トヨタのbZ4Xが好調に推移し、国産EV販売は増加傾向に

2025年11月のEV販売台数は、全体として緩やかな増加傾向にあり販売の底上げが確認されている。
全国軽自動車協会連合会および日本自動車販売協会連合会の公表データを基にした集計では、2025年11月の国内メーカー(国産)EV販売台数は4,209台となり、10月(3,908台)から約300台増加した。なかでもトヨタの「bZ4X」は1,580台を記録し、増加局面を牽引した。
一方、乗用車市場全体でみると、11月のEV販売は5,921台(前年同月比+17.5%)とされ、増加傾向が続いている。なお、BEVとPHEVを合算した販売台数は8,844台で、前年同月(9,870台)から10.40%減となったとの集計もある。
月別統計は集計対象(BEVのみ/BEV+PHEV、乗用車のみ/軽含む等)により差が出るため、複数データを横断して捉える必要がある。
販売は回復も、EVシェアは2.9%と苦戦
販売全体に占めるEV(PHEVを含む)のシェアは、依然として限定的な水準にとどまっている。2025年11月時点における新車販売に占めるEV・PHEVの比率は、乗用車ベースでは約2.9%とされ、前年同月(約3.0%)からは小幅に低下している
この結果から、国内EV市場は販売台数こそ持ち直しの動きを見せているものの、新車市場全体の中で存在感を大きく高める段階には至っていないことが読み取れる。
とくに日本市場では、燃費性能や価格、使い勝手の面で評価の高いHVが依然として高い比率を占める構造が続いており、この点がEV普及のペースを緩やかなものにしている要因の一つと考えられる。
国内自動車メーカー別の動き
トヨタ:bZ4Xが1,500台超、国内EV市場を下支え

トヨタは新型EVの投入効果により、2025年11月の国内EV販売を押し上げたメーカーの一社である。なかでも主力EVである「bZ4X」の販売は好調で、同モデル単体で1,580台を記録した。
この販売水準は、国内EV市場全体の規模を踏まえると無視できない存在感を持つものであり、月間販売台数の増加を下支えする要因となった。とくに、これまでEV販売が伸び悩んできた国産メーカーの中において、トヨタが一定の販売ボリュームを確保した点は、市場全体にとっても象徴的な動きといえる。
ホンダ:日常用途を担う軽EV「N-ONE e:」が存在感

ホンダは軽EV「N-ONE e:」の販売拡大によって、2025年11月のEV販売増に一定の貢献を果たした。同モデルは、軽自動車という日本市場に適したカテゴリーにEVを投入した点が特徴であり、日常用途を想定したEVとして軽EV需要の掘り起こしにつながっている。
とくに、通勤や買い物といった短距離移動を中心とするユーザー層にとって、軽EVはサイズや価格、維持費の面で現実的な選択肢となりやすい。「N-ONE e:」の販売動向は、EVが必ずしも中・大型車に限られた存在ではないことを示す事例であり、国内EV市場の裾野拡大という観点でも注目される動きである。
日産:EV販売は730台、前年同月比で大幅減
日産の2025年11月の国内EV動向は、「市場全体は持ち直しつつある一方で、日産は台数面で伸び悩んだ」という位置づけになる。
メーカー別のBEV販売台数でみると、2025年11月はトヨタが3,238台で首位に立ち、ホンダが1,058台で続いたのに対し、日産は730台で国内メーカー3位である。
一方で、この730台は前年同月比で大きく減少したとされ、前年の2,498台から約7割減という低水準が示されている。
車種別にみると、日産のボリュームを支えてきた軽EV「サクラ」は594台(前年1,731台から減)、登録車の「リーフ」と「アリア」は合計で136台(前年767台から減)とされ、主力モデルの減速がそのままメーカー合計の縮小につながった構図である。
この結果、11月の国内EV販売はトヨタ・bZ4Xやホンダ・N-ONE e:が押し上げ要因となる一方、日産は「次期・改良の端境期」で販売台数が低下しつつある状況だ。
EV市場、回復基調も普及は道半ば
今後の国内EV市場は、短期的には緩やかな回復基調を維持しつつも、本格的な普及拡大にはなお時間を要する局面が続くと見込まれる。
2026年に向けては、スズキや日産をはじめとする国内メーカーが新型EVの投入を予定しており、車種ラインアップの拡充が市場拡大の起点となる可能性がある。とくに軽自動車や実用性を重視したモデルが増えれば、EVを選択肢として検討する層の裾野は着実に広がるだろう。
一方で、販売台数の増加がそのまま市場シェアの拡大につながるかは不透明である。日本市場では引き続きHVが高い支持を集めており、価格、航続距離、充電環境といった課題が解消されない限り、EVへの急速な置き換えが進むとは考えにくい。
また、BYDをはじめとする海外メーカーの参入拡大や、ディーラー網・アフターサービス体制の整備といった流通・販売面の環境変化も、市場の方向性を左右する要素となる。こうした動きが消費者の不安をどこまで払拭できるかが、今後の普及スピードを左右するはずだ。
総じて、2025年11月時点の国内EV市場は「回復の兆しは見えるが、構造的な制約も依然として大きい段階」にある。今後は、新モデル投入、価格競争力の向上、販売・整備体制の充実がそろって進むかどうかが、EVが日本の新車市場で存在感を高められるかどうかの分かれ道となる。
