時代とともに進化した“プレミアムミニバン”日産・エルグランドの変遷
1980〜90年代、日本の自動車市場では「ミニバン=ファミリー+レジャー用途」という流れが急速に広がった。そんな時代背景の中で、1997年に登場したエルグランド(初代 E50型)は、広い室内空間とゆったりした乗り心地を備えたプレミアムミニバンとして登場。
乗用車的な快適性とミニバンならではの実用性を両立し、特に大人数での移動や長距離移動を重視するユーザーから高い支持を集めた。
2002年に登場した2代目 E51型では、ミニバン市場がさらなる高級化・快適化の方向へ進む中で、エルグランドも「強い存在感+高級仕様」を強めたモデルとなった。
電動スライドドアや剛性高めたボディ設計、内装の質感向上などが進み、「ただの大きなミニバン」から「ラグジュアリークラスのミニバン」へのステップアップが図られた。
さらに2010年には3代目 E52型に移行。市場では大型ミニバン・SUV・ラグジュアリーミニバンという選択肢が交錯する中、エルグランドもプラットフォームや駆動方式(後輪駆動から前輪駆動・4WD併用)を見直し、より多様なユーザーニーズに応える仕様へと変化を遂げた。
この世代では、安全装備やカメラ・モニター技術の導入も進み、ミニバンでありながら「乗る喜び」「優雅な移動」という価値も高められた点が特徴だ。
プレミアムミニバンの原点が、さらに磨かれて帰ってきた新型エルグランド

新型エルグランドは、「The private MAGLEV(リニアモーターカー)」をデザインコンセプトに掲げ、非日常の旅に出る高揚感と先進性を融合させたプレミアムミニバンだ。
外装は現行モデルより大型化され、リニアモーターカーのような滑らかさと静けさをイメージ。堂々としたシルエットとシャープなラインで「威風堂々」とした存在感を放つ。
フロントグリルには日本の伝統工芸「組子」をモチーフにした意匠を採用し、ボディ全体には“間”と“整”という日本的美意識を表現。軽量化を追求したホイールが全体の造形と調和し、力強さと上質さを両立している。
インテリアは、まるでプライベートラウンジのような空間へ進化を遂げた。アイポイントを高めることで広い視界を確保し、運転の安心感と誇らしさを両立している。14.3インチの統合型インターフェースディスプレイを国内モデルで初採用し、シームレスな操作性を実現。

BOSE製22スピーカーによる3Dサラウンドや64色の間接照明が、上質で没入感ある車内体験を提供する。内装カラー「紫檀(シタン)」は、紫と青を基調にした落ち着きあるトーンで、日本的な美意識を体現している。
ボディカラーは新色「FUJI DAWN(フジドーン)」と「至極(シゴク)」の2トーンを設定。富士山の黎明を切り取ったような自然美と、格式ある色彩が調和する。
パワートレインには、第3世代「e-POWER」を搭載。新開発の発電特化型エンジン「ZR15DDTe」と5つの主要部品を一体化した「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」により、高効率・高静粛を実現した。
さらに、進化した「e-4ORCE」が走行状況に応じて前後トルクを緻密に制御。滑らかな発進と安定したコーナリングを両立し、快適性と操縦性を大幅に高めている。また、減衰力を自動調整する「インテリジェントダイナミックサスペンション」が搭載され、6つのドライブモードにより、シーンに応じた理想の走りを実現する。
安全面では、高速道路での運転支援機能「プロパイロット2.0」「プロパイロット」を搭載。渋滞時の時速50km以下でのハンズオフ走行や、ウインカー操作による車線変更支援にも対応するなど、ドライバー負担を軽減する先進システムを備える。
新型エルグランドが示す“移動の新しいかたち”
1997年に誕生した初代エルグランドが切り開いた「プレミアムミニバン」というジャンルは、単なる移動手段ではなく、人をもてなす空間として進化を続けてきた。その思想は、2026年に登場する新型エルグランドにも脈々と受け継がれている。
新型モデルは、第3世代e-POWERと進化したe-4ORCEを組み合わせることで、力強さと静粛性、そして快適性を同時に実現。日産が長年培ってきた電動化技術をフルに投入し、「走るラウンジ」と呼ぶにふさわしい上質な走行体験を提供する。
また、デザイン面では日本の美意識を再解釈。伝統工芸「組子」や、日本庭園の“間”と“整”の思想を取り入れたエクステリアとインテリアは、グローバルな高級車の中でも独自の存在感を放つ。
エルグランドは、時代ごとに変化する価値観を映し出しながら、常に上質な移動の象徴であり続けてきた。そして2026年、その原点に最新技術と日本的美意識を融合させた新型エルグランドが、「プレミアムミニバンの頂点」として再びシーンの中心に返り咲く。