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2輪のレース界に轟いたアクラポビッチの名“声”
バイク用マフラーの世界でその名を轟かせ、近年は4輪界でもめきめきと頭角を現している「アクラポビッチ」。同社の軽量で、独特の“声”を備えたチタン製エキゾーストシステムは、いわゆる“走り自慢”のモデルに採用される例が増えている。速度記録を打ち立てたモデルやハイパフォーマンスが売りのモデルの資料を読んでいると、「アクラポビッチ製のチタンパイプを採用」の文言が躍っていることも少なくない。
スロベニア共和国出身の2輪レーサー、イゴール・アクラポビッチが1991年に設立。同社製のエキゾーストを採用したマシンは、1997年にスーパーバイク選手権オーストリア戦で柳川 明選手により初の勝利を獲得。以降、アクラポビッチの名前は2輪レースの世界で数多くの栄光と共に刻まれていくこととなった。
ポルシェのニュル優勝マシンにも
2008年には、マンタイ レーシングのポルシェ997 GT3 RSRがアクラポビッチ製エキゾーストシステムを採用し、ニュルブルクリンク24時間を制覇。2010年からのル・マン5連覇を達成したアウディのマシンにも、アクラポビッチの軽量なチタン製システムが使われていた。
そんな排気系の実力派メーカーが30周年を迎えた2021年、ベントレーは「コンチネンタルGT スピード」シリーズにアクラポビッチ製エキゾーストシステムを採用すると発表した。
パイクスピーク用に開発したシステムがベース
ベントレーがアクラポビッチのスポーツ エキゾーストを採用したのは、2014年の限定モデル「コンチネンタル GT3-R」が最初。さらに2019年にパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレースで、従来のタイムを8.4秒も上回る市販車記録を打ち立てたコンチネンタルGTにもアクラポビッチ製システムを搭載。今回採用するスポーツエキゾーストシステムは、そのパイクスピーク用マシンのために開発したものがベースとなっている。
アクラポビッチのエキゾーストシステムは、ベントレー自慢のW型12気筒エンジンのキャラクターをより色濃く際立たせるために作られた。とりわけ「SPORT」モード時には、野太いW16特有のサウンドを高らかと歌いあげるという。サウンドを調整し排気の流れを整える電子制御ユニットも、各リヤマフラーに備えている。
標準のエキゾースト比で7kg軽量化
エキゾーストに使用するチタンは、すべてアクラポビッチの内製。超合金と組み合わせたシステム重量は、標準装備のものに比べて7kgも軽い。軽量化に加え、排気効率の向上やサウンドの強化はもちろん、マット仕上げの4本出しパイプが見栄えの迫力もアップ。サンドブラスト加工後にコーティングを施した丁寧な仕立てのパイプは、対傷性・耐久性にも優れている。
ベントレーのトップモデルのみに与えられる称号「スピード」を冠した最新のコンチネンタルGTが登場したのは2021年3月(コンバーチブルは同年4月)。最高出力を659psまで高めた6.0リッターW12ツインターボエンジンに、後輪操舵やアクティブ4WD、eLSDなどの先進デバイスを組み合わせ、“ベントレー史上最もダイナミックなロードカー”を作り上げた。0-100km/h加速はこれまでより0.1秒速い3.6秒を実現し、最高速度は335km/hを公称する。
アクラポビッチ製スポーツ エキゾースト システムはコンチネンタルGT スピードシリーズのオプションとして、販売店での注文を既に受け付けている。