フロントガラスの油膜は視界不良を招き非常に危険

雨天時にクルマを走らせ始めて間もなく、ワイパーを動かしてもフロントガラスにモヤッとしたスジが残り、なかなか消えないことがある。この現象の主な原因は、「油膜」にある。
油膜とは、大気中の排気ガスや花粉、油分を含んだ汚れなどがフロントガラスに付着し、透明な被膜となって残ってしまう状態を指す。では、そもそもこのような油膜が形成される理由は何なのか。
その原因は、大気中に含まれる微細な油分や排気ガス、工場や飲食店などから排出される煙にあるとされている。これらの汚染物質は、空気中を漂いながら少しずつフロントガラスに付着していく。

とくに走行中のクルマは、空気の流れを受けてこれらの物質を前面で受け止める構造となっているため、フロントガラスに汚れが集中しやすい。さらに、雨が降った際に、空気中の汚れが雨粒とともにガラス面に付着し、油膜の形成をさらに加速させるのである。
そして、この油膜があると、ガラス表面で水が均一に流れず、視界が歪んでしまう。とくに、夜間では視界確保に深刻な悪影響を与えることは言うまでもない。そのため、フロントガラスの定期的なメンテナンスが必要になるというわけだ。
油膜はウェットシートで除去可能! ただし例外もある模様
油膜の除去は、用品店や整備工場、ディーラーなどで対応してくれる場合が多いようだが、日常が忙しく店へ依頼する時間がないというユーザーも少なくないだろう。では、油膜はセルフで取り除くことは可能なのか。
トヨタグループの卸売会社であり、大手カー用品店でもあるジェームスの担当者は、「専用のウェットシートを使えば、セルフで油膜を取り除くことも可能です」という。続けて「ただし、専用ウェットシートは手軽に使えるメリットもありますが、油膜の除去効果は、専用の油膜取り剤に比べてやや劣ります。軽い油膜の除去や日常的なお手入れには向いていますが、頑固な油膜には専用の油膜取り剤をご使用ください」とも話す。
油膜除去専門のウェットシートは、廉価なものが多い。加えて、大きな手間もかからずに使用できる点が魅力と言える。

しかし、すべての油膜を取り除くことは難しいため、状況によっては別のアイテムを活用することがポイントになる。また、前述の担当者は油膜対策について、「撥水コーティングが効果的です」とも話す。これは、ガラス面に撥水コーティングを施すことで油分や汚れが付着しにくくなり、油膜の発生を抑えることができるためだという。
フロントガラスへの撥水コーティングは、油膜だけでなく、虫の死骸やほこりなどの付着も防いでくれる。結果として、良好な視界の確保につながるというわけだ。
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油膜は、クルマを運転する中で避けては通れない、身近な汚れと言える。良好な視界のもと運転することで、自身だけでなく周囲の人々の安全を守ることにもつながる。
ジェームスの担当者が話すように、油膜の対策として定期的なメンテナンスやフロントガラスの撥水コーティングなどを講じておくとよいだろう。

