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LEXUS LM
中国・アジア史上で大好評を得た初代
初代レクサス LMは、主に中国やアジア地域でのショーファードリブンMPVの需要に応えるべく、2020年に販売をスタート。4座/7座仕様をラインアップし、幅広いカスタマーから大好評を得た。新型LMは、近年のラグジュアリーマーケットにおける価値観の変化を受けて、車名が意味する「ラグジュアリームーバー」としての価値や存在意義をあらためて見直し、全面刷新を実施した。
今回、すべてのパッセンジャーが自然体でくつろげる乗り味と、居住空間を作り上げることを目指して開発された。ドライバーは素直で正確な操縦性により、気を遣うことなく運転の楽しさを実感することが可能。一方、パッセンジャーには、ノイズや不快な振動を気にすることなく、車内での時間をゆったりと過ごせる快適性と機能性が与えられた。レクサス・インターナショナルのチーフエンジニアを務める横尾 貴は、新型LMについて次のように説明する。
「多様化が進むラグジュアリーセグメントのお客様のニーズにお応えすべく、新型M開発にあたって、私たち開発陣が掲げたコンセプトは『素に戻れる移動空間』でした。多忙な日々を過ごすお客様のために、周囲の喧騒から解放され心身共にくつろげる、そしてご自身本来の豊かな思考や行動につながる、そんな移動空間の提供を目指しました」
「一方で、どんな豊かな装備や機能があっても、クルマとしての素性が良くなければ、パッセンジャーが快適に過ごすことはできません。ショーファードリブンカーとしても使われるLMにおける『Lexus Driving Signature』とは何なのか。TAKUMiや開発チームと共にたどり着いた答えは、次世代レクサスが一貫して取り組んでいる『対話のできる走り』にありました」
「ドライバーの意図に忠実な走りは、リヤシートの方にも安心感として伝わります。徹底的に鍛えたクルマとしての体幹としなやかな足まわり、空力をも味方に付けたデザイン、体の揺れを抑えるシート、上質な仕立ての内装と快適装備の数々、いずれも細部に至るまで込められた開発チームの想いとこだわりの結晶です。レクサスがイチから造り上げた『ラグジュアリームーバー』を、ぜひともご体感ください」
乗り心地と感性に寄り添った静粛性
新型LMは、すべてのパッセンジャーが快適に過ごせるよう、新たなフラッグシップモデルにふさわしい乗り心地を目指し、新設計の「GA-Kプラットフォーム」を採用。高剛性化や軽量化・慣性質量の低減など、次世代レクサスがー貫して取り組んでいる「素性の刷新」を新型LMでも実践した。
今回、走行中の疲労原因のひとつとなる揺れの軽減や視線の安定化への取り組み、また「心地よく感じる自然な静けさ」という、さらに高いレベルの静粛感にこだわり、徹底したチューニングで対話のできる走りを実現している。
スライドドア開口面積が広く剛性確保が難しいMPVのボディ骨格を強化するため、リヤ床下ブレースを採用。また縦方向の骨格となるロッカーにストレート構造を採用し、剛性を確保した。スライドドア開口部は、クォーターピラー上下の構造を最適化し、ルーフリインフォースメント/クォーターピラーガセット/ロッカー断面内を通るリインフォースメントを設置。さらにフロントにはラジエーターサポートサイドブレース、リヤサイドメンバーにリヤクォーターブレースを追加し、より雑味の取れたすっきりと奥深い、味わいのある走りを可能とした。
車両剛性を確保しながら、軽量化も追求した。主要骨格部材にはハイテン材やホットスタンプ材、スライドドアにアルミ材を採用。外板も含め全体で約30kgの軽量化により、ボディ重量を増やすことなく、従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を確保し、操縦安定性と乗り心地の向上やNV性能(ノイズ・バイブレーション)の低減に大きく寄与している。
「自然な静けさ」が追求された静粛性
静粛性に関しては、「Natural Quiet」をコンセプトに、音圧レベルだけでく音色・バランスを重視し「森でくつろぐような心地よさ」「自然な静けさ」を目指して開発。ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析し、発生するノイズ「源音」を小さくする「低減」、車内への侵入を防ぐ「遮音」、車内のノイズを下げる「吸音」の3ステップで静粛性に取り組んだ。
