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クライスラーと共同で開発された2ドアクーペ
テレビカメラの前でハンマーなどを手にしたアメリカ人が日本車を叩き壊すシーンを覚えているだろうか。あまりに日本車が売れてアメリカでの乗用車市場を席巻したことに腹を立てた人たちを象徴するものとして日本でもテレビなどで紹介された。その結果、自動車を輸出するだけではなく、現地生産を進めてアメリカ人の雇用も守ろうとしたのだ。
80年代当時、アメリカでは国産スポーツカーの人気が高まる。特に映画『キャノンボール』に登場したスタリオンは人気が高く、後継車にも期待が高まっていた。そこで三菱はクライスラーと共同でアメリカにダイヤモンドスターモーターズを設立。この会社が生産するモデルとして、ギャランをベースにした2ドアクーペであるエクリプスを発売した。
現地より1年遅い1990年に国内でも発売されたが、現地からの輸入車扱いで左ハンドルのみ。NAモデルもあったが人気は200psを発生するターボ。中身はギャランVR4とほぼ同じでターボエンジン+4駆となる。日本での販売台数は少ないが、今も現役を続ける1台を紹介しよう。
外観
エンジンルーム
ギャランVR-4に採用されて話題になった4G63ターボは2リッターで200ps。AT仕様は185ps、自然吸気は140psだった。
2度のブローにめげず走行30万キロを超えた
今回のエクリプスのオーナーは43歳。クルマの発売は33年前だから当時は10歳だった。なぜエクリプスに憧れたのかといえば「高校の修学旅行でアメリカへ行ったんです。その時フリーウェイで見た後ろ姿が格好良くて憧れました」とのこと。
当時はクルマに興味がなく三菱のマークでメーカー名を知った。そこで帰国後調べて初めて、アメリカからの輸入車だったことを知る。輸入車とはいえ中身はギャランと同じなので、運転免許を取得後に中古で購入してもそれほど苦労しないと考えた。
すると近所の中古車屋に2台のエクリプスが並んでいた。アメリカで見たのと同じ白い個体を選び購入したのが2001年のこと。以来どこへ行くのもエクリプスと一緒で通勤にも使った結果、購入時10万キロだった走行距離は30万キロを超えた。当然トラブルも経験していて、15年目にタイミングベルトが切れてエンジンブロー。
リビルドエンジンに載せ替えたものの3年後にオイルがなくなっていたことに気がつかず、またしてもブローさせてしまう。すでにリビルドはなくネット経由で知り合ったマニアに交渉して、なんとか中古エンジンを入手した。
ほかにも2回エアコンを修理して5年前にボディを全塗装。それなりに手がかかるが最近はパーツ難でギャランユーザーとの取り合い状態だとか。それでもまだまだ乗り続ける覚悟なのだ。
室内
アメリカ生産だからフロントシートは大きめサイズ。シートベルトアンカーが不思議な位置にある。腰がスッポリ落ちる形のリヤシート。大人2人が座るのは事実上無理だろう。
この三菱エクリプスGSR-4の記事は、2/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年4月号に掲載されています。