レギュラーとハイオクの違いは耐ノッキング性能にある

タンカー
中東情勢により、ガソリン価格の高騰が示唆されている。

2026年3月現在、中東情勢の悪化による原油価格上昇や円安進行の影響を受けて、ガソリンへの注目度が高まっている。そのような状況下において、ハイオク指定のクルマに価格の安いレギュラーガソリンを入れて燃料代を節約できるのではないかという話題が、SNSを中心にしばしば持ち上がる。

しかし、結論から言えば、一時的な緊急措置を除いてメーカーの指定と異なる燃料を継続的に使用することは推奨されない。

給油ノズル
レギュラーとハイオクの差を知ることが大切だ。

そもそも、ガソリンスタンドで販売されているレギュラーとハイオクの決定的な違いは、燃料そのものの品質や純度によるものではなく、オクタン価と呼ばれるエンジン内部における異常燃焼の起こりにくさを示す数値である。

クルマのエンジンは、内部でガソリンと空気の混合気を圧縮し、そこに火花を飛ばして爆発させることで動力を生み出している。この圧縮する過程において、本来の点火タイミングよりも早く勝手に発火してしまう現象をノッキングと呼ぶ。

ノッキングが発生すると、金属を叩くような異音が生じるだけでなく、エンジン内部の部品に深刻なダメージを与えてしまう。そして、ハイオクガソリンはノッキングを防ぐための成分が多く含まれており、高い圧力に耐えられるように作られているというわけだ。

一方、レギュラーガソリンはオクタン価が一定の基準を満たしているものの、ハイオクほどの耐ノッキング性能は持っていない。したがって、高い圧縮比で設計された高性能なエンジンには、意図せぬ発火を防ぐためにハイオクが必須となるのである。

エンジン設計に合わない燃料を給油するリスク

違う燃料ではよりお金がかかるようになる。

ここで注意したいのが、ハイオク仕様として専用設計されたエンジンにレギュラーガソリンを給油した場合に生じる影響についてだ。

現代のクルマの多くはコンピューターによる高度な制御がおこなわれており、燃料の違いをセンサーで検知する機能が備わっている。

そのため、もしハイオク指定車にレギュラーが投入された場合、コンピューターはノッキングの発生を防ぐために点火のタイミングを自動的に遅らせる制御をおこなう。この安全装置が働くことで、すぐにエンジンが壊れて動かなくなるという最悪の事態は回避できるしくみなのである。

しかし、点火タイミングを遅らせるということは、本来のエンジンが持つ爆発のエネルギーを十分に引き出せないことを意味する。

結果として、アクセルを踏み込んだときの加速が鈍くなったり、登り坂で力不足を感じたりと、明らかな性能低下が起きる点には注意が必要だ。

さらに、パワーが落ちた分だけ無意識にアクセルを深く踏み込むことになるため、最終的には燃料を余計に消費してしまう。つまり、レギュラーガソリンを入れて1リットルあたりの単価を安く抑えられたとしても、燃費が悪化してしまえば金銭的な節約効果は薄れてしまうのだ。

壊れたクルマに驚く女性
クルマに合わない燃料を入れると、取り返しのつかない故障が発生する場合もある。

また、燃料を直接シリンダー内に噴射する直噴エンジンなどでは、レギュラーを使用し続けることで内部にススなどの汚れが蓄積しやすくなるリスクも指摘されている。

長期間にわたって不適切な燃料を使い続ければ、高額な修理費用をともなう致命的な故障につながる可能性も否定できない。

一部の車種にはレギュラーとハイオクのどちらでも使用できる仕様が存在するものの、基本的にはメーカーが指定する燃料を守ることが安全かつ経済的である。

このように、クルマごとに定められた指定燃料は、決してドライバーの嗜好や見栄で選ぶものではなく、エンジンの機械的要件で厳密に決まっている。

長期的な維持費の削減や安全なドライブを実現するためにも、指定燃料は機械的要件で決まっていることを念頭に置き、クルマに合ったガソリンを給油しよう。