源音の低減では、ロードノイズと風切り音に着目。ロードノイズはタイヤとホイールの転がり音低減に加えて、発音部位として面積の大きいルーフに高減衰マスチックを採用し、振動を低減。静粛性を確保した。風切り音はボンネットやピラー周りの段差を小さくするなど、細部まで対策が施された。音や振動の発生源のひとつであるエンジン、振動の伝達増幅の原因となるマウント系は徹底したチューニングを実施。ANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)により、音響空間のクリーニングも実施している。
遮音性を高める新たな取り組みとして、発煙装置を使用したスモークテストとCADツールを組み合わせ、騒音の侵入経路を明らかにすることで、ボディシール構造を最適化。フロントウィンドウ、フロントクォーター、フロント・リヤのサイドガラスに、高周波の風切り音の低減を狙った「アコースティックガラス」が採用された。
吸音に関しては、外部からの音を完全にシャットアウトした無音の空間ではなく、音の適度な反射によって、空間の広がりを感じさせる工夫が施された。床下にはフロアカーペットとは別体のフロアサイレンサーを設定。吸音材/遮音材/制振材の分量や厚みをチューニングし、それぞれの部位に最適配置。車室内騒音を大幅に低減しながら、心地よい静粛感を実現している。
2.4リッター直4ベースのハイブリッドシステムを搭載
パワートレインには、高いトルクを誇る2.4リッター直列4気筒ガソリンターボエンジン、6速ATとモーターを一体化したフロントユニット、リヤに高出力モーター「eAxle」を組み合わせた、ハイブリットシステム「DIRECT4」を採用。余裕のある駆動力とシーンに応じた緻密な4輪駆動制御により、ダイレクトかつトルクフルな走りと快適な乗り心地を実現した。
パラレルハイブリッド用に開発した、1モーター多段ハイブリッド・トランスアクスルを導入。エンジンのトルクを直接伝達し、エンジン過給遅れ分をモーターで補うことで、シームレスかつ気持ちの良い加速フィーリングが提供される。最高システム出力は371PSを発揮し、0-100km/h加速は6.9秒となっている。
「DIRECT4」の駆動力配分制御は、車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、前後アクスルの駆動力配分比を「100:0~20:80」間で制御。路面状況に合わせて、常に最適な駆動状態を維持する。これにより、発進加速性や操縦安定性の向上、低燃費を実現した。
発進時は車両のピッチングを抑え、ダイレクトな加速感が得られるように「60:40~40:60」程度で制御。直進加速時にドライバーの加速意図を判断した場合は、後輪へのトルク配分を増加させ、「70:30~40:60」で制御する。コーナリング時は車速/舵角などの情報を用いて、走行状態に合わせた駆動力配分とすることで、優れた操縦安定性にも寄与する。
レクサスらしさにこだわったエクステリア
レクサスのフラッグシップMPVに相応しい、独自の存在感と上品な佇まいを兼ね備えたエクステリアと、快適で開放的なインテリアを両立すべく、「Dignified Elegance」をキーワードにデザインが作り込まれた。キャビンの広さを感じさせるべく、リヤシート付近に最もボリュームを持たせたサイドセクションと、走りの良さ・乗り心地を想起させる前後タイヤの存在感を強調。躍動感がありながら上品で伸びやかな、LM独自のフォルムを実現した。
ボディ全体でダイナミック感を表現しながら、ルーフ、ガラスエリア、ロッカー周辺は安定感を感じさせる水平基調を採用。ショルダーに入ったシャープなエッジと、大胆な造形による陰影のコントラストは、サイドビューに豊かな表情をもたらしている。
AピラーとDピラーをブラックアウトした「フローティング・ルーフ」としたことで、パッセンジャーのプライバシーは守りつつ、解放感と抜けの良いフォルムを表現。低く水平なベルトラインは、リヤシートに乗車するパッセンジャーの見晴らしにも配慮した。
フロントセクションは、レクサスのアイデンティティである「スピンドルボディ」をさらに進化。押し出しの強いスピンドル形状は、グリルに外板色を採用することで、ボディと一体感のあるシームレスな表現を採用した。ヘッドライトを含めたアッパーの鋭い表情と、サテンメッキを繊細にあしらった作り込みにより、モダンかつ強さを持ったフロントフェイスを実現している。
