世界屈指のドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」まもなく開業

入会金3600万円の会員制ドライビングコース「THE MAGARIGAWA CLUB」を走行した印象は「楽しい!」のひと言

F1でもお馴染みのティルケがデザインした。しかしFIAのレギュレーションに縛られず、観客席を考えなくてもいいという、かなり自由な条件だったため楽しいコース作りができたようだ。
F1でもお馴染みのティルケがデザインした。しかしFIAのレギュレーションに縛られず、観客席を考えなくてもいいという、かなり自由な条件だったため楽しいコース作りができたようだ。
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが2023年7月、千葉・南房総に開業する「THE MAGARIGAWA CLUB」のメディア向け内覧会が行われた。走る喜びと同時にホスピタリティにも一切の妥協がない、他に類を見ないクルマ好きのための最新の会員制ドライビングコースの概要を紹介する。

THE MAGARIGAWA CLUB

きっかけはスペインのアスカリサーキット

2023年7月、千葉・南房総にグランドオープン予定のTHE MAGARIGAWA CLUBは、「唯一無二のドライビングクラブ」を標榜する自動車向けの会員制ドライビングコースだ。世界中、様々な会員制ドライビング施設はあるが間違いなく最新のコースである。コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドがこのプライベートサーキットを造った発端は、スペインのアスカリサーキットの視察だったという。

プロジェクトがスタートしたのは2015年、まずは土地探しから始まったという。様々な土地を吟味した結果、冬は暖かく、それでいて夏は涼しい、比較的温暖な気候の南房総に決定し、2020年に着工した。車で東京都心および羽田空港から約60分、成田空港から約75分で来られる利便性がありつつも、自然豊かな緑に囲まれた敷地の面積は約100万㎡を誇るという。

全長約3.6kmのアップダウンに富むドライビングコースにはもちろん制限速度はない。800mのメインストレート、700mのバックストレートは車種によっては280km/h近い車速が出るだろう。22のコーナーは多彩な曲率を持ち、1周の獲得標高は95mでその勾配は上り20%、下り16%となっている。まるでワインディングのようなチャレンジングなコースだが、自然に溶け込むように派手な色を避けたという縁石や、ランオフエリアがきちんと整備されている点も興味深く、世界でも類を見ないコースと言える。

FIAの規則も観客席も考えない自由なコース

800mのメインストレートの先にある折り返し地点。この長い下りコーナーも攻略し甲斐がある。ここからバックストレートの後の最終セクションを経てクラブハウスの方へと戻る。

安全への徹底的なこだわりは、F1サーキットの設計でお馴染みのティルケ エンジニアズ&アーキテクツがデザインを担当したことからも窺える。日本国内のサーキットとしては初めて新規に設計したティルケ エンジニアズ&アーキテクツのマネージングダイレクター、Dr.カーステン・ティルケ氏は次のようにコメントしている。

「プライベートサーキットを東京という大都市の近くに創る。初めてこの話を聞いたとき、ワクワクが止まりませんでした。用意された土地は驚くほど起伏に富んでいて、世界でも稀にみるユニークなコースの礎となりました」

「これまで19のF1サーキットを含む80以上のサーキットを世界中でデザインしてきましたが、私たちにとって『THE MAGARIGAWA CLUB』は唯一無二の特別な作品となり大変誇らしく思っています」

さらにFIAのレギュレーションに縛られることもなく、観客席を考えなくてもいいという、かなり自由な条件だったことも創作意欲に火をつけたのだろう。一方で安全性も徹底しており、通常のタイヤバリアの30倍以上の予算をかけて、F1にも採用されるフランス製のテックプロバリアやフェンス、ガードレールなどが全周を巡っているという。

同時走行可能台数は15台となっているが、コースはあくまで走る喜びを追求したもので、ここでレースをする予定はないという。実際コース幅は8〜12mなのでストレート以外で競り合って抜くことは厳しいだろう。今回、試走の機会が与えられて走行したが、初走行でも「あれ? こうだったのか」と思う、いわゆる騙しのコーナーは少なく、純粋に楽しめる印象だった。走るうちにイケイケになってしまいそうな予感はあるが、節度を持って走れば「楽しい!」という言葉が口をついて出ることだろう。

