高速道路でのタイヤバーストに直面したとき

クルマを定期的にメンテナンスしていても、万が一のトラブルが起こりうる可能性はゼロではない。たとえば、タイヤのバースト。もしも高速道路を走行中にタイヤが破裂すれば、思わぬ交通事故へ繋がりかねない。
さらに、その際に急な操作をおこなうと車線をはみ出したり、追突事故に発展したりする危険が増すことは、言うまでもないだろう。そのため、まずは慌てずに減速し、路肩など安全な場所に停車することが安全への第一歩である。

しかし、停車後の対応を誤ればさらなる事故を招きかねない。そこでNEXCO中日本は、高速道路での緊急停車後には「歩き回らない」「後続車に合図する」「安全な場所へ避難する」「避難してから通報する」という4つの行動を基本として提示している。そして、しっかりハザードランプを点灯させることも欠かせない。

続いて発炎筒を点火し、停止表示器材を後方に設置する。これらは道路交通法において義務付けられており、後続車へ危険を知らせる重要な手段である。また、設置の際は必ずガードレールの外側や中央分離帯沿いを通って移動し、無理のない範囲で実施する必要がある。
同時に、クルマのまわりに立ち続けることや車内に残ることは避けるべきである。なぜなら、高速道路上で停車中のクルマに追突され、車内にいた人が命を落とす事故が繰り返されているからだ。車内は決して安全地帯ではなく、避難こそが唯一の選択肢であることを忘れてはいけない。

そして、避難を済ませたら速やかに通報をおこなうことが求められる。一般的に、通報方法は110番、非常電話、道路緊急ダイヤル(#9910)の3種類がある。さらに、昨今はLINEアプリを利用した#9910通報も可能であり、発生場所や状況、負傷者の有無を伝えることが基本とされている。
通報を受け、交通管理隊や警察が現場に到着すると車線規制がおこなわれると同時に、情報板には「故障車あり」と表示され、後続車に注意を促すしくみが整っている。これにより、二次事故の危険が大幅に軽減されるのである。

また、備えがあるかどうかで、緊急時の行動の速さが大きく変わるため、日頃からの備えも欠かせない。発炎筒や停止表示器材の位置を把握し、いざという時にすぐ使えるよう確認しておくことが大切だ。
結論として、高速道路でタイヤがバーストした際にもっとも優先すべきは、修理ではなく安全確保である。無理にタイヤ交換を試みるのではなく、ガードレールの外側に避難し、通報を徹底することが重要というわけだ。そして、安全を確保したうえで救援を待つことが、自分や同乗者、そして周囲の交通を守る唯一の方法である。
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タイヤのバーストは完全に予測することは難しいトラブルだ。しかし、対応を誤らなければ命を守ることができる。なお、タイヤのバーストに限らず、高速道路での非常時は「停車、合図、避難、通報」を徹底することが不可欠である。
