やはり違反!法律が定める一方通行ルール

一方通行の標識

道路交通法第8条では、「歩行者等又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない」と定められている。

青地に白い矢印が描かれた一方通行標識は、すべての車両が遵守すべき法的な表示である。この標識の指示に反して進行した場合、道路交通法に基づく通行禁止違反として取り締まりの対象となる。

警察署交通課によれば、「たとえバックであっても、進行方向に対して逆向きに進んだ時点で逆走に該当し、違反となる。距離の長さに関係なく非常に危険な行為であるため、たとえ道を間違えても後退せず、標識に従って進行してほしい」とのことだった。

実際に一方通行違反が確認されれば、違反点数2点が加算され、普通自動車の場合は反則金7,000円(大型車は9,000円)が科される。

また、「自転車を除く」などの注記がない限り、一方通行の規制は自転車を含むすべての車両に適用される。自転車であっても逆走すれば、同様に検挙対象となるため注意が必要だ。

逆走バックが招く事故の危険

逆走となるバック走行が危険視されるのは、それが周囲にとって予期できない動きであり、重大な事故につながる可能性があるためだ。

一方通行の道路は、本来対向車が現れない前提で設計されている。にもかかわらず、進行方向とは逆に車両が後退してくれば、周囲のドライバーや歩行者は対応が遅れ、事故に直結する恐れがある。

実際、高速道路のように一方通行が原則の道路では、逆走が社会問題となっている。2024年には全国で220件の逆走車が確認され、そのうち50件が事故に発展し、4件は死亡事故となった。

これは高速道路に限った話ではない。一般道の一方通行路でも逆走行為は極めて危険であり、たとえ低速であってもバック走行によるリスクは決して軽視できない。

道を間違えた時の正しい対処法

一方通行道路

一方通行の道路で目的地を通り過ぎてしまった場合、どのように対処すべきだろうか。原則としては、標識に従ってそのまま前進し、迂回して正しいルートで戻ることが基本である。多少遠回りになったとしても、安全と法令遵守を優先すべきだ。

もし周囲の状況に十分な余裕があり、道幅がUターン可能な広さであれば、周囲の安全を確認したうえで慎重に切り返すのはひとつの方法である。ただし、無理な転回はかえって危険を招くため、安易な判断は避けたい。

万が一進入禁止の方向へ誤って進入し進退ができなくなった場合には、車両を安全な場所に停車させ警察に連絡を取ることも選択肢となる。違反として指導を受ける可能性はあるが、無理に走行を続けて事故を起こすよりも、はるかに安全で現実的な対応だ。

こうした場面では、焦らず冷静に判断し、最優先すべきは「事故を起こさないこと」であると心に留めたい。

一方通行違反の現状と今後

残念ながら、一方通行の逆走違反は依然として後を絶たない。警察もその危険性を重く見ており、取り締まりを強化している。2024年7月には福岡県内で一方通行を逆走し、警察の制止を無視した自転車に対して赤切符が交付されるという事案も確認された。

これは自転車に限らず、すべての運転者にとって決して他人事ではない。違反への対応や罰則の厳格化は、今後さらに進む可能性がある。

近年はカーナビの案内精度向上や、道路標識の視認性改善といったハード面の対策も進められているが、最終的に交通ルールを守る責任は一人ひとりのドライバーに委ねられている。交通ルールは年々複雑になっているように見えるかもしれないが、私たちの命と暮らしを守るために積み重ねられたものだ。

だからこそ今一度、自分の運転を見直すべきだ。「知らなかった」では済まされない小さな判断が、事故の予防につながるのだから。