排ガス規制が生んだ「新基準原付」への転換
2025年4月1日より、原動機付自転車の車両区分が大幅に見直された。これにより、出力を制限した125cc以下の二輪車については、「新基準原付」として新たな区分に分類されるようになった。
そもそも、今までの原付一種が廃止され、新たに「新基準原付」が設けられた背景には、近年強化されている排ガス規制の影響が大きく関係している。従来の原付一種は、50ccのエンジンを搭載しており、構造上どうしても排出ガスの浄化が難しかったという。
加えて、現行の環境基準に適合させるには、高度な技術とコストが必要だった。特に、2020年代以降は欧州をはじめとした国際的な排ガス規制が厳格化され、日本でもそれに準じた対応が求められていた。
これに対応する形で制度が見直され、新基準原付という枠組みが設けられたという経緯がある。つまり、原付一種の終了は、単なる制度変更ではなく、時代と環境の要請によって導かれた必然的な転換といえるだろう。
新基準原付も、駐輪場に停めるのが適切と考えられる

新基準原付は、運転免許制度や法定速度などの規制、運転に関する基本的な交通ルールは、これまでの原付一種と共通しているそのため、法定速度は30km/h、二段階右折の義務、ヘルメットの着用義務など、走行時におけるルールに大きな違いはない。
では、駐車や駐輪の扱いにおいてはどうなのだろうか。従来の原付一種は、自転車と同様に駐輪場に停める必要があった。一方、50cc超えのバイクはこれに該当しないため、原則駐車場に停めなければいけない。
そして、ここで思い出してもらいたいのが、新基準原付は出力を制限した125cc以下の二輪車ということである。上述した駐車区分には当てはまらないように思うが、駐車する場合はどこが適しているのだろうか。
警視庁関係者に聞いたところ、「新原付基準は、道路交通法上でも原付の区分になります。総排気量や馬力に変化はあるものの、原付扱いなのは変わらないため、駐車するところも原付を駐車するところに置くのが妥当ではないかと思います」と話す。
前述のように、新基準原付の交通ルールは従来の原付一種から何ら変わりはない。そのため、駐車事情も原付と同様の対応がなされるのは、想像通りと言えるだろう。また、都内では、新基準原付を含む原付バイクを駐車可能とする駐輪場が一部整備されている模様だ。特に、公共交通機関周辺や商業施設の付近では、原付用スペースを設けた駐輪場も増えつつあるという。
しかし、すべての駐輪場・駐車場が新基準原付に対応しているわけではない点には注意が必要だろう。誤って利用しないためにも、駐車する際には現地の看板や表示を必ず確認し、対象車両の条件を満たしているかを確認することが重要である。
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今後、新基準原付の普及が進むことで、現在のような駐輪場・駐車場の対応状況にも変化が生じると考えられる。とくに都市部では、新たなモビリティに対応したインフラ整備が急務とされており、行政や管理者側の取り組みに注目が集まっている。
ややこしい駐車場問題も、制度や設備の整備によって解消に向かう可能性は、多いにあると見ていいだろう。



