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1979 Lamborghini Countach LP400 S
作中に登場した車両に関するあらゆる情報を保存
2009年以降、米国内務省とアメリカ議会図書館との提携プログラムとして、ヘガティ・ドライバーズ・ファンデーションが運営してきた「国家歴史車両登録簿(the National Historic Vehicle Register)」には、29台の歴史的な車両が登録されてきた。
そして、ランボルギーニ カウンタック LP400Sが映画『キャノンボール』のオープニングでパトロールカーとのカーチェイスを繰り広げてから40年。アメリカ議会図書館の国家歴史車両登録簿に、映画に登場したカウンタック LP400Sが30台目として加えられることになった。
今後、このカウンタック LP400Sに関するすべての情報、歴史、3Dスキャン、関連書類などが、米国最古の文化機関であるアメリカ議会図書館に保存される。
この歴史的な瞬間を祝うため、ワシントンD.C.のナショナル・モールにガラスケースに収められたカウンタックが展示されることになった。ナショナル・モールは、ワシントンD.C.の中心部に位置する国立公園で、リンカーン記念堂やワシントン記念塔などが点在する、アメリカにおける最も重要な史跡のひとつだ。
予想外のヒットとなった『キャノンボール』
1981年6月に全米で公開された『キャノンボール』は、アメリカの東海岸と西海岸を舞台に、数年間にわたって行われていた実在のシークレットレースをベースに作られた。この映画が世界的な大成功を収めるまで、アメリカ文化史において後々重要な一作となることを予想していた人はほとんどいなかったという。
当時のアメリカは55mph(88km/h)の速度制限があり、少しでも速いスピードを求める夢は警察によって厳しく抑圧されていた。そんな時代にニューヨークのマンハッタンからカリフォルニアのレドンドビーチのマリーナまで、最短時間で大陸を横断するレースに挑戦した情熱的なドライバーたちが存在した。
もちろんこのような冒険的出来事をハリウッドの脚本家たちが見逃すはずもなく、ロジャー・ムーア、バート・レイノルズ、ディーン・マーティン、サミー・デイビス・ジュニア、ファラ・フォーセット、ジャッキー・チェンなどの豪華スターたちが公道レースを繰り広げる、作品のプロットが完成した。
映画の冒頭で豪快なカーチェイスを披露
作中の紛れもない主人公でありレースの勝者となったのが、1979年式シャシーナンバー「1121112」、ブラックのボディカラーにマスタードイエローのインテリアを持つカウンタック LP400Sだった。作品冒頭のカーチェイスシーンはラスベガス東部の砂漠地帯で撮影。V型12気筒が奏でるエキゾーストノートをサウンドトラックとして使用した3分以上のオープニングシーンから、カウンタックはこの映画の最大のスターであり、観客をトリコにしたと言えるだろう。
この車両は、イタリア・ローマにあったランボルギーニのディーラー「SEAオート」に新車でデリバリー。すぐにアメリカへと輸出され、フロリダで販売された。この映画の監督を務めたハル・ニーダムの友人だったオーナーは、1980年にカウンタック LP400Sを撮影のために貸し出している。
カウンタックは映画のために、フロントスポイラー、ツインスポットライト、3本のアンテナ、12本のエキゾーストパイプを追加。モータースポーツのスポンサーとして有名な日焼け止め「ハワイアントロピック(Hawaiian Tropic)」の創業者であるロン・ライスは、撮影現場でこのカウンタックに一目惚れし、即購入したという逸話もある。
撮影後、2004年に弁護士でランボルギーニ・マニアのジェフ・イポリティがこの個体を購入し、現在も彼が所有している。