オクタン価が決め手!ハイオクとレギュラーの本質的な違い
ガソリンの種類を分ける最大のポイントは「オクタン価」という数値だ。この数値はエンジン内でのノッキングの起こりにくさを示す指標であり、数値が高いほど安定した燃焼が期待できる。
日本工業規格(JIS)では、オクタン価96以上をハイオク、89以上96未満をレギュラーと定めている。つまり、ハイオクガソリンはレギュラーより「品質が高い」というわけだ。
そもそもノッキングとは、エンジン内のガソリンが意図しないタイミングで爆発する現象のことを指す。これが頻繁に起こるとエンジンに大きな負担がかかり、最悪の場合は故障の原因にもなる。ハイオクガソリンがノッキングを防ぎやすい理由は、その化学組成にある。ハイオクには自然発火しにくい成分(イソオクタン)が多く含まれており、高温・高圧の状態でも安定している。
高性能エンジンは出力を上げるために圧縮比を高くしているが、これは混合気が自然発火しやすい条件でもある。ハイオクはこの厳しい条件下でも正常な燃焼を維持し、エンジン本来の性能を引き出すのだ。スポーツカーなど、高性能の車がハイオク指定なのはそれが理由だ。
入れ間違えるとどうなる? 正しいガソリンの選び方

ハイオク指定車にレギュラーを入れると、本来の性能が発揮できないだけでなく、エンジンへの負担も大きくなる。
ハイオク仕様車にレギュラーを入れても、近年の車であれば即座に故障することはないが、長期的には性能低下や燃費悪化につながる可能性がある。間違えて入れてしまっても慌てる必要はないが、基本的には正しい燃料を選ぶべきだ。
一方、レギュラー仕様車にハイオクを入れても問題はなく、むしろハイオクに含まれる洗浄剤がエンジン内部をきれいにする効果が期待できる。ただし、レギュラー仕様車はレギュラーで最適なパフォーマンスが出るよう設計されているため、あえて高価なハイオクを入れるメリットはあまりない。
10円の差が積もり積もると?長期的に見た価格差の影響
ハイオクとレギュラーの価格差は一般的に1リットルあたり約10円。一見わずかな差に思えるが、長い目で見れば大きな負担になる。
例えば、燃費15km/Lの車で年間10,000km走行する場合。レギュラー160円/Lで計算すると約106,700円だが、ハイオク(170円/L)では約113,300円となり、年間で約6,600円の差が生じる。この金額は決して小さくはない。
このような価格差が生まれる理由は、ハイオクにはオクタン価を高める添加剤や、エンジン内部を洗浄する洗浄剤などが配合されているのが原因だ。
愛車に長く乗るためにも知っておきたいガソリンにまつわる話
今後、車を長く快適に乗り続けるためには、メーカーが指定している燃料を使うことが最も重要だ。ハイオク仕様車にはハイオク、レギュラー仕様車にはレギュラーを使用するのが基本となる。

特に近年の車は燃費向上のために高圧縮比のエンジンを採用する傾向があり、ハイオク指定の車種も増えている。給油の際に「安いからガソリン」のように価格だけで判断し、ハイオク車にガソリンを入れる行為は、性能低下や燃費悪化を早めることにつながる。長期的な視点でエンジンの健康を考えることも、あできるだけ長く愛車に乗るためには大切な要素の一つだ。
少しの価格差で車の性能を最大限に引き出し、結果的に長持ちさせることができるのであれば、それは賢い投資といえるだろう。
また、エネルギー価格高騰による対策として資源エネルギー庁は、ガソリンの価格を抑える補助金制度を令和7年5月22日から開始した。定額の価格引下げ措置(ガソリンの割合は、1リットルあたり10円に達するまでの間)は、徐々に燃料価格に反映させるため段階的に補助金を増やしていく。