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McLaren 675LT Coupe / 675LT Spider
さまざまな派生モデルが誕生した650S
2014年のジュネーブ・ショーで発表された、マクラーレンのスーパーシリーズ、「650S」には、それからさまざまな派生モデルが誕生していく。ここでは翌2015年のジュネーブ・ショーで発表された「675LT」を中心に解説を進めるが、ほかにも2014年にはリトラクタブルハードトップを備えた「650Sスパイダー」や、マットカーボンのMSO専用カラー、パパイヤスパーク、アグリガンブラック、サリガンクオーツの3色のボディカラーに、スタンダードなものと比較して4kgも軽量なアロイホイール、チタン製のホイールボルトを採用。さらにはインテリアをアルカンターラ張りとした「MSO650S」が50台の限定生産車としてリリースされている。
また2015年には南アジア太平洋地域の特定市場向けに、最高出力を625PSとした「625C」を発表。この625Cには専用のダンパーが装着され、スプリングレートも変更された。ブレーキもカーボンセラミックディスクに代わり、鋳鉄製のディスクが採用されている。この2015年には、ほかにも「650Sル・マン」や「650Sカンナム」といった限定モデルも誕生した。
これらはいずれもMSOによって開発されたもので、前者は1995年のル・マン24時間を制したゼッケン59の「F1GTR」にインスパイアされたメタリックのサルトグレーの外装色で仕上げられ、ル・マン・エディションとネーミングされた専用の軽量ホイールも装備された。ルーフマウントのエンジンインダクション、すなわちシュノーケルを持つのもこのモデルの特徴だ。650Sル・マンはクーペのみが50台限定生産された。
一方の650Sカンナムは、カンナム・レースの開催50周年を記念して製作されたモデルで、こちらは650Sスパイダーをベースに、やはり50台がMSOによって限定生産されている。ベースとなった650Sスパイダーとの外観上の違いは、カーボンファイバー製のボンネット、ルーフ、エアブレーキ、ドアブレード、フロントスプリッターなど。前後のホイールには1960年代のカンナム・レースを彷彿させるデザインの鍛造アロイホイールが採用されている。
空力と軽量化を極限まで磨き上げた
そして650Sジェネレーションの最終進化型ともなったのが、ここで紹介する675LTだ。そのコンセプトはさらに軽量化とエアロダイナミクスの最適化を進め、エンジンパワーを増強するとともに、サーキット走行にフォーカスしたシャシーを構築していくこと。LTがロングテールを意味することは、改めて深く解説するまでもないだろう。
675LTのシャシーは、650Sと同様にシングルピースのカーボンファイバー製モノコック、「モノセル」で、軽量化と剛性向上のためにカーボンの使用量はさらに増加している。ちなみにその重量はわずかに75kg。ニュータイプのカーボンセラミックブレーキも装備され、650Sよりもさらにブレーキ性能も高まった。このさらに向上したブレーキ性能は、新デザインとなったリヤウイングのエアブレーキ機能にも助けられていることは間違いない。10本スポークのホイールは、「P1」のそれよりも800g軽量。サイズはフロントが19インチ、リヤが20インチの設定だ。
675LTの全長は650Sより33mm長く、同様の比較で50%大型化されたリヤウイングやディフューザー、こちらは80%も大型化されたというフロントスプリッター等々を採用することで、ダウンフォースを40%向上させることに成功している。軽量化に関しても極限までそれに注力した結果、乾燥重量は650Sより100kg軽い1230kgを実現。開発時のコンセプトは確実にそれを達成したのである。
650Sよりも0.1秒速い0-100km/h加速
ミッドに搭載されるエンジンは、車名にも示されるとおり最高出力で675PS、最大トルクでは700Nmを発揮する3.8リッターV型8気筒ツインターボ。新設計された軽量コネクティングロッドや専用のカムシャフト、デュアル円形アウトレットを備えたチタン製エキゾーストの組み合わせなどによって、この25PSのエクストラは得られた。もちろんターボのコンプレッサーホイールと燃料ポンプの最適化も忘れてはならない重要な作業だった。組み合わされる7速DCT(SSG)も、ソフトウエアの改良により、そのシフト時間はさらに短縮されている。
675LTが可能とした0-100km/h加速は2.9秒。これは650Sのそれより0.1秒速いデータ。以下0-200km/h加速で7.9秒、0-300km/h加速で25.9秒という驚異的なテストデータがマクラーレンからは発表されている。最高速は330km/h。この数字をもって、675LTを650Sジェネレーションの究極作と評することに一切の抵抗は感じない。