クルマが水没するとさまざまな危険が伴う

近年、気象の急変によってゲリラ豪雨が各地で頻発している。そして、その影響として、アンダーパスが短時間で冠水し、通行中のクルマが水没するという事例が全国で相次いでいる。特に、都市部では排水能力を上回る雨量となることも多い。そのため、わずかな時間で水がたまるケースも少なくないようだ。
ホンダが公開している情報によれば、エンジン車が冠水や浸水によって水没した場合、さまざまな危険性が生じるという。
まず、クルマのフロア面を超えて浸水・冠水した状態では、エンジンの吸気系に水が入っている可能性がある。そして、車内にまで水が入り込むような深刻な浸水が起きると、電子制御装置や電気配線がショートを起こすおそれがあるというのだ。
このような事態に至ると、修理には多額の費用がかかる。加えて、最悪の場合は車両の全損につながる可能性も否定できない。
タイヤが浸かっただけであればクルマが復活する希望はあるが、フロア面まで浸かった場合は全損するリスクは極めて高いと言えるだろう。そのため、ホンダは、運転中や駐車中にクルマが浸水・冠水する可能性があると感じた場合、すみやかにクルマを高台などに移動することを推奨している。
電気自動車が水没したら、バッテリーを過信しすぎないことが重要
では、電気自動車やハイブリッドカーが水没してしまった場合は、感電の危険性が生じるのだろうか。
前述のホンダのWebサイトでは、「ハイブリッドカーや電気自動車などの高電圧バッテリーは、設計上さまざまな対策を施しており、冠水しても感電の危険はありません」と明記されている。これにより、一定の安全性が確保されていることがうかがえる。
一方で、日産は公式FAQにおいて「電気自動車・ハイブリッド車・e-POWER車は、高電圧システムを搭載していますので、クルマには触らずに、直ちに販売店にご連絡をお願いいたします」と注意喚起している。さらに、国土交通省のWebサイトにも、日産のWebサイトと同様の記載がある。
これらの情報を総合すると、電気自動車は通常の使用状況では感電しないよう設計されている。しかし、実際に水没した車両に触れることで、感電事故につながる可能性は完全には否定できない。
そして、高電圧を扱う構造である以上、安全性を担保するには適切な処置と専門知識が必要であり、一般ドライバーが安易に接触するべきではないという結論に至る。設計上の対策が施されているからといって過信は禁物であり、万が一の際には速やかに販売店やディーラーへ連絡し、プロによる対応を仰ぐ必要があるというわけだ。
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冠水した道路は、エンジン車にとっても電気自動車にとっても危険な状況を招く。こうした事態を避けるためにも、道路が冠水しているのを目にしたら、無理に通過しようとはせず、必ず迂回する判断を下す必要があるだろう。たとえ浅く見えても、立ち入るべきではないという意識を持つことが、愛車と自分自身の安全を守る第一歩となるのだ。



