2025年11月の新車販売登録数トップ10

順位メーカー・モデル販売台数前年同月比
1位トヨタ・ヤリス14,556台77.4%
2位トヨタ・カローラ10,997台67.9%
3位トヨタ・ライズ10,004台188.2%
4位トヨタ・シエンタ9,703台109.4%
5位トヨタ・ルーミー8,664台191.3%
6位トヨタ・アルファード7,238台81.6%
7位ホンダ・フリード7,132台90.3%
8位トヨタ・ヴォクシー6,875台117.8%
9位トヨタ・ノア6,763台113.1%
10位ホンダ・ヴェゼル5,794台119.3%

前月から引き続きコンパクトカーとミニバンが中心となる構図は変わらず、その中でSUVや背高ワゴンも上位に食い込む結果となった。

多様なボディタイプで全需要を取り込むトヨタの戦略

トヨタ・ヤリス特別仕様車 Z“URBANO”(ハイブリッド・2WD・オプション装着車)

首位はトヨタ・ヤリスで、11月の販売台数は14,556台となった。10月の17,041台からは減少したものの、登録車部門におけるトップの座を維持している。

ハイブリッドを軸とした燃費性能の高さや取り回しの良さに加え、価格帯の幅広さが評価されており、初めて車を購入する層からファミリーのセカンドカーまで幅広く支持されている。

2位のトヨタ・カローラ(10,997台)は、セダン・ワゴン・ハッチバックの3タイプを展開することで、多様な購買層を獲得し続けている。コンパクト寄りのサイズ感と最新の安全機能を併せ持つことが安定した需要につながっている。ただし、ヤリス・カローラともに前年同月比は7割台にとどまっており、需要は鈍化傾向にある。

こうした背景の一因として、主要ユーザー層がSUV・ミニバン・トールワゴンへシフトしていることが挙げられる。

その変化を象徴するのが、3位のトヨタ・ライズ(10,004台)である。前年同月比188.2%と大幅に伸長し、コンパクトSUV市場の拡大と商品改良の成果が明確に数字へ反映された。

4位のシエンタ(9,703台)、5位のルーミー(8,664台)はいずれも実用車としての存在感が強い。シエンタは3列シートの利便性とコンパクトボディを両立し、ファミリー層から継続的な支持を獲得している。ルーミーはスライドドアと室内空間の広さが評価され、前年同月比191.3%という高い伸び率を記録した。

6位のアルファード(7,238台)は、高級ミニバンとしてのポジションを確立し続けている。フルモデルチェンジ後も高い受注状況が続き、「ブランドとしての所有価値」が購入動機になっている点は特徴的である。

8位のヴォクシー(6,875台)、9位のノア(6,763台)はミドルレンジのミニバンとして安定した販売を維持し、アルファード・シエンタとともに、トヨタがミニバン市場の幅広い価格帯を網羅している構図が見て取れる。

トヨタ独走の中で使いやすさ×スタイルで支持を獲得した、ホンダ・フリード&ヴェゼル

ホンダ・FREED e:HEV AIR EX

トヨタが上位を独占するなかで、ホンダ勢ではフリードとヴェゼルがトップ10に食い込んだ。

7位のホンダ・フリード(7,132台)は、「ちょうどいいサイズのミニバン」として長年支持されてきたモデルである。コンパクトなボディに3列シートを収め、取り回しと居住性を両立させたパッケージングが特徴で、シエンタとともに“コンパクトミニバンの双璧”として市場を支えている。

10位のホンダ・ヴェゼル(5,794台)は、SUVブームの中核を担うコンパクトSUVだ。前年同月比119.3%と二桁増を記録しており、デザイン性と燃費性能、都市部での扱いやすさから、若年層からファミリーまで広い層に浸透している。

ミニバン・SUV・コンパクトが拮抗する多極化市場

2025年11月の登録車ランキング上位を見ると、ヤリスやカローラといったコンパクトカー、ライズやヴェゼルのようなコンパクトSUV、シエンタ・フリード・ヴォクシー・ノア・ルーミーといった実用型のミニバン、さらにアルファードのような高級ミニバンまで、主要カテゴリーが横並びで上位に顔をそろえた。

かつてのように「特定ジャンルが圧倒的に強い」という構図ではなく、生活スタイルや目的によってモデルを選び分ける“多極化”がより鮮明になった結果と言える。

そのなかで、上位10車種中8車種をトヨタが占めている点は、ラインナップの広さと市場浸透力が極めて強固であることを示す。一方で、ホンダのフリードやヴェゼルなども一定の存在感を発揮しており実績を伸ばしつつある。

総じて、トヨタ優勢という流れが継続した一方で、コンパクト、SUV、ミニバンがほぼ三つ巴となる競争環境が確立しつつあることが、2025年11月の販売動向から読み取れる結果となった。