「ホンダ学園」創立50周年事業第1弾!

学校法人ホンダ学園は、2026年に創立50周年を迎えることから、その記念事業として学生による「第28回ラリー・モテカルロ・ヒストリック」への参戦を発表した。
ホンダ学園の学生、約30名の有志が参戦車両のレストアから車検(一般と競技)の取得はもちろん、現地でのチーム運営や整備など、ほぼ全てを自身らで行なうというものである。

参戦発表会での記念撮影。参加する学生と、ドライバーを務める佐藤琢磨選手、事業に携わるホンダ学園の教員。

ドライバーは元F1ドライバーで、日本人唯一のインディ500ウィナーである佐藤琢磨選手と、ホンダの元テストドライバーであるホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジ関東校の勝田啓輔校長の2名体制。それぞれのナビゲーターは学生が務める。

このプロジェクトでドライバーを務める佐藤琢磨選手も、ラリーは初参加。学生と共にチャレンジとなる。

参戦車両はSB1型シビック1200RS

参戦車両は2台のSB1型シビック1200RSが用意され、学生の手によりレストアが進められている。
「ラリー・モテカルロ・クラシック」に参戦できる車両は1986年1月までにWRCのモンテカルロラリーに参戦したことがある車種に限定されるのだが、ホンダ車ではSB1型シビック1200RSが唯一のモデルになるという。

参戦車両のシート合わせをしている佐藤琢磨選手。学生とシートポジションについて意見交換中。

SB1型は1972年にリリースされた初代シビックに、1974年に追加されたスポーツグレード「1200RS」。当時のオイルショックや環境問題からスポーツモデルに厳しい時勢にあって「RS」を「ロードセイリング」とした逸話で有名なモデルだ。

ボロボロだったボディを板金修理し、新車当時のカラー「サンセットオレンジ」で塗装し直した1号車「サンセット号」。

2台の参戦車両は、佐藤琢磨選手がステアリングを握る1号車が「サンセット号」。勝田校長がドライバーを務める2号車が「マドリード号」と名付けられた。いずれも新車当時のボディカラー「サンセットオレンジ」と「マドリードレッド」が由来となっている。

「マドリードレッド」の2号車「マドリード号」はエンジンを搭載するところまで進んでいた。

「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」とは?

近年、ヨーロッパでシリーズが開催されるほど盛り上がっているクラシックラリーだが、「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」はそうした「FIAヨーロピアンヒストリックラリーチャンピオンシップ」などととは異なるイベントだ。

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https://motor-fan.jp/article/784004/
ヒストリックラリーシリーズ「FIAヨーロピアンヒストリックラリーチャンピオンシップ」の1戦『ラリー・コスタ・ブラーヴァ』の様子。

1977年から始まった「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」は同じラリーでもWRCのようにスピードを競う形式ではなく、走行タイムの正確さを競うレギュラリティラリーであることが大きな特徴となっている。日本では「計算ラリー」と呼ばれ、学生やアマチュアの間で人気を博した時代がある。

ロールケージを組み込んだ「サンセット号」の室内。ロールケージは現代のラリーカーに比べると極めてシンプル。シートはブリッド製を装着。

ホンダ学園が参戦する28回大会は2026年2月1日(日)〜2月7日(土)までの7日間の競技期間中にモナコを起点に2000km〜3000kmを走破。モンテカルロラリーの古き良き伝統である「コンセントレーションラン(ヨーロッパ各地のスタート地点からモナコに集合するプレ競技区間)」も設定されている。参加台数は150台〜200台にも及び、ヨーロッパ屈指の人気モータースポーツイベントと言えるだろう。

「マドリード号」に搭載されたエンジン。EB1型1.2L直列4気筒SOHCエンジンに5速MTの組み合わせ。

長大な競技区間を走り、しかもラリーファンにはお馴染みの「チュリニ峠」を超えるルートもあるなど、真冬のアルプスを走破するハードなラリーを、50年前の旧車で走る。何が起こるかわからない中で、整備力はもちろん極限に挑むことで人間力も試されることになる。プロジェクトに参加する学生には大きな財産になることは間違いない。

「マドリード号」はエンジンは搭載されているが、室内はロールケージを組んでいるくらいで、ステアリングやシートは未装着。

車両の準備はもちろん、競技が終わるその時まで、このプロジェクトの動向から目が話せない。続報に期待したい。