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Lamborghini Revuelto
先代アヴェンタドールと比較してほぼすべてのパートを新しく
ランボルギーニ伝統の、V型12気筒ミッドシップ・スーパースポーツが、ニュー・ジェネレーションへとフルモデルチェンジされ、それが正式に発表されたのは、2023年3月下旬のことだった。それまで「LB744」の開発コードで呼ばれていたこのニューモデルに新たに与えられた車名は「レヴエルト」。
こちらもランボルギーニの歴史の中には数多くある、屈強な闘牛の名にその由来を持つ。それはまた同時にスペイン語では「かき回す」といった意も持つというから、電動化に向けて混沌とした時代に向け、ランボルギーニが満を持して発表したフラッグシップモデルとしては最適ともいえる名だ。
だがランボルギーニの伝統が継承されたのはここまで。レヴエルトのメカニズムは、前作のアヴェンタドールと比較しても、およそすべてのパートが新しくなったと考えてもよいほどの進化を遂げている。アヴェンタドールが誕生した時、ランボルギーニはそれを「2世代分を一気に進化させた」と自身で評したが、レヴエルトの進化はそれをも超える話題性を秘めたものだったのだ。さっそくその概要を解説していくことにしよう。
ミウラ以来の横置き搭載
レヴエルトの設計で、まず最大の見どころといえるのは、そのパワーユニットのディテールだろう。なんと今回のレヴエルトに至って、ランボルギーニはついにあのカウンタック以来のパワーユニットの搭載方法、すなわちV型12気筒エンジンとミッションを直列に接続し、それを後方から通常のフロントエンジン車とは前後逆方向に搭載するという、かのパオロ・スタンツァーニが考案したレイアウトをついに見直したのだ。6.5リッターの排気量が設定されたV型12気筒エンジンはもちろん縦置きに、そしてそれに組み合わされる8速DCTは、あのミウラ以来の横置き搭載を実現したことになる。
このV型12気筒エンジンは、それだけでも825PSの最高出力を誇るが、ランボルギーニはさらにフロントアクスルに2基、また8速DCTに1基のエレクトリック・モーターを組み合わせ、システム全体では最高で1015PSという驚異的なパワーがAWDシステムを介して路面に放出される。
カウンタックからアヴェンタドールまでのモデルではミッションを収めるためのスペースだったセンタートンネルは、長さが1550mm、幅が240mm、高さが301mmというサイズの高比出力リチウムイオンバッテリーが搭載されるスペースとなり、3.8kWhの容量を家庭用の一般的な交流電源から満充電にするまでに約30分のみ必要とする。走行中にも「リチャージ」モードを使用すれば、約6分で満充電の状態に戻すことが可能であるという。
一新されたモノコック
ドライバーはステアリング上にあるふたつのロータリースイッチで、ドライブモードとハイブリッドシステムの介入制御を調節することができる。ランボルギーニによれば、この両モードの組み合わせは合計で13種類。最高出力はドライブモードによって変化し、「チッタ」では108PS、「ストラーダ」では886PS、「スポーツ」で907PS、そして「コルサ」を選択することで1015PSの最高出力が得られる仕組みとなっている。
車体の核となるモノコックも、その構造から一新された。新たに「モノフューズレージ」と呼ばれることになったそれは、航空工学からさまざまな技術を採り入れたもの。リング状のCFRP製ロッカーリングを基本構造体として、ここにタブやフロントのファイアーウォール、Aピラーなどのフォージド・コンポジッド素材からなるエレメントを組み合わせていく。
フロントセクションも同様にカーボン製となり、結果レヴエルトのモノコックは、アヴェンタドール比でさらに10%も軽量に、そして捻じり剛性は25%増という性能を得ているのだ。リヤのサブフレームはアルミニウム製だが、こちらも部品点数の削減などによって大幅な重量低減と剛性の向上が図られている。
華やかさよりも機能を
エクステリアやインテリアのフィニッシュは、やはりランボルギーニの作らしく、刺激的でかつ戦闘的な雰囲気を醸し出したものだ。もちろんそのデザインはただ単に見た目の華やかさを狙ったものではなく、確かな機能のもとに成り立ったもの。
たとえばそのエアロダイナミクスは、アヴェンタドールの最終モデルであるウルティマエをさらに超えるもので、ダウンフォースは66%の向上、空力効率も61%も魅力的な数字となった。レヴエルトの誕生で新たな時代を迎えたランボルギーニのV型12気筒ミッドシップ。すでにそのオーダーリストには長い列ができていることは間違いのないところだろう。