レンジローバーを彷彿させる高級オールラウンダー?「ランドローバー ディフェンダー」の最高峰V8に試乗

レンジローバーを彷彿させる高級オールラウンダー?「ランドローバー ディフェンダー」の最高峰V8に試乗

今回はラフロードも走ってみたが、標準装備となるエアサスの効果か、想像以上に乗り心地が良好だったことも印象に残った。ネックはレンジローバーに迫る価格設定といえるだろうか。
今回はラフロードも走ってみたが、標準装備となるエアサスの効果か、想像以上に乗り心地が良好だったことも印象に残った。ネックはレンジローバーに迫る価格設定といえるだろうか。
大幅にラインナップを拡充した2024年モデルがやってきた。先月号では90のディーゼルを紹介したが、今回は110のV8モデルをテイスティング。なお、このV8モデルは2024年限定グレードになる模様。気になる方はお早めにディーラーへ!(GENROQ 2024年2月号より転載・再構成)

Land Rover Defender 110 V8

マーケットからの声に応えて

外観でV8モデルを主張するのは、ボディサイドのエンブレムと左右2本出しとなるスポーツマフラー。試乗車はオプションとなる前後275/45R22サイズのタイヤ&ホイールを装着。

ディフェンダーにV8モデルが追加された。イギリスでは2021年に登場していたのだが、今回は輸入元がマーケットからの声に応える形で導入に踏み切った格好だ。設定されるのは3ドアの「90」と5ドアの「110」。ロングボディ版の「130」には用意されない。

2019年の導入から4年が経ち、街で見かける機会も増えたディフェンダー。だが、改めて接してみてもやはりデカいものはデカい。試乗車は深いグレーのボディカラーと細部にグロスブラックのパーツを纏う最近流行りのコーディネーションだったが、そのオラオラぶりはGクラスもかくや、というところ。レンジローバー、ディスカバリー、そしてディフェンダーと、いまや3モデルを用意するランドローバーのラインナップにあって、ディフェンダーにはオフローダーとしてのキャラクターを求める向きが多いと思う。だが、少なくとも試乗車は泥臭さなど微塵も感じさせない。むしろ夜の六本木あたりが似合いそうだ。

上品ながらも明確にスポーティ

その印象は走り出すとさらに増幅する。525PS/625Nmを発揮する5.0リッターV8スーパーチャージャーは、アクセルをひと踏みするまでもなく親指に少し力を込めるだけで周囲のクルマの流れをリード。踏み込めばこの巨体にして0-100km/h加速5.4秒と、それこそ血の気が引くほどの加速を披露するのだ。そのマナーは、2.0リッター4気筒ターボとも3.0リッター6気筒ディーゼルとも異なる。それぞれをひと言で言い表すなら、質実剛健の2.0リッターターボ、高級感の3.0リッターディーゼル、豪放な5.0リッターV8というところだろうか。これは標準装備される左右2本出しのスポーツエキゾーストシステムの効果も大きいはず。加速時には「ドルルルルル……!」と、あくまで上品ながらも明確にスポーティなビートとサウンドを体と耳に伝えてくるのだ。

そんな緩急自在なパワートレインを積むものだから、ワインディングではついスポーティなドライビングを楽しんでしまう。そこで威力を発揮するのが走行モード調整システム「テレインレスポンス2」と、標準装備されるエアサスペンションだ。ランドローバーゆえ、走行モードはオフロード志向で、用意されるのは「泥/轍」「草/砂利/雪」「砂地」「岩場」「渡河走行」「オンロード」「エコ」の7種類。だがこのV8には特別に「ダイナミック」が追加されている。これを選べば足がグッと引き締まり、ブレーキングやコーナリングでの姿勢変化が最小限に。

またパドルを引いてのシフトダウンも、エンジン回転がレブリミットである6500rpmに当たるギリギリまでのダウンシフトを容認してくれる。だからコーナー手前での2段落としなどもバッチリ決まるのだ。そうやってフロントにしっかり荷重をかけてステアリングを切り込めば、それこそ首にGを感じながら豪快に曲がってゆくようなコーナリングを楽しめる。このキャラクターならホイールベースの短い90のV8も大いにアリだろう。でも、あれ、これディフェンダーの原稿ですよね……?

内燃機関が消えゆく前に味わいたい豊穣

とはいえ、例えば首都高速などを気持ちよく流す程度なら「オンロード」に入れっぱなしでもスタビリティは十分。「ダイナミック」だと多少突き上げが大きくなるので同乗者から不満の声が上がるかもしれない。こちらはひとり悦に入る時のお楽しみにとっておいた方がいいだろう。

スポーティさを隠しきれないのは、この5.0リッターV8が2009年、スポーツクーペであるジャガーXKRに積まれてデビューしたエンジンという背景もあるはずだ。決して新しいユニットではないが、否だからこそ、アクセルペダルの向こうにミッチリとパワー&トルクが詰まった豊穣がある。内燃機関が消えゆく前に、こんなリッチなエンジンを改めて味わっておくのも悪くないはずだ。

ディフェンダーに新たなキャラクターをプラスするV8モデル。それはレンジローバーを彷彿とさせる高級オールラウンダーだった。

REPORT/市原直英(Naohide ICHIHARA)
PHOTO/郡 大二郎(Daijiro KORI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 2月号

SPECIFICATIONS

ランドローバー・ディフェンダー 110 V8

ボディサイズ:全長4945 全幅1995 全高1970mm
ホイールベース:3020mm
車両重量:2450kg
エンジン:V型8気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量:4999cc
最高出力:386kW(525PS)/6500rpm
最大トルク:625Nm(63.8kgm)/2500-5500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):255/60R20(8.5J)
車両本体価格:1588万円

【問い合わせ】
ランドローバーコール
TEL 0120-18-5568
https://www.landrover.co.jp/

100台が導入される、フジホワイトの「ディフェンダー COUNTY EXTERIOR PACK CURATED FOR JAPAN」。

「ランドローバー ディフェンダー 110 S D300」ベースの日本300台限定モデル「COUNTY EXTERIOR PACK CURATED FOR JAPAN」登場

ジャガー・ランドローバー・ジャパンは、「ディフェンダー」の特別仕様車「COUNTY EXTERIOR PACK CURATED FOR JAPAN」を限定300台で、2023年12月22日から全国のジャガー・ランドローバー・ジャパン正規販売ディーラーネットワークにおいて受注を開始した。

本格クロカン同士「ランドローバー ディフェンダー」と「ジープ ラングラー」を比べて気にすべきポイント

どちらも軍用車にルーツを持つランドローバー ディフェンダーとジープ ラングラー。そんな英米の誇る本格クロスカントリービークルから、ディフェンダー110 SE P300とラングラー アンリミテッド ルビコンを比較してみたい。

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