自転車は軽車両という法律上の位置づけ

通勤通学に公共交通機関よりも自転車という方もいるのではないだろうか。

どこにでも行ける便利な道具として、誰もが気軽に乗る自転車。だが、2024年の法改正をきっかけに、その立場は大きく見直されている。

たとえば、運転中のスマートフォン使用は禁止が強化され、違反すれば1年以下の拘禁刑や30万円以下の罰金が科せられる。さらに、酒気帯び運転にも新たな罰則が加わり、飲酒した本人だけでなく酒類を提供した側にも責任が及ぶという。

これらの罰則内容からは、自転車が「ただの移動手段」ではなく、クルマと同じように厳格なルールのもとで扱われていることがうかがえる。

なお、現在の道路交通法では、自転車は「軽車両」に分類されている。さらに、長さ190センチ以内、幅60センチ以内といった条件を満たす車両は、「普通自転車」という区分に分けられるというのだ。この基準を満たすかどうかによって、歩道を走れるかどうかといった扱いが変わってくる。

そして、自転車は車道通行が原則だ。車両通行帯がある場合は一番左を、なければ道路の左端を通らなければならない。

このような看板は注意しなければならない。

一方通行でも「自転車を除く」と記された標識がある場合だけ逆走できるが、それは例外的な措置にすぎない。信号についても、原則は車両用の信号に従うよう指定されている。

ただし、「歩行者・自転車専用」と表示されていれば、その信号に従う必要があるというわけだ。

厳格に定められた通行義務と装備基準

自転車専用道路の写真
自転車が通れる場所は決まっている。

歩道を走れるのは「普通自転車」に限られており、その際は歩行者優先で徐行しなければならない。さらに、人の通行を妨げるおそれがあれば一時停止も必要だ。

また、停止線や横断歩道の直前で止まることも求められており、踏切では必ず直前で停止する決まりになっている。

整備中の写真
自転車でも整備が必須である。

くわえて、装備にも厳しい基準がある。ブレーキは時速10キロで3メートル以内に止まれる性能が必要で、夜間は前照灯と反射材または尾灯を備えなければならない。

さらに、「ノーブレーキピスト」と言われるブレーキなしの自転車は基準を満たさず、公道を走ることはできないというのだ。それでも、違反は後を絶たず、信号無視や一時停止違反と見なされる事例も少なくない。

実際、自転車による信号無視で重大な衝突事故が起きた事例も発生している。こういった事例からも、自転車が軽車両であることを忘れた結果の危険性が浮き彫りになっていることは明確だろう。

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自転車は誰もが乗れる身近なモビリティである。しかし、法律上自転車は歩行者ではなく「車両」に含まれる存在であり、軽車両として多くの義務を背負っている。

ルールを知り、守ることこそが安全で秩序ある利用につながるだろう。