酒気帯び運転・酒酔い運転の違い

飲酒運転には大きく分けて「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」がある。

酒気帯び運転は、呼気1リットル中0.15mg以上のアルコールが検出された場合に適用される。少量であっても基準値を超えれば違反となり、免許停止や罰金の対象となる。

酒酔い運転は、アルコールの影響により正常な運転ができない状態を指し、基準値は関係ない。ふらつき、呂律、反応速度の低下などが確認されれば即アウトだ。罰則は酒気帯びより重く、懲役や高額罰金が科される。

「少しだけなら大丈夫」は完全に誤り

アルコールは、ごく少量であっても運転に必要な能力を確実に奪っていく。

判断力は鈍り、視界の情報処理が遅れ、普段なら無意識にできるはずの危険回避もワンテンポ遅れるようになる。遠近感がわずかに狂うだけで、ブレーキの踏み始めが遅れ、停止距離は想像以上に伸びる。

周囲の音や歩行者の動きへの注意も散漫になり、気づくのが遅れた分だけ事故につながるリスクは跳ね上がる。

「自分は強いから大丈夫」「少しだけだから問題ない」といった自己判断は、科学的にも経験的にも完全に誤りだ。

アルコールによる能力低下は誰にでも起きるものであり、その影響から逃れられる人はいない。飲酒運転の危険性は、まさにそこにある。

飲酒運転は“運転者だけ”の責任ではない

飲酒運転は、運転者ひとりの問題ではない。道路交通法では、実際にハンドルを握った人だけでなく、その行為を許したり支えたりした周囲の関係者にも責任が及ぶ仕組みになっている。

酒を提供した人、運転する可能性があると知りながら勧めた人、酔った運転者の車に同乗した人、いずれも状況次第では「飲酒運転幇助」として罰則の対象となる。

翌日の“アルコール残り”も摘発対象

翌日の“アルコール残り”も摘発対象

お酒を夜に飲んだ場合、翌朝までアルコールが残っていることは珍しくない。たとえばワインを3〜4杯飲んだだけでも、体質によっては翌朝の通勤時に酒気帯び運転に該当するケースがある。

「寝たから抜けたはず」という思い込みは非常に危険だ。飲酒運転を避けるもっとも確実な方法は、事前に移動手段を決めておくことである。

タクシーやライドシェアを予約しておく、代行運転を利用する、公共交通機関を利用するなど、最初から車で出かけないといった選択肢をあらかじめ用意しておくことで、安全は大きく確保できる。

「飲んでから考える」では遅い。飲み始める前に“帰り方”をセットで決めておくことが重要だ。

また電動キックボードや自転車は、道路交通法上いずれも「車両」に分類される。道路交通法第65条では、「何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定められており、電動キックボードや自転車であっても飲酒運転は禁止である。

自転車の酒気帯び運転は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金がかせられる。

アルコールは少量でも脳の働きを鈍らせ、判断力や操作能力に確実な悪影響を及ぼす。「少しだけなら大丈夫」という自己判断は危険であり、飲酒後に運転してはならない。

電動キックボードも自転車も、飲酒運転は立派な違法行為である。

お酒の楽しさを台無しにしないために

車の運転をする前には飲まない、飲む日は絶対に運転をしてはならない。

ボジョレーヌーボーの解禁日は年に一度、初物好きの日本人が楽しむ細やかなイベントであり、毎年楽しみにしている人が心待ちにしている特別な日である。しかし、その楽しい時間を飲酒運転による悲しい事故で終わらせてはならない。

アルコールを少量でも摂取すれば運転能力は確実に低下し、翌朝であっても酒気帯び運転に該当する場合がある。

また、飲酒運転は運転者本人だけでなく、酒を勧めた人や同乗者にも責任が及ぶことを忘れてはならない。判断力は必ず落ちるという事実は、科学的にも明らかだ。

クルマを運転する日は絶対に飲まない。飲む日は絶対に運転しない。このシンプルな鉄則を守ることが、自分自身と周囲の生命を守る最も確実な方法である。

美味しいワインを安心して楽しむためにも、飲酒運転ゼロを改めて徹底することが求められている。