルで公開した。

これまでにない発想をもたらすAIの可能性

AIを活用することで、フィンセント・ファン・ゴッホがデザインした自動車という、あり得ない「if」を具現化することもできる。
AIを活用することで、フィンセント・ファン・ゴッホがデザインした自動車という、あり得ない「if」を具現することもできる。

今回公開された動画では、テキストから画像生成を行うAIが自動車デザインに与える影響を考察。フランク・ステファンソン自身のデザイナーとしての経験をもとに、進化するAIテクノロジーの利点と欠点の両方に注目。さらに、彼がなぜデザインに興味を持ったのか、どのように自動車デザインの世界へと飛び込んだのか、自動車デザインが劇的に発展した経緯に関しても語られている。

AIの登場による将来的なデザイナーの雇用問題をはじめ、デザインにおいて絶えず問題になってきた個性のありかたまで、人間とデザインの両面に関する幅広い問題にも言及。自動車デザインの未来に起こりうることを、多面的に考察している。

この動画は、2023年中に公開を予定している一連の動画シリーズの第一弾。今後、様々なトピックに関して、ステファンソンがデザインとモビリティの分野において、未来がどのように形作られていくのか、大胆にテクノロジー研究する様子が伝えられる予定だという。

BMWやマクラーレンで活躍したデザイナーの視点

フォード、BMW、フェラーリ、マクラーレンで様々なモデルのデザインを手掛けたフランク・ステファンソン。彼はAIの介入がエキサイティングな状況をもたらすと同時に、落とし穴もあると指摘する。
フォード、BMW、フェラーリ、マクラーレンで様々なモデルのデザインを手掛けたフランク・ステファンソン。彼はAIの介入がエキサイティングな状況をもたらすと同時に、落とし穴もあると指摘する。

1959年、モロッコに生まれたフランク・ステファンソンは、フォードのデザインスタジオに入社し、自動車デザイナーとしてのキャリアをスタート。その後、BMW、MINI、フェラーリ、アルファロメオなどで多くの作品を手がけてきた。BMWでは初代X5、フェラーリではF430などのデザインを担当した実績を持つ。

2008年にはマクラーレン・オートモーティブのデザイン部門トップに就任。2017年にマクラーレンを退社し、以降は自身のデザインスタジオを拠点に活動を続けている。ステファンソンの公式Youtubeチャンネルは2020年4月に開設された。現在21万5000人以上もの登録者を誇り、各自動車メーカーが発表した最新モデルに関するデザイン批評などが高い人気を集めている。

ステファンソンは、今回のAIとデザインに関する新企画のスタートについて次のように説明を加えた。

「現在、私たちはテクノロジーに導かれた世界に生きています。AIはカーデザインを含む幅広い分野に広範かつ永続的な影響を与えるでしょう。この先、エキサイティングで非常に興味深い時代がやってきますが、このような技術の進歩には、当然リスクが伴います」

「私は特にデザイン業界において、新しいテクノロジーの可能性と落とし穴を探り、分析することが大好きです。AIテクノロジーは、非常にアバンギャルドかつホットな話題ですし、このテーマを掘り下げて議論するには、ちょうどいいタイミングだと思っています」

フランク・ステファソンのAIとデザインに関する動画をチェック!

「FelGAN」を活用してホイールのデザインを行うアウディのデザイナーたち。

「AIがホイールをデザイン?」アウディのデザイン部門が積極的に推し進めるAIによる開発の狙い

アウディは、すべての開発部門において人工知能(AI)を活用している。現在、ホイール開発部門でAIを活用したソフトウェア「FelGAN」を導入し、ホイールデザイナーに対し、新たなデザインのインスピレーションを与えている。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…