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空間効率に優れたパッケージ モーター駆動の走りは新感覚
日産車で最もコンパクトサイズなSUVのキックスは、一世代前のノートをベースに、グローバルマーケットで通用するよう仕立てたもの。
エクステリア
2016年にブラジルで発売されたのを皮切りに、中米、北米、中国、インドなどへ販路を拡大。タイ工場でe-POWER(HV)仕様の生産が開始された20年に、日本市場へも導入が開始された。タイでHVとは意外に思えるかもしれないが、タイはエコカーの優遇措置が大きく、ハンドル位置も右なので、日本向け仕様を生産するには最適なのだ。
グローバルカーなので、ボディサイズは日本のナンバー枠に捕らわれていない。全長こそ4290mmとコンパクトだが、全幅は1760mmと5ナンバーをはみ出す。トレッド(タイヤ接地点中心の幅)はノートより40mm広く、1610mmの全高をワイドなスタンスでしっかりと支える。最小回転半径は5.1mで、同クラスで最も小回りが利く。最低地上高は170mmと、林道や圧雪路を走るには十分だ。
乗降性
セールスポイントのひとつが、パッケージングの巧みさ。前席ヒップポイントの地上高は実測約580mmと、腰をかがめたり膝を深く曲げたりすることなく乗り降りできる。運転姿勢もハッチバック車的。ステアリングには35mmの前後調整機構が付くので、最適なドライビングポジションが出しやすい。
インストルメントパネル
後席はドアの前後長が大きく、身長181cmの筆者でも乗り降りは楽。筆者が運転席ポジションを合わせた状態で、後席に筆者が座って膝前には80mmの余裕が残る。つま先は前席の下にスッポリ収まるし、シートの座り心地も良好。大人4名の長距離ドライブに十分耐える仕様だ。ラゲッジルームもSUVとして十分に使えるスペースを確保。床面の後長は中央で約900mm、幅はホイールハウス間で990mm、高さはトノカバー下までで545mm、VDA容量は432lと、クラストップレベルの容積をもつ。
居住性
パワートレインはe-POWERの1種類。1.2l3気筒エンジンで発電機を回し、発電した電力を使って走行する。エンジンの出力は82ps/103Nmに過ぎないが、タイヤを駆動するのは129ps/260Nmのモーターだから、加速は滑らかかつ強力。リチウムイオン電池の充電量がある間は、ほとんどエンジンは掛からないし、エンジン発電が始まっても低回転で回っていることが多いから、エンジンの存在をほとんど感じさせない。
うれしい装備
月間登録台数 2320台(21年11月〜22年4月平均値) 現行型発表 20年6月(AUTECH追加 21年1月) WLTCモード燃費 21.6 km/l
ラゲッジルーム
アクセルペダルの戻し加減で最大0.15Gの減速度が得られる〝ワンペダルドライブ”も電動車的。急ブレーキでもしない限り、アクセルオフだけで停止までコントロールできるし、停止後にブレーキペダルをちょっと踏めば、クリープ走行もできる。キャッチコピーの〝電気自動車の新しいかたち〞とは、なるほどこういうことかと実感できる。
操縦性能は、軽快感を重視した味付け。キビキビ走る反面、道路の補修跡を通過した際など、乗り心地には少し硬さを感じる。ロードノイズも最新のモデルと比べると大きめで、プラットフォームの世代の古さが表れている部分。駆動方式がFFしかないのも残念な点だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。取材車両は、2022年7月のマイナーチェンジ前のモデルです。
http://motorfan-newmodel.com/integration/142/