高級ホテルに比肩するホスピタリティ

もちろん迫力のコースだけではなく、施設そのものも素晴らしい。「THE MAGARIGAWA CLUB」の中枢となる建物のクラブハウスは、建物自体も日本の伝統建築とモダン要素を融合した荘厳な建物だ。クラブハウスには最大36台収容可能なピットが併設される。冷暖房完備で走行の合間にリフレッシュすることもできる。なお走行は20分を3本でクラス分けする予定だという。

クラブハウス内の最大72名を収容するダイニング(7〜22時)、ボトルキープ可能なバーラウンジ(11〜22時、正会員のみ利用可)、シガールームなどのサービスは日光・鬼怒川の金谷ホテルで有名なKANAYA RESORTSが担当しているので、そのサービスは折り紙つきだ。

他にもオリンピック選手村にも採用されたテクノジムの機器が揃ったトレーニング&ヨガルーム(7〜21時)、屋外のインフィニティプール(幅6m×長さ25m、4〜10月のみ)、地下900mから掘り当てた天然温泉(6〜10時、13〜23時、ナトリウム塩化物温泉)、トリートメントルーム(1〜2名)、娯楽室(8〜23時)としてレーシングシミュレーターやカラオケルーム、まで用意されている。小さな子供も楽しめる遊具エリアのあるファミリーラウンジ(8〜20時)は驚くほど充実している。

ピット脇にはこれもこだわりの日本庭園があり、そこからコースを走るクルマを見ることもできる。多くのサーキットのピットから見えるコースはストレートだが、THE MAGARIGAWA CLUBの場合はコーナーが見られるのが特徴だ。

先行販売した宿泊棟は即完売

敷地内には宿泊棟と呼ばれるオーナーズパドックもある。2〜4台の駐車可能なガレージを持つ。ダイニングスペースのほか、広々としたリビングや富士山やコースを眺望できるテラスも備え、家族・友人とプライベートな空間でくつろげそうだ。

開業時には全11棟(大きなA棟×2、小さなB棟×9)、約245〜528㎡と様々な部屋のタイプが用意されているが、うち5棟はいずれも即完売で残り5棟(A棟×1、B棟×4)も入札制で分譲される。ちなみにその価格は約2億6000万円〜約8億円という。今後さらに14棟を追加で建設中というが、いずれにせよ狭き、高き門であることは間違いない。

オーナーズパドックとは別に、会員の車両を預かるオーナーズガレージは、約300台が収容可能で給油もできる。さらに専属のサービスマンによる走行前後の点検で走りをサポートしてくれるという。

正会員の入会金は3600万円

上限数500名の正会員は入会金3600万円(2023年6月まで)。有効期限は無期限で更新費はないが、年会費22万円という。会員権譲渡は開業から6年目以降可能だ。コース利用日数は約315日(90%/年)で、コース利用費は会員は1万1000円(半日)でゲストドライバーのコース利用費は5万5000円(半日)となっている。

準会員と言えるアソシエイト会員もあり、会員上限数は750名で入会金400万円(2023年6月まで)で年次諸費用が105万円。有効期限は5年で更新費180万円となっている。会員権譲渡は不可で、コース利用日数は約270日(75%/年)、コース利用費とゲストドライバーのコース利用費は正会員と同額となっている。

コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドとしては「いつかはここのクラブメンバーになりたい」と思ってもらえるクラブを目指すといい、クルマを愉しむ文化を未来に繋げていきたいと考えているという。

コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドの渡謙作代表取締役社長は次のようにコメントした。

「THE MAGARIGAWA CLUBはクルマ好きにとっての第二の故郷のような場所になるでしょう。自動車に対する熱い思いを共にする友人たちや家族と最高の時間を過ごせる“聖地”とも言えます。800馬力超のスーパーカーをどこでドライブするのか? 長年答えのなかったこの問いへのアンサーでもあります」

PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド

施設概要

【名称】 THE MAGARIGAWA CLUB
【所在地】 千葉県南房総市
【オープン予定日】 2023年7月
【敷地面積】 約100万m²
【コース設計】 Tilke Engineers & Architects
全⻑ 3.5km、上り 20%、下り 16%勾配、ストレート 800m、コーナー22、標高差 80m
【アクセス】 車で東京都心および羽田空港から約60分、成田空港から約75分

公式HPをチェック!

THE MAGARIGAWA CLUBを動画でチェック!

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