エクステリアカラーは、ビジネスやフォーマルど、大切なシーンにもふさわしい品格・凛々しさを表現。「ソニッククォーツ」「ソニックチタニウム」「グラファイトブラックガラスフレーク」「ソニックアゲート」の全4色が設定される。
パッセンジャーの視覚的ノイズを減らした室内
インテリアは、パッセンジャーが素に戻れる時間を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻な作り込みを行った。室内高のあるパッケージを生かしながら、広く心地よい空間を水平・垂直を基調としたデザインテーマを表現。リビングのようにくつろげる世界観が追求されている。
フロントシートは、レクサスのコクピット思想「Tazuna Concept」を継承しつつ、インストルメントパネルとドアトリムがシームレスにつながるシンプルで大らかなデザインテーマを導入。モダンで広がりのある空間を表現した。
運転に集中できる環境を目指したシンプルなフロント空間は、ドライバーが意のままに操れる操作系を目指し、ステアリング周辺に走行系機能を集約。前方の道路から室内へのスムーズな視線移動に配慮し、ヘッドアップディスプレイ、12.3インチフル液晶メーター、14.1インチセンターディスプレイを配置した。
リヤシートは「水平垂直」のテーマに基づいて表現されたパーティション、ドアトリムなどにより、開放的ながらモダンで落ち着きのある空間を表現。内装パーツ間の段差を極限まで減らし、サイドウィンドウのグラフィックもシンプルな長方形とするなど、インテリアのあらゆる構成要素から、パッセンジャーの視覚的ノイズを減らし、リラックスできる空間を追求した。
リヤシートには体をゆったり包む、大型独立シートを配置。左右独立したガラスルーフは開放感を高めるとともに、左右のシートとシンクロすることで、よりパーソナル感を高めている。天井には上質つソフトな質感・触感を持った「ウルトラスエード」を採用し、プレミアムな室内空間を実現した。
インテリアカラーは「ソリスホワイト」と「ブラック」を設定。「ソリスホワイト(写真)」にはカッパーカラーのアクセントを加え、華やかさの中にも心地良さが感じられる、モダンプレミアムな世界観を表現。「ブラック」は、黒の中にダークグレーを加えることで重いイメージを払拭。ニューフォーマルな世界観を楽しむことができる。
ショーファードリブンに特化した4座仕様
リヤシート前方に48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを配置。前後席の車内空間を仕切ることで、パーソナル感とプライパシー性を高めた。パーティション骨格の一部には、マグネシウムダイキャストを使用し、強度と剛性を確保しながら、トリム全体に吸音材を設定。透過音低減効果を、従来型比で約40%もアップしている。
パーティション上部には、開放感とプライバシーの確保を考慮した昇降/調光ガラスを設定。前方の景色が見える位置にガラスを配置することで、開放感のある空間としつつ、ドライバーとリヤパッセンジャーの顔がお互いに見える位置とした。ガラス部分にはアコースティックガラスを使用し、フロントから発生するエンジン音や前席からの音を遮り、リヤシートの静粛性とプライバシー確保にも寄与する。
パーティション中央下部には冷蔵庫を設置。一般的な750mlのシャンパンボトルは3本、500mlのペットボトルは6本を入れられる庫内容量を確保しながら、奥行きを薄幅化することで、広い足元空間を確保した。乗降性に配慮したアシストグリップや傘立て、グローブボックスもパーティションに統合された。
前方のディスプレイは、ビジネスミーティングや映像鑑賞など、様々な利用シーンを想定し、横長1画面、左右2画面、センター1画面での使用が可能。2基のHDM端子が用意されており、ビジネスシーンではそれぞれのHDMI端子にPCを接続することで、ウェブ会議画面と資料などを2画面表示することができる。
アームレスト内に収まる格納式テーブルは、タブレット端末やノートPC を操作できる十分なサイズを確保。さらにカップホルダーにはイルミネーションライト、足元には陰影イルミネーションを設定し、上質な空間を演出する。
車両本体価格(税込)
LM500h:2000万円
【問い合わせ】
レクサス インフォメーションディスク
TEL 0800-500-5577
【関連リンク】
・レクサス公式サイト