「雨天時メンテ」ではワイパーとタイヤを重点的に確認

ゲリラ豪雨が頻繁に起こるようになった最近の日本。全国的な秋の長雨が8月末から10月頃まで続くのは言うまでもないだろう。
秋雨の真っ只中であり、路面が滑りやすくなったり視界不良になったりと、交通事故のリスクが著しく高まる。こうした環境下では、クルマの状態が万全であるかどうかが、安全運転に直結する重要な要素と言える。そのため、秋の長雨「秋雨時メンテ」としてクルマのコンディションを整えることが強く推奨されているという。
では、具体的にどのような点をチェックすればよいのだろうか。JAFの担当者に話を聞いたところ、「タイヤとワイパーの状態を重点的に確認しておくとよいです」との回答を得られた。
タイヤの接地面にある溝には、タイヤと路面の間に入り込んだ雨水を排出する役割がある。しかし、タイヤがすり減って溝が浅くなると排水性能が著しく低下し、スリップやハイドロプレーニング現象のリスクが大幅に高まるという。
実際、JAFが2015年におこなった、溝が深い「10分山(ほぼ新品の状態)」のタイヤと、溝が浅い「2分山(摩耗が進んだ状態)」のタイヤを使い、ウエット路面での制動距離を比較した結果が興味深い。
まず、時速60kmでは2分山タイヤの制動距離が約1割長くなり、時速100kmではおよそ5割も伸びるという結果が確認されたのだ。この結果からも、タイヤの残り溝は定期的に確認し、早めの交換が必要である理由がわかるだろう。
一方、ワイパーは言わずもがな雨天時の視界確保に直結するパーツであり、良好なコンディションを保つことが安全運転に欠かせない。
前述の担当者によれば、ワイパーゴムは半年〜1年ごと、金具であるワイパーブレードは1〜2年ごとの交換が目安だという。ただし、スジ状の跡が残る、ビビリ音がする、拭きムラやにじみが発生する、フレームにさびやがたつきがあるといった症状が見られた場合には、使用期間に関係なく即座に交換すべきである。これらのポイントをしっかり押さえることで、秋雨時でも安心して運転できる状態を維持できるだろう。
* * *
秋雨のように雨の日が連続する時期は、そうしたリスクが慢性的に続くため、ドライバーには一層の注意が求められる。そのため、本格的な梅雨に入る前に、クルマのコンディションを整えておくことが重要である。
タイヤの溝やワイパー以外にも、ライト類の点灯確認やエアコンの清掃など、基本的な項目を点検・整備することで、安全性は大きく向上するだろう。日頃の備えが、雨の日の安心を生むのだ。



