補助金制度で、電動バイクをガソリン車と同価格帯で購入できる場合も
電動バイクは、国のCEV補助金および、地方自治体の補助金の対象となっている。CEV補助金とは、経済産業省が次世代自動車振興センターを通じて交付する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」のことである。
これは、電動バイクのほか、電気自動車や水素自動車など、走行時にCO₂を排出しない車両の普及を目的とし、購入費用の一部が補助される仕組みだ。さらに、東京都などの地方自治体でも独自の補助制度を設けている。
実際、東京都は2025年3月に、「EVバイクの車両購入補助金のお知らせ」を公開した。これによれば、国と都の補助金を活用することで、ガソリン車と同程度の価格で購入できるようになるという。
対象車両は、ホンダ「ベンリィe:Ⅰ」やヤマハ「E-Vino」など、国の補助金交付対象になっている電動側車付二輪自動車と電動原動機付自転車だ。

そして、補助額は同種同格のガソリン車との価格差から、国の補助金を除いた額となる。たとえば、84万8000円のバッテリー交換式原付3輪バイクを購入すると想定する。
まず、国のCEV補助金として6万円が交付される。さらに、東京都の補助金制度により、追加で28万2000円が補助され、合計すると34万2000円の補助額が発生するというものだ。これにより、高価なイメージのある電動車とガソリン車との価格差が、ほぼ解消されるという。
では、そもそもなぜこれらの補助金制度が導入されているのだろうか。経済産業省は、CEV補助金の目的について「2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、環境性能にすぐれ、災害時にも非常用電源として活用可能な車両について、需要創出及び車両価格の低減を促すもの」としている。
一方、東京都は「『2050年CO2排出実質ゼロ』に貢献する『ゼロエミッション東京』の実現に向け、都内で新車販売される二輪車を2035年までに100%非ガソリン化することを目指しているため」と公表した。
電動バイクの購入に対する支援策は、年々手厚くなっている。今後も、環境性能と経済性を両立した選択肢として注目が高まるだろう。
電動バイクに対する補助金制度は毎年見直されている

実は、電動バイクに対する補助金制度は毎年見直されており、条件や金額も年度によって変更されている。実際、東京都が公表している補助制度を比較すると、2024年度と2025年度では補助対象や金額の設定に違いが見られる。
たとえば、前述のように84万8000円のバッテリー交換式原付3輪バイクを購入する場合、2025年では計34万2000円の補助額が発生するという例を挙げた。しかし、2024年の例では同条件であるにもかかわらず、計38万円の補助額が発生するとの具体例が挙げられる。
補助額は、国の補助金と東京都の補助金を合わせたものとなっている。そのうち、国の補助額は地域に関わらずいずれも6万円である。2024年の東京都の補助額は32万円となっており、2025年と比較すると3万8000円も高く設定されていた。

この変更の背景には、制度の予算配分や利用実績、電動バイクの市場価格動向が影響していると考えられる。加えて、都の補助制度は「ゼロエミッション・バイク」の拡大と温室効果ガス削減を目標としていることから、電動バイクの価格や性能進化に応じて、毎年度ごとに柔軟に制度が調整されている。
これにより、制度の持続性を確保しつつ、より多くの利用者に公平に補助金を届ける狙いがあると考えられそうだ。こうした変化を踏まえると、電動バイクの購入を検討している場合は、補助金制度の最新情報を確認し、年度ごとの条件を正確に把握することが重要と言えるだろう。
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ガソリン車に比べて車種の選択肢が限られていたり、充電環境の整備が途上であったりするなど、電動バイクの普及率は、現時点ではまだ高いとは言えない。しかし、国のCEV補助金や地方自治体の補助制度を活用すれば、電動バイクをガソリン車と同等の価格帯で購入することも可能である。
電動バイクは、日々の充電コストもガソリンに比べて割安なため、経済的なメリットは大きい。さらに、走行中にCO₂を排出しないことから、環境負荷の低減にも貢献する。家計にも地球にもやさしい移動手段として、補助金を活かした電動バイクの導入は、積極的に検討すべき選択肢と言えるだろう。

