自転車の区分は「軽車両」なので、歩道は基本的に走行できない

自転車の走行が禁止されている歩道を走行すると、「通行区分違反」として取り締まりの対象となるおそれがある。
自転車は原則歩道ではなく車道を通行する必要がある。自転車専用レーンがある場合は、そこを走行することが推奨されている。

自転車は、道路交通法において「軽車両」に区分されている。そのため、歩道と車道の区別がある場所では、原則として車道を通行しなければならない。にもかかわらず、歩道を走行する自転車は日常的に多く見られるのが実情だ。

とくに、自転車がスピードを出したまま歩道を走行すると、すれ違いや追い越し時に歩行者と接触する危険が高い。そして、最悪の場合は死亡事故に発展するおそれがあることは、言うまでもないだろう。

「軽車両」である自転車の交通ルールは、かなり厳格に定められている(資料:警視庁)

歩道はあくまでも歩行者のための空間である。自転車の通行が例外的に認められている場合でも、徐行と歩行者優先が義務づけられている。

このルールを守らず、原則違反として歩道を走行した場合は「通行区分違反」として取り締まりの対象となり、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられるおそれがあるのだ。

「自転車歩道通行可」の標識がある場合などは走行OK

「自転車通行可」の標識がある歩道は、自転車でも走行可能だ。
13歳未満の子どもや高齢者なども、歩道走行が認められている。

しかし、すべてのケースで自転車の歩道走行が禁止されているわけではない。たとえば、歩道に「自転車歩道通行可」の標識が設置されている場合は、その歩道に限って自転車の通行が認められている。

さらに、道路工事や障害物によって車道の走行が著しく困難な状況では、安全を優先するために歩道を走行してもよいとされている。加えて、13歳未満の子ども、高齢者(おおむね70歳以上)、身体に障がいのある人も、例外的に歩道走行が認められている対象だ。

ただし、例外的に歩道を通行する場合でも、「歩道はあくまで歩行者のための空間」であるという原則は変わらない。そのため、歩道走行時には必ず徐行し、歩行者の通行を妨げないよう細心の注意を払うことが義務づけられている。

また、歩道内での進行方向も、基本的には車道に対して左側を通行することが望ましい。ルールが一部緩和される場面でも、自転車はあくまで軽車両であるという自覚を持ち、常に周囲の安全を最優先にした行動が求められるだろう。安全で円滑な交通環境を守るためにも、歩道走行の例外と注意点を正しく理解しておくことが重要である。

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こうしたルールを守ることは、事故の防止につながるだけでなく、歩行者との信頼関係を築くうえでも重要である。さらに、2026年4月からは、自転車にも「青切符」制度が導入され、軽微な違反であっても反則金が科されるしくみが整備される予定だ。

自転車は手軽で便利な移動手段だ。しかし、正しい交通ルールの理解と遵守なしには、周囲に危険を及ぼす存在になりかねない。安全な利用のためにも、自転車の走行ルールをしっかりと確認し、歩道走行の危険性と責任を認識することが重要である。