バッテリー上がりは秋に多発する

バッテリー上がりは秋に多発する

秋口は朝晩の冷え込みでバッテリー性能が低下しやすい。夏にエアコンやライトを酷使した車は負荷が蓄積しており、気温の低下をきっかけに突然エンジンがかからなくなるケースが目立つ。ただし、エンジン停止には前兆があることが多い。エンジンの始動性が悪くなる、アイドリング時にライトが暗い、パワーウィンドウの動きが鈍いなどのサインを見逃すと、旅行先や出先で立ち往生するリスクが高まる。

予防策はシンプルで、月に1回の定期点検を心がけることだ。カー用品店やガソリンスタンドでは無料診断サービスを提供している場合も多い。寿命の目安は2〜3年とされており、交換時期を過ぎているなら早めの交換が安心につながる。

日暮れの早さが招くライト点灯忘れ

薄暗くなる前に、早めのライト点灯を

秋は日没が早まり、気づけば真っ暗という場面が増える。無灯火走行は自車の存在を周囲に伝えられず、事故リスクを高める危険行為だ。

さらに、ライトを点けても十分な明るさが確保できない場合がある。ヘッドライトレンズが黄ばみや曇りで劣化していると光量が落ち、前方を照らす力が弱まる。これは自身の視界確保だけでなく、対向車や歩行者からの視認性にも直結するため軽視できない。

対策は単純で、薄暗くなる前にライトを点ける習慣を持つことだ。レンズの曇りやバルブの寿命を定期的に確認し、必要に応じてクリーニングや交換を行いたい。オートライト機能を備えた車も増えているが、それに頼りきらず自ら操作する意識が安全につながる。

秋雨・台風で視界不良に

秋は秋雨前線や台風の影響で雨の日が増え、視界不良による事故が多くなる傾向がある。特に問題となるのがワイパーの劣化だ。夏の強い紫外線や高温でゴムが硬化し、秋雨に見舞われると拭き残しやビビリ音が出やすい。そのまま走行すれば前方の視界は不安定となり、事故のリスクは一気に高まる。加えて、台風や強風で飛ばされた落ち葉がワイパー周辺に詰まり、動作不良を引き起こすケースも少なくない。

こうした事態を防ぐには、秋口にワイパーの点検・交換を行うのが有効だ。寿命はおおむね1年程度とされ、拭き取りに不具合を感じたら早めの交換が望ましい。また、ウォッシャー液を十分に補充し、ガラスの汚れや落ち葉に備えて常に使える状態を保つことも重要だ。雨の日のドライブは、まず視界を確保することが安全運転の第一歩である。

タイヤ点検は冬支度の前に

溝が3〜4mmを切った段階でタイヤ交換を検討する。

秋は、夏の長距離走行や高温路面で摩耗したタイヤに不具合が現れやすい時期である。加えて気温が下がると空気圧も低下し、燃費悪化やパンク、さらにはバーストのリスクが高まる。タイヤの溝が浅いと雨天時のグリップ力が低下し、ハイドロプレーニングを引き起こしやすい。法令上の使用限度は残り溝1.6mmだが、実際には3〜4mmを切った段階でタイヤ交換を検討するのが安全とされる。

空気圧は月に1回の点検が目安であり、ガソリンスタンドやカー用品店で無料で確認できる場合も多い。さらに、スタッドレスタイヤへの交換準備も秋から始めておけば、突然の寒波にも慌てず対応できる。

タイヤは車を支えるだけでなく、命を守る最重要パーツのひとつだ。秋の点検を怠らず、冬に向けて備えを整えておくことが安心につながる。

秋は冬準備前の健康診断シーズン

秋のドライブは気候が穏やかで快適だが、夏に酷使した車の疲れが表面化しやすく、さらに冬の厳しい環境を前に不具合が出やすい時期でもある。「まだ大丈夫」と油断すれば、思わぬトラブルに直面する可能性は高い。

特に注意したいのは「バッテリー・ライト・ワイパー・タイヤ」の4点だ。いずれも日常的に使う装備でありながら劣化を見落としやすく、トラブルが起きれば走行に直結する。これらを重点的に点検しておけば、秋の安心感だけでなく冬本番への備えにもなる。

秋を「車の健康診断シーズン」と位置づけ、点検やメンテナンスを計画的に行うことが、安全運転と長期的なコスト削減につながる。