一般のナンバープレートが付かない理由

皇室車両に装着されるナンバープレートは、一般車のものとは全く異なる特別仕様である。丸型の白地プレートの中央には金色の菊花紋が据えられ、その下に一桁の番号が刻まれる。地名・分類番号・ひらがなといった通常の表示は一切なく、簡潔で儀礼性の高い意匠となっている。
番号は「1」や「5」、「9」などの一桁が用いられ、道路運送車両法に基づき、この形式が認められているのは皇室車両のみである。
一見すると「ナンバープレートが付いていない」ように見えることもあるが、実際には厳格な管理のもと、この特別仕様の番号標が使用されている。
皇室車両に一般的なナンバープレートが付かない理由は明確だ。まず、皇室専用車は国家の「公用車扱い」であり、一般車とは異なる制度で登録されるため、通常の番号標を装着する前提がそもそも存在しない。
加えて、皇族方の移動ルートや車両情報を秘匿するセキュリティ上の理由から、地域名や番号を外部に晒す一般形式のナンバーは不適切とされる。
さらに、皇室車両は儀礼性の面でも特別な存在であり、国の象徴としての品格を保つため、専用の菊花紋プレートが公式に制定されている。このデザインは単なる装飾ではなく、皇室儀礼に基づく形式として運用されているものだ。
こうした背景から、皇室車両のナンバープレートは制度・安全・儀礼の三点を踏まえた合理的な仕組みとして特別仕様が採用されているのである。
皇室センチュリーの“ナンバー位置”はどこ?

皇室専用センチュリーのナンバープレートは、一般車とは取り付け位置が大きく異なる。通常のクルマであればフロントバンパー中央に長方形のナンバーを掲げるが、皇室車両ではこの位置にプレートは存在しない。
丸型で菊花紋があしらわれた「皇室専用番号標」は、前方ではグリル中央の菊花紋章の下、もしくは専用ステーを用いてバンパー上部に取り付けられる。後方についても同様で、一般的なバンパー下部ではなく、トランクリッド上部に掲げられるのが通例だ。
このため、外観だけを見ると「ナンバーが付いていない車両」に見えてしまうこともある。皇室センチュリーは、特別な意匠だけでなくナンバープレートの配置にも特別な規定があり、その存在自体が皇室車両としての格式と機能を象徴していると言える。
現行御料車センチュリーにも採用
令和以降、皇室が儀礼や公務で用いる御料車は「「トヨタ・センチュリー・ロイヤル」へと更新されている。
この新世代御料車でも、従来と同じ丸型・菊花紋入りの皇室専用ナンバープレートが継続して使用されており、車両の形式が変わっても番号標の様式は変わらない。
一方で、国賓を迎える際に運用される「センチュリー・ロイヤル」は、皇室専用車ではなく政府が保有する国賓送迎車という扱いである。このため、皇室専用プレートではなく、一般車と同じ形式の通常ナンバープレートを装着している点が大きな違いだ。
同じセンチュリーであっても、「皇室用御料車」と「政府の国賓送迎車」とでは運用基準が明確に分かれているのだ。
法律で厳格管理されている皇室専用ナンバー、一般人は使用不可

皇室専用プレートは、道路運送車両法および関連規定に基づき厳格に管理されており、一般人が取得したり使用したりすることは一切できない。皇室車両にのみ使用が認められた特別な番号標であり、形式・仕様・番号の運用は国家レベルで管理されているのだ。
もしこれを模倣して取り付けた場合は、道路運送車両法違反(ナンバープレート偽造・不正使用)に該当し、重い罰則が科される。偽造や不正装着は明確な犯罪行為であり、決して行ってはならない。
皇室センチュリーは単なる高級車ではなく、国の象徴としての格式を備えた儀礼車だ。ナンバープレートひとつ取っても、その特別性が表れているのがわかる。
