車両トラブルが発生したら、ハザードランプを点灯させて非常駐車帯へ

トンネル内の非常駐車帯
トンネル内には、750mごとに非常駐車帯が設置されている。

夏季休暇やお盆期間にあわせた帰省、旅行需要の集中に伴い、夏は高速道路を利用するドライバーが増加する傾向にある。安全に高速道路を走行するためには、定期的なメンテナンスが欠かせない。しかし、どれだけ万全に準備をしていても、ドライブ中に車両トラブルが生じる可能性はゼロではない。

とくに、高速道路のトンネル内で車両が故障した場合、限られたスペースと視界の悪さにより、非常に危険な状況に陥るおそれがある。

車両トラブルのイメージ画像
車両トラブルが発生したら、ハザードランプを点灯させた後に非常駐車帯へ移動することが大切だ。
非常駐車帯を示す標識
高速道路上には、非常駐車帯を示す標識が設置されている。

では、実際にトンネル内で車両トラブルが発生した際は、どのように対処すべきなのだろうか。これに対し、JAFはクルマの惰性を極力活用し、直近の非常駐車帯に入ることを推奨している。

トンネル内には原則750mごとに非常駐車帯が設置されている。これは、トンネル内は路肩スペースが少なく、そのまま停車すると二次事故を起こすリスクが高いためだ。そのため、車両トラブルが発生した場合は、ハザードランプを点灯させて後続車へトラブル発生を知らせ、非常駐車帯へ移動することが大切だという。

さらに、同乗者は非常駐車帯に駐車後、速やかにクルマから降りて、安全な場所へ移動しなければならない。加えて、ドライバーは「三角表示板」などの停止表示器材を設置したり、非常電話から通報する必要がある。

トンネル内でのトラブルでは、こうした基本的な対応を事前に把握しておくことが、二次被害のリスクを減らすうえで極めて重要だ。

車両火災に遭遇した際も落ち着いて避難する

非常電話の写真
通報は、トンネル内に設置されている「非常電話」を利用するのも推奨されている。

NEXCO中日本によれば、車両火災による通行止めは月平均2回以上発生しているという。そして、車両火災がトンネル内で発生する可能性も否定できない。密閉された空間で火災が起きた場合の危険性は、いうまでもないだろう。

こうした状況に備え、広島県警はトンネル内火災に遭遇した際の避難対応について、次のような行動を推奨していた。トンネルには出入口のほかに反対のトンネルにつながっている「避難坑」が設置されている。トンネル内火災から避難する際は、まずこの避難坑までの標示と出口を確認し、速やかに出口、もしくは避難坑から避難するという流れだ。

トンネル内部の写真
トンネル火災が発生した場合、火災が拡大し手に負えなくなりそうならすみやかに避難しよう。

さらに、NEXCO西日本はトンネル内の火災を発見した場合、通報装置や非常電話での通報や、可能な範囲での初期消火を呼びかけている。ただし、火災が拡大し手に負えなくなりそうな場合は、すみやかに避難することも重要だという。

火災は、発生からわずか数分で車内温度や煙濃度が致命的なレベルに達するため、通常時よりも迅速かつ的確な判断が求められる。こうした避難対応をあらかじめ知っておくことが、自分自身や同乗者の命を守る備えとなるのだ。

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誰であっても、走行中に車両トラブルや思わぬアクシデントに見舞われる可能性はゼロではない。とくに、高速道路やトンネル内など、逃げ場の少ない場所では、冷静かつ迅速な判断が求められる。万が一の際に慌てないためにも、日頃から対応手順を把握しておくことが重要である。事前の備えが、トラブル時の安全確保と被害軽減につながるはずだ。