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Singer Turbo Study
究極の空冷ポルシェ
最近話題のネオクラシックの中で、鉄板の人気モデルと言えるのがポルシェ911だ。現実的に考えるならば、996型以降の水冷ポルシェあたりが、高いメンテナンス性とパーツの不安もなく、現代車的快適性も楽しめる“ちょっと古い”911だろう。だが、空冷ポルシェで、しかも快適性も損ないたくないというワガママを実現したいなら、今回紹介するレストモッドという方法もある。
レストモッドとは、往年の名車のボディに最新のメカニズムを組み合わせ、独自のモデルを製作する手法だ。これなら、ちょっと古い憧れのネオクラシックに乗りたいけれど、「エアコンが効かないのは嫌だ」「最新のスポーツカーと一緒に走っても負けたくない」という夢を叶えることができる。
そんなレストモッドで「空冷911の雄」と言えるのが、アメリカ・カリフォルニアを拠点に展開するシンガー(Singer)だ。今回紹介するのは、昨年発表されたレストモッドで、クラシカルな930ボディに高出力エンジンを収めたまさに究極の空冷ポルシェである。
510PSのフラット6に6速MT
シンガーによって製作された写真の930ターボは、とある顧客が特別に注文した1台だ。見事に調律された適度に低い車高だけでなく、最高出力が510PSに増加されたフラット6など、スポーツパフォーマンスに重点を置いた1台となっている。搭載されるのは3.8リッター水平対向6気筒インタークーラー付ツインターボ。水冷インタークーラーは専用設計となる。もちろん組み合わされるのは6速MTだ。
ターボ レーシング ホワイトをベースに、グリーンのダブル ストライプでカラーリングされたボディは、すべてカーボンファイバー製。フロントフード中央にはフューエルフィラーが象徴的に取り付けられている。フロントスプリッターとリアのシャーク フィン エアインテークもカーボン製だ。
ワイドトレッドが際立つリアは、カーボン製のホエール テール リアスポイラー、ルーバーバンパー、ツインエキゾーストパイプが美しい。
オリジナルの雰囲気を損なわないシンプルさ
スポーツ走行にフォーカスしたオーダーメイドのインテリアは、軽量なカーボンファイバーシートが装備される。随所にカーボンファイバーのアクセントが見られ、同じく軽量なカーボン製ドアのトリムは、カレラRSを彷彿とさせるグリーンの千鳥格子となっている。オリジナルの雰囲気を損なわないシンプルさを備えつつも、エアコンはもちろん、携帯電話の非接触充電など快適装備を整えている。まさに夢の930ターボといっても過言ではないだろう。
シンガーの公式サイトによると車両価格は「顧客のリクエスト次第」とあるが、夢のようなクルマの実現にはそれなりの対価が必要なのは言うまでもないことだろう。なお日本でも福岡を拠点に様々な高級車ブランドを取り扱う永三モータースが窓口となっている。