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空間オーディオってなんだ?
Sonos Era300はこのところ急増しているWi-Fiスピーカーのひとつ。しかし、ひとつ完全に新しい技術が搭載されている。それは「空間オーディオ」という立体音響技術で作り上げられた音楽をコンパクトなボディで再現できること。理屈は抜きにして、こいつは本当に楽しい。今、音楽制作の現場はステレオが世の中を賑わして以来、最大の変化が訪れているとか。実際に体験しないとその驚きは、なかなか伝わらない。
もし、あなたが空間オーディオ対応イヤホンやヘッドフォンを持っていたとしても、Era300の魅力は伝わらない。頭の周りに音が広がるのではなく、部屋全体を立体的に音楽で満たしてくれるからだ。これは身体で感じる体験であり、大好きな音楽が身体を包み込み、染み込んでくるかのように心を掴む。
と、その前に空間オーディオってなんだ? と思った方。実はそこもとても大切なトコロ。従来の音楽は2チャンネルのトラックに音声を記録したステレオ方式で制作されている。しかし空間オーディオでは、基本的な音場を表現するサラウンド音声に、“オブジェクト”と呼ばれる個々の音を立体空間に配置する新しい音楽再現の手法だ。ハリウッドやニューヨークを中心に(もちろん東京でも)、この表現方法で作られた新譜が多く制作されている。また過去の名作やオーケストラ録音なども、改めて空間オーディオとしてリリースされ直している。
机の上にポンと置くだけでとてつもない臨場感
Apple MusicやAmazon Music HDでは、これら空間オーディオで制作されている楽曲を追加料金なしに楽しむことが可能だが、これまではヘッドフォン&イヤホンでの仮想サラウンドか、ドルビーATMOS対応AVシステムなどでしか、その立体的な音響設計を味わうことができなかった。しかしEra300は、たった1台をテーブルやサイドボード、机の上にポンと置くだけで楽しめてしまう。
Sonosはウェーブガイドという一種の音響ホーンを高効率なコンプレッションドライバーと組み合わせ、左右方向、真ん中、上方向に中高域を放出。TruePlayという独自の音場補正技術で整えることで、スピーカーのサイズと配置からは想像できないような、部屋いっぱいに広がる広く開放的な音を出す。もちろん、ステレオ音声を極めて高い純度で再生するハイエンドのオーディオ製品ほどの品位の高さは期待できない。しかし遥かに安い価格で、よりカジュアルかつリラックスしたスタイルで、空に突き抜けるような中高域での表現から、地を這うような低音まで、高さ方向に広さを感じられる。
予算があれば2台並べてステレオペアに
空間オーディオはドルビーATMOSで配信されるため、映画用にも使えるの? と思うかもしれないが、そこは別の製品(SONOS Arc)の担当。しかし、ワイヤレスでArcとEra300、それにサブウーファーを接続すると、ArcとEra300が協力して本格的なATMOSシアターを構築できる。だが、まずは音楽から楽しむのがお勧め。そして予算があるなら2台を並べてステレオペアで使ってみたい。そこにはさらに驚きの豊かさで自然な音場が生まれるはずだ。そんなシステムアップが楽しめるのもSonos製品のいいところだ。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年 6月号
PRICE
6万9800円
評価
空間オーディオ再生が可能な単体スピーカーは他にもあるが、圧倒的に立体的な音を生み出す。丁寧な音響設計と信号処理技術の組み合わせ、それに徹底した音質チューンが素晴らしい。
コストパフォーマンス:5
音質:4
空間オーディオ:5
機能:4
使いやすさ:4
【問い合わせ】
Sonos Japan カスタマーセンター
TEL 0120-635-220
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