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RML Short Wheelbase
リードエンジニアが語る現在の開発状況
RML ショートホイールベースは、最高出力478bhp(485ps)・最大トルク419lbft(568Nm)を発揮するフェラーリ製5.5リッターV型12気筒エンジンを搭載。フェラーリ製6速マニュアルギヤボックスを介して後輪を駆動し、エクステリアは250GT SWBを思わせるフォルムが採用されている。
ニック・ラザフォードは、RML ショートホイールベースの開発モットーを「ディテールへのこだわり」だと明かした。
「開発に際して、私たちは3つの分野に注力しています。シャシーに採用された全く新しいコンポーネントの開発、250 SWBから導入したコンポーネントの改修、ドナーカーのフェラーリ 550のプラットフォームから引き継がれた一部のコンポーネントの修正です。すべてのコンポーネントをスキャンし、リバースエンジニアリングを行うことで、ショートホイールベースの新しいデザインに完璧に統合することができました」
高いクオリティを実現する製造治具が完成
今回、RML ショートホイールベース用の治具が完成。新規パーツをレーザーでカットしスキャンすることで、組み付け誤差を最小限に抑えることができる。この治具では最大公差0.25mmという非常に低い数値を実現。これによりシャシー/ボディのフィット感と仕上げが、何千台もの車両を生産するプレミアムメーカーと変わらない基準を満たすことが可能になった。
「プレミアムメーカーと変わらない高品質の車両を作ることは、私たちにとって慣れ親しんだ作業です。RMLは、有名メーカーの高級車を開発・製造してきた豊富な経験があります。しかし、今回のショートホイールベースは、私たちの名前が入った1台なのです」と、ラザフォード。
RML ショートホイールベースのカーボンコンポジット製ボディを装着する前に、550のシャーシ中央部を治具のサスペンションマウントに合わせ正しく収まっているかを確認。その後、新たに形成されたシャシーセクションを追加し、シートとボディマウントを追加する。最後にすべてを溶接し、「e-coated(電気泳動法)」とパウダーコーティング工程へと進む。
限定30台を製造し、2022年初頭からデリバリー
RML ショートホイールベースのボディは、ウインドスクリーンからテールまで完全に一体型パーツとして成型される。これにより、許容誤差を最小限に抑えることができるだけでなく、万一のアクシデントの際にも非常に安全で剛性の高い構造を実現した。
メインセクションとフロントセクションがシャシーに取り付けられると、構造的なメインアセンブリが完了。続いてフェラーリ製V12パワートレイン、特注のインテリア、修正されたサスペンションなどのサブアッセンブリーを追加する。
RMLグループのチーフエグゼクティブを務めるマイケル・マロックは、RML ショートホイールベースの完成度に胸を張る。
「2年間の開発期間を経てショートホイールベースを担当する60名のRMLチームは、私たちの能力を具現化した真にユニークな車両の生産に向けて動き出しています。クラシカルなフォルムと現代的な機能を融合させたRML ショートホイールベースについては、これまでにも多くのお話をしてきました。このクルマを際立たせているのは、製造工程においてチームが細部にまで妥協なくこだわったことです」
RML ショートホイールベースは30台のみが製造され、1台あたりの完成までに約6ヵ月を要する。世界中から寄せられた旺盛な需要に応えるため、同時に最大6台の生産が計画されている。最初のショートホイールベースの生産は2021年末から開始され、2022年初頭に最初のカスタマーにデリバリーされる予定